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私たちがNDAにサインしない理由

シリコンバレーでは多くのVCが、NDA(秘密保持契約書)にサインしないということは周知の事実です。一方、日本ではどうでしょう。私たちの場合、NDAへのサインを求められることはほとんどないものの、それでもたまに要求されることがあります。そういった要求を、私たちはすべてお断りしてきました。その理由は次の通りです。

貴重な時間とお金の浪費

仮に、私たちがNDAにサインすることに合意したとしましょう。その場合、時間をかけて書面を読み、弁護士に必要な変更を加えてもらった上でファウンダーに送り返し、ファウンダー側の弁護士が変更を加え……といった手続きが必要になります。すなわち、その会社のビジネスの詳細を知り、興味があるかどうかを判断する以前に、双方がNDAに貴重な時間とお金を浪費してしまうのです。これは弁護士にとってはおいしい話かもしれませんが、投資家やファウンダーにとってはどうでしょうか?さらに私たちは、投資判断を迅速に下すVCであることを自負しています。NDAという障壁が加わると、私たちの投資判断が数日、あるいは数週間も遅れてしまうでしょう。これはファウンダーにとっても好ましくありません。特に資金に余裕がないシードステージのファウンダーにとっては、なおさらです。

把握するのが困難

私たちは月間300社以上のスタートアップを見ていますが、投資に至るのはわずか1、2社です。仮に、すべての会社のNDAの内容を把握し、何に合意したかを覚えている必要があるとしたら、とんでもない作業量になってしまいます。すべてのNDAを把握するのは不可能であるだけでなく、私たちが様々な法的責任を負うリスクに晒されることになります。率直に言いましょう。起業家はみな、自らのアイデアは唯一無二のものだと考えています。しかし実際には、多くのアイデアは、他の誰かのアイデアと非常に似通っています。アイデアそのものではなく、アイデアを実行することに価値があるのです。

アイデアを盗むつもりはありません

私たちは、事業会社ではありません。「オープンイノベーション」や、新しいビジネスチャンスを求めてスタートアップに投資することはないのです。私たちの本業はスタートアップに投資することなので、たとえあなたの素晴らしいアイデアを知っても、自分たちでそれを実行するつもりはありません。とはいえ、私たちが特定のマーケットに注目し、その分野に取り組んでいる何人ものファウンダーに会うことはあります。しかし私たちは、いったん投資判断を下せば、機密情報を他の誰かと共有することは絶対にしません。これが口約束に過ぎないことは承知していますが、私たちのビジネスはレピュテーションが命であり、そのことを私たちは真剣に考えています。私たちが「これは秘密にする」と言ったならば、約束は絶対に守ります。


私たちは起業家からみて付き合うのが難しくて面倒な存在になりたいなどとは思っていません。ただ、お互いのために現実的であろうとしているだけなのです。NDAは意思決定を不必要に遅らせます。把握するのも困難ですし、特に私たちのような独立系VCに対して役にも立つとも思えません。たとえVCがNDAにサインしたとしても、それが抑止力になるでしょうか? 不測の事態が生じた場合にVCを訴えることは現実的には選択肢とならないのですから、そうは思えません。起業家の時間やお金、労力は最も貴重です。そうした貴重なリソースを、契約書や弁護士に対してではなく、素晴らしい会社を作り上げるためだけに使ってくれることを願ってやみません。

ベンチャーキャピタルベンチャー投資投資基準

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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