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起業家は機会費用に囚われすぎてはいけない

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Opportunity Costs」を翻訳したものです。


ビジネスにおいて考慮すべき重要な費用には、いろいろなものがありますが、ここでは機会費用についてお話します。

機会費用とは、何か別のことに取り組んでいたために、何かを実行できなかったことによって生じる損失のことです。このような費用は、損益計算書上には表れてきませんが、高くつくものです。特にリソースをほとんど持たない小規模ビジネスでは、大きな損失となります。

例を使って見てみましょう。皆さんのチームに3人のソフトウェアエンジニアがいて、その3人全員を6か月間完全に拘束するような新製品の開発に取り組んでいるとしましょう。皆さんはその製品の開発に取り組んでいるだけでなく、その製品を事前に販売してしまっており、開発資金に充てるための手付金を顧客から受け取っているとします。そんなときに、さらに大きな機会が訪れます。皆さんの会社が手掛ける製品の新バージョンを開発しないかというのオファーを受けるのです。大手コンピューター企業が大きく勝負に出ている最新デバイスに搭載される製品の開発です。しかし、最初のプロジェクトにチームが掛かりきりのため、このプロジェクトを引き受けることができません。

つまり、最初のプロジェクトで発生する費用は、それに従事する3人のソフトウェアエンジニアの時間と給与だけにとどまらないのです。その新デバイスでのパートナーシップに専念した場合に得られていたかもしれない収益とマーケットシェアをも失うことになったのです。これが機会費用というものです。

機会費用についての問題は、それをあまりうまく予想したり、測定したりできないことにあります。後から振り返ってみると、まったくもって明らかになるのですが、機会費用の大きさを認識すべきタイミングである、その決定を行った時点では分からないのです。

では、このような目に見えず、測定もできないが確実に存在する機会費用にどう対処するべきでしょうか? 難しい問題ですね。友人のGretchen Rubin(グレッチェン・ルービン)が、このテーマについて言ったことを私は気に入っています。

「私も機会費用を無視しようと心がけています。考えすぎると麻痺状態になってしまうから。私の母校出身のある人が、かつてこう教えてくれたの。イェール・ロー・スクールの呪いは、選択肢を残したまま死ぬことだ、と。つまり、すべての機会をものにしようとすれば、前に進むことができないということ」

機会費用の概念を理解し、頭の中に置いてはおくが、それに囚われすぎないようにするということが、私からのアドバイスです。もし可能であれば、完全にはリソースに縛られることがないよう、皆さんの組織に少し柔軟性を持たせてみてください。そうすれば機会費用も軽減できるでしょう。しかし最後には、Gretchenの言葉で言えば「前進」をしなければなりません。そしてそれは偉大な起業家が真っ先に実践していることなのです。

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Editorial Team / 編集部

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