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スタートアップにおける育児休暇の問題

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「育児休暇」を翻訳したものです。

私はEtsy(エッツィー)の取締役を務めていますが、今やEtsyは上場企業ですので、同社に関してブログに書くようなことはもうそれほどありません。しかし、私はここ数か月の間、Etsyで議論されていた重要かつ難しい問題提起に関わっていました。それは育児休暇の対象者についてです。誰が育児休暇を取得でき、そしてどれくらいの長さの休暇が与えられるべきなのでしょうか?

Etsyは本日(訳注:本記事は2016年3月公開)、従業員に対して育児休暇制度の一部を抜本的に変更する予定であることを発表しました。新たな制度は次の通りです。

「Etsyの従業員は、出産または養子縁組により子供をもうけてから2年間のうちに26週間の有給休暇を取得できる。休暇の付与にあたっては性別、居住国、家族の事情を問わない」

こうした変化を遂げているのはEtsyだけではありません。Facebook(フェイスブック)のような他の大手テック企業も、育児休暇制度に似たような変更を加えています。市場は才能を持った人材、とりわけ女性の人材の奪い合いになっていますが、育児休暇制度の変更の一部はそういった面に対応するものです。しかし、Etsyで私たちが行った議論で焦点となったのは他の問題についてでした。

Etsyはクリエイティブな起業家(その多くは女性)のためのマーケットプレイスであり、家計を支えたい起業家にとってより充実感を得られ、かつより柔軟性のある手段になり得るものです。今回の制度変更の大きな目的は、社内の価値観をこの市場の価値観と一致させることにありました。

Etsyはグローバル企業であり、米国よりも手厚い育児休暇制度を採用している国においてもその事業を大きく展開しています。育児休暇制度を組織全体で統一することがEtsyの重要な目標の1つでした。

しかし、何よりも重要なのは、今回の発表でEtsyのCEOであるChad Dickerson(チャド・ディッカーソン)が語ったように、「従業員とその家族が幸福でいられることはビジネスにとっても利益である」ということです。

私はEtsyの育児休暇制度を全面的に支持しています。テック業界ではもっと家族に寄り添った就業規則を求める動きが起こっていますが、Etsyがそうしたムーブメントの先頭に立っていることを私は誇りに思います。

しかし、すべてのスタートアップ企業、もしくはUSV(ユニオン・スクウェア・ベンチャーズ)が支援するすべてのスタートアップ企業まで右にならうべきだと言いたいわけではありません。コワーキングスペースで仕事をしているわずか4名のチームよりも、数千とか数万人の従業員がいるような場合の方が今回のような変化を遂げるのは容易です。こういった育児休暇制度をいつ、どのような形で検討できるようになるかは企業次第です。ですが、今回のようなアプローチを検討できる規模の会社なら是非そうするべきですし、「従業員とその家族が幸福でいられることはビジネスにとっても利益である」というチャドの考え方を私も強く推します。

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