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カルチャーフィットとは

本ブログはニュ=ヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」のMBA Mondaysというシリーズの投稿を翻訳したものです。


人材に関するシリーズの第1弾として、採用プロセスにおけるカルチャーフィットの重要性についてお話したいと思います。このトピックについて私が伝えたいことは、主に従業員5人の規模から500人規模へと成長しようとしている会社に向けてのものですが、どんな規模の会社にも当てはまることだと思っています。

まずMBA Mondays (Fred Wilson氏のブログシリーズ)の別の記事で、マネジメントチームについて書いたことからご紹介していきたいと思います。

会社は人ではありません。しかし会社は人でできています。そしてビジネスにおいて「人」の側面は難しく、製品を作ることよりもずっと複雑です。まずカルチャー、価値観、そして素晴らしい職場をつくるという強い意思を持って取り掛かる必要があります。これらはごまかしが利きませんし、トップから発信されなければなりません。また、でたらめではいけませんし、これらがすべてなのです。ビジネスを構築する過程では、会社のリーダーシップや将来に対する信頼が問われるようなことが起こります。もし全員が報酬だけを目的とした雇われ人で、共有されるカルチャーや価値観がなければ、チームは空中分解してしまいます。しかしもしチーム全員が受け入れられるような意義深いカルチャーがあれば、チームは結束し、さらに強い気持ちで取り組み、それらの困難な状況も乗り越えるでしょう。

これこそ、あなたの会社の採用プロセスにおいても作り出したい状況でしょう。起業家やCEOの中には「雇える最も優秀な人間を雇え」というマントラ(真言)を信条とする人もいます。すべてがスイスイと順調に進むなら、それでも良いでしょう。しかし前述したように多くの場合はそうではないため、「最も優秀な人を採用する」というアプローチには問題が出てきます。もう一つの別のアプローチは、「カルチャーフィットで採用する」というものです。このアプローチこそが私の提唱するものです。

カルチャーフィットで採用するということは、「20代後半と30代前半の白人をたくさん雇う」というような意味ではないですし、そうであってはいけません。チーム構築プロセスにおいては多様性がコアバリューであるべきです。これには多くの理由がありますが、最も重要なこととしては、考えや経験、物の見方、問題解決のスタイルに多様性を持ちたいからです。

いわゆる「トークン(多様性を見せかけるために象徴的にマイノリティの人材を置くこと)」のために女性を雇ってはいけません。可能な限り多くの女性を採用しましょう。同様に、トークン的に外国人を採用しないこと。世界中から採用しましょう(そして国のインチキな移民制度について知り尽くすこと)。トークン的な「白髪」タイプについても同様です。幅広い年齢層・経験層から採用するのです。

しかし最も重要なこととして、一緒に働くことを楽しめる人、相性がいい人、お互いを高め合う人を採用しましょう。これがカルチャーフィットということです。まず創業チームから構築します。もしエンジニアリングチームが真面目で毎日深夜まで仕事をするのが好きな人たちなら、次回新たにエンジニアを採用するときにはその文化を考慮に入れておきましょう。新メンバーが毎晩仕事の後に飲みに行きたがるタイプでは、そのエンジニアリングチームにはうまくフィットしないでしょう。

また組織の「サイロ化」も避けたいものです。オフィスの片側にエンジニアたちが座り、もう片側に営業の人たちが座っているような会社をよく見かけます。まるで2つの違う会社のようです。それでは問題や文化の壁が生まれてしまうかもしれません。営業チームは賑やかで活発、エンジニアリングチームは静かで真面目な傾向があるため、このような配置にしたくなるのもわかります。しかしこのような組織内の異なる部門をできる限り多くの方法でつなげてみましょう。全員が同じチームで、一緒に仕事することを楽しめているよう気を配ってください。

採用するときには、すでにあるものから始める必要があります。会社の雰囲気、会社の仕事の習慣、現在のチームの強みと弱みを把握しましょう。半分しか完成されていないジグソーパズルのようなものです。すでにそこにあるものにうまくはまる次のピースを探すのです。

ジグソーパズルの例は、スピーディーな採用の難しさと危険性も示しています。すでにあるパズルへ新たなピースをはめることは割と簡単にできます。しかし同時にたくさんのピースが入ってきてパズルが動く標的になってしまうと、ずっと難しくなります。するとおそらく組織にうまくフィットしない人員を多く採用してしまうことでしょう。そしてその人たちが会社を去る場合、それは彼らのせいではなく、彼らを採用したあなたのせいでしょう。

会社のコアバリューを文章をまとめた1枚を用意すると大きな助けになります。当社の投資先企業 Twilio のものを見ました。彼らは「当社の9つのこと」と呼んでいます。ここに全文を見せたいのですがJeff(Twillioの共同創業者でCEOのジェフ・ローソン氏)の許可を得ていないので、その誘惑をこらえます。そこには「大きなスケールで考えよう」「倹約しよう」等のことが書かれています。なんとなく想像がつくとよいのですが。この「導きの灯火」が組織のカルチャーと価値観のフレームワークであり、採用を行うたびにこのフレームワークに照らし合わせて候補者がうまくフィットするかどうか検証するべきです。

あなたは創業者兼CEOとして、しばらくはこれを自分で行えるでしょう。最初に採用する20〜30人くらいまでは。しかし会社が成長するにつれ、あなたは助けが必要になります。なぜならこれは非常に難しいことだからです。だからチームの構築に専任し、心血を注いでくれる人を採用することが決定的に重要となります。そしてその人を採用するときにはその人がカルチャー的にうまくフィットすることを確認してください。なぜならその人があなたと一緒にあなたの会社のカルチャーの松明を掲げていくことになるからです。これはスタートアップで行う採用の中でも最も重要なものうちの一つになります。これについてはこのシリーズの続きでさらにお話ししたいと思います。

シリーズ第二弾「Where to find a strong talent(優秀な人材を見つけるには
)」の翻訳記事は、3/18(月)に投稿予定です。

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