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自宅から離れたホームオフィス、新しい働き方

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Return/Hybrid/Remote」を翻訳したものです。


米国ではワクチンの接種回数が9000万回を超え、3月中にはさらに7500万本以上のワクチンが投与される見込みです。多くの企業が、今年の夏から秋にかけオフィスに戻れるようになったとき、働き方をどうすべきかについて考え始めています。

先週末、ナレッジワーカーと彼らを雇用する企業にとって、これが何を意味するかについて書かれた素晴らしい記事を2つ読みました。

柔軟なオフィスワークの未来を想像する – Anne Helen Petersen

以前のように戻ることは決してない – Packy McCormick

どちらの記事もDror Polegのブログ投稿を参照しているので、彼のブログにもリンクを貼っておきます

AnneもPackyも、私たちの職場の未来と、雇用主が社員にフルタイムで出社することを要求するのか、あるいは別の働き方が登場するかについて考察を述べています。

Anneは記事の冒頭で、パンデミックは社員全員がオフィスに集まらなくとも知識労働はできると証明したものの、人々がこの1年間してきた働き方を今後も続けるとは限らないと説明しています。この1年間で人々は自宅から仕事をするようになりましたが、それが未来の働き方ではないと言います。

Packyは、今後社員がどこで働くかは雇用主が決めることではなく、社員側が決めることと主張します。人材獲得競争により、働き方がどうなるか決まるということです。

どちらも洞察に富む記事です。私はこの1年間、多くの時間を費やし、Union Square Venturesと私たちが投資し、アドバイスをしている150社のポートフォリオ企業のために、このテーマについて考えてきました。AnneとPackyの考えは、私の考えと一致しています。知識労働をする場の変化は、この10年で最も大きな変化のひとつとなるでしょう。

昨年の夏、私と妻は、ブルックリンのクリントンヒルやベッドスタイに住んでいて、オフィスに通勤するのも、自宅のキッチンやベッドルームで仕事をするのも避けたいという人たちが使えるコワーキングスペースを開くことを決めました。「FrameWork」というコワーキングスペースで、来月オープンする予定です。キャッチフレーズは「Your Home Office Away From Home (自宅から離れたホームオフィス)」です。私は、多くの人が自分の住む地域で過ごす時間が増え、通勤は毎日のことではなく、たまにしかしなくなる状況に可能性を感じています。そうなれば、生活の質も地域の質も劇的に向上するでしょう。

FrameWorkは、未来のナレッジワーカーの働き方のひとつにすぎません。自宅以外の場所でも働ける環境が整ったら、急速かつ劇的に職場のあり方が変化することを私は期待しています。2021年1月1日のブログ記事で説明したように、今年の第2四半期頃から大きな変化がおき始めると私は考えています。

あなたが雇用主の場合、何をすべきでしょうか。Packyの提案は興味深いものです。

【引用】会社は、社員に特定の日数オフィスに来て働くことを義務付けるのではなく、社員をカスタマーとしてとらえ、彼らにオフィスに来てもらえる説得力のある素晴らしいプロダクトを提供する必要があります。

自宅ではできないことをオフィスでできるように社内をリデザインします。例えば、ホワイトボードが使える部屋、ポッドキャストや動画の撮影ができるスタジオ、試写室、工作ツールを完備した設備などを用意します。

社員のニーズに合わせて対応、進化できる小さなオフィススペースを柔軟に運用します。

オフィスを社交クラブのようにします。例えば、社員同士が一緒に食事をしたり、偶発的な会話が発生したり、仕事に関連するプログラミングを持ち込めたりする場所にします。

社員が職場を活用できるよう、ホスピタリティがあり柔軟な対応のできるオペレーターを雇います。ストックホルムのコワーキングスペース「Alma」は、仕事と交流をうまく両立させています。Almaの創業者Fredrik CarlströmはAnother Structureを立ち上げ、彼の持つ専門知識を、新しい時代に適したスペースを作りたいと考える企業に提供しています。

リモートで働く社員とのコミュニケーションとコラボレーションを促進するためのテクノロジーを導入します。

参照元:https://www.notboring.co/p/were-never-going-back

【引用ここまで】

中でも次のAnneの指摘が、最も重要ではないかと私は考えています。

【引用】ワークライフバランスを行うという点において、仕事と私生活の「境界」はあまりにも曖昧になり、その意味を失っています。人々は境界を意識していません。あなたも区別していないでしょう。パンデミックが終わったとしても、その境界を再構築するのは非常に難しいと思います。私たちが本当に必要としているのは、仕事という名の暴走するトラックから私たちを守ってくれる大きく頑丈なガードレールなのです。

現在のフレームワークでは、境界を保つのは個人の責任であり、それができないとしたらその人が境界を守れなかったから、ということになっています。しかし、ガードレールがあればどうでしょう。ガードレールは全社員を守るためのもので、それはガードレールの管理者、つまり会社が整備します。社員の生活にガードレールを設ける方法はたくさんあって、本の中でも詳しく紹介しています。重要なのは「個人が守るべき境界」という無意味な考えから離れたところで変化を起こすことです。

参照元:https://annehelen.substack.com/p/imagine-your-flexible-office-work

【引用ここまで】

Anneが正しく指摘しているように、自宅から働くことは、多くの人にとってノンストップで働くことを意味していました。この点について私も責任を感じていますし、1年間この働き方をしてみて実感したことです。社員は自分自身で働く時間を制限できないことが判明したので、雇用主が社員の労働時間を制限する方法を考えなければなりません。オフィスに出社していた時は勤務時間(9時5時)の制限がありました。新しい勤務時間はどのようなものになるでしょうか。私たちはそれを考えなければなりません。

私たちは知識労働のあり方、やり方、感じ方を根本から変えることができるでしょう。これには無限の可能性があり、個人的にとても楽しみにしている分野です。

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Editorial Team / 編集部

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