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LTV(顧客生涯価値)> CPA(顧客獲得単価)でなければならない

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「LTV > CPA」を翻訳したものです。


以前、利益について書いた記事に対し、Dan Lewis(ダン・ルイス)が「LTVがCPAよりも高いことが必要です。そうでなければ成功しません」とコメントしました。そこでDan(ダン)に、ゲスト投稿として詳しく話してほしいと依頼し、彼から承諾を得ました。以下がDan(ダン)の投稿記事です:

LTVは1人の顧客の「ライフタイムバリュー(生涯価値)」を表します。CPAは1人の顧客・購買者の「獲得単価」です。LTVはCPAよりも高くなければなりません。そうでないと成功することはできないでしょう。さらに言えば、生き残れないでしょう。そのことを証明するために、実際の例を見てみましょう:

私は月曜から金曜まで、日刊のメールニュースレターを無料で発行しています(あなたも購読できるので、ぜひ登録を)。ニュースレターでは、あなたは毎日何か新しいことを学ぶべき(そして実際に学べる)という考え方を言葉に込めて伝えています。Abraham Lincoln(エイブラハム・リンカーン)がシークレットサービスを作ったのは自分が撃たれた当日のことだったとか、昔の人参は紫色だったとか、アフガニスタンにはユダヤ人が1人しかいないとか、そんなちょっと変わった内容です。購読者は約4,000人です。基本的にはブログですが、メールニュースレターとして送っています。これについては長い話になるので、また別の機会にします。

主な関連コスト(メールを執筆・編集するコスト)は固定コストです。現在のところ、完全に時間的なコストでもあります。私が執筆したものを、ボランティアに編集してもらってから送信しています。しかし例えライターとエディターを雇ったとしても、コンテンツの製作コストは、少なくともこの文脈においては固定コストとして良いでしょう。原稿が書き上がれば、購読者と同数の多くの人たちに送ります。つまり、ニュースレターの発行にかかるコストは、1人の人に対してメールを書く場合も、100万人(願わくば!)の購読者に対して書く場合も、同じ金額です。

限界コストは相対的に小さく、私が使っているメールサービスプロバイダーMailchimp(メールチンプ)に払う手数料で構成されます。現在の送信メール数・購読者数で言えば、メール1通あたり約20分の1セント、つまり1,000通で$0.05です。非常に単純に仮定して、このメールを1,000通当たり$1で収益化できるとすれば(架空の広告主の視点から言えば、「1,000人当たりの広告費」(CPM)を$1とすれば)、私のマージンは95%です。あなたのブログやTwitterアカウントなどではどうでしょうか? 投稿ごとにコストを払っているのでない限り、おそらくもっと高いでしょう。

仮に平均的な購読者の継続購読期間を10か月とし、私が月に20通のメールを発行するとします。現実性のない数字ですが、私は広告主から平均$5.00 CPMを10か月にわたって受け取れると仮定しましょう。すると、購読者1人当たりのライフタイムバリューはいくらでしょうか? $1です。各購読者は200通のメールを受け取り、1,000通あたり$5ですから、$1となる計算です。

このLTV $1が、私の上限値です。購読者を1人獲得するために、それ以上の金額を使えば、新しい購読者を獲得するたびに損することになります。これは望ましくありません。だから、口コミやツイート、Facebook記事、ゲストブログの投稿などは、どれも非常に良いアイデアです。私もこうした方法で、これまでに4,000人の購読者を集めてきました。また、購読者基盤を拡大するために実行可能な、唯一の方法と言っても良いでしょう。

他のアイデアはどうでしょうか?AdWords(アドワーズ)やFacebook(フェースブック)広告のコストは、「毎日新しい何かを学ぶ」メールニュースレターの広告へのクリック1回当たり、約$0.25です。その場合、私はクリック数の4分の1を購読者に転換できて、やっと損益分岐点となります。メールニュースレターにとってはとてつもなく難しい課題です。あなたのブログの訪問者の25%に、RSSフィードを購読してもらうのと同じことです。共通登録やコンテストやインセンティブ付きサインアップなど、リスト構築の、疑わしい、いわゆる「ベストプラクティス」は、CPMのレベルを損ない、LTVの大幅な低下を引き起こす可能性が高いでしょう。(読者獲得のための)リストの購入と言われても、遠慮したいものです。

このようにお金で購読者数や顧客数を増やせないことは、成長のスピードやその可能性に対する大きな制限です。確かに、物事は急に好転することがあり、ニュースレターは上記の方法を通してひとりでに成長する可能性もあります。しかしそれらの方法は、ハードワーク、まぐれ、確かな製品、そしてさらに幸運なこと、つまり普通とは違う何らかの方法で趣味を実行可能なビジネスに変える「秘密のソース」的な特質が重なって、初めて上手くいきます。

もちろん、LTV > CPAの考え方は、ニュースレター以外にもメディアやデジタルなどの分野を超えて当てはまります。適用するのは一般的に簡単で、例え推測や憶測に基づいて判断する場合でも、大きな間違いを犯さないようにするには十分な考え方です。まとめると、大量の資金を投入して顧客基盤を拡大することが良いやり方となる可能性はあるものの、それは新しい顧客を獲得するために、その顧客の価値以上のお金を使わないことが前提となるのです。

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