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ビジネスサイドに転職したい弁護士が知っておくべき8つのこと

弁護士が法務の世界を飛び出し、BizDevのようなビジネスサイドで活躍するキャリアパスは可能なのか?

Coral Capitalが出資するリーガルテックのスタートアップ「Holmes」が10月18日、ビジネスサイドへの転職を考えている弁護士向けのイベント「弁護士が法務を飛び出し、ビジネスの「主役」として活躍するには?」を東京・大手町の「Inspired.Lab」で開催。ビジネスサイドにおける弁護士のポテンシャルについて、登壇者が自身の経験を交えて語り合いました。

イベントにはゲストスピーカーとして、金融業界を経て現在はラクスル取締役CFOを務める永見世央さんが登壇。弁護士が事業会社で活躍するために重要な能力やマインドセットについて語りました。

「弁護士のキャリアを考えるイベントに、なぜ金融業界出身者?」と思う方もいるかもしれません。ただ、業界は違えども、弁護士と同じように専門性の高い投資の世界から事業会社に移り、ビジネスサイドで活躍する永見さんの考察は、弁護士にも参考になるはずです。

モデレーターはHolmes代表取締役CEOの笹原健太さんが務め、弁護士からビジネスの世界い飛び込んだHolmes CEO室室長の酒井貴徳さんが、自らの体験や気付きを話しました。

ということで以下、イベントで語られたことをまとめます。

1)「完璧じゃなきゃダメ」は弁護士が陥りやすい発想

弁護士はプロフェッショナルとして「完璧」が求められる職業です。そのせいか、「すべてをこなせないとダメという発想に陥りやすい」と、Holmesの笹原さんは弁護士ならではの特性を説明します。

この意見には、大手弁護士事務所を辞めてHolmesに入社した酒井さんも同意。そのうえで、毎日のように新しいことに取り組むビジネスサイドでは、「走りながら考え、失敗したら手当てしなければ仕事が回らない」と語ります。

Holmes代表取締役CEOの笹原健太さん

2)前職の経験をアンラーニングできる人材が強い

前職の経験やスキルは、ビジネスサイドで役に立つのでしょうか? この問いに対して酒井さんは「専門知識以外で弁護士時代の経験が活きているものはいろいろあるが、ひとつ挙げるならば、仕事を最後までやり切る胆力」と回答。

「弁護士はプロフェッショナルとして『無理』と言えない世界。法律とは関係ない無理難題でも、解決するまでやり切らなければいけない。それはビジネスの世界でも共通だと思います」

これに対して金融業界出身の永見さんは、過去の経験を意識的に捨て去り、新たに学び直す「アンラーニング」が重要だと訴えます。

「弁護士事務所での働き方が通用しない世界で戦うことになるので、自分は『法務の素養がある、いちプロフェッショナル』というくらいのノリで飛び込むのが大事。そのほうが時間はかかったとしても、間違いなく活躍できる」

Holmes CEO室室長の酒井貴徳さん

3)法務思考はビジネスサイドでも圧倒的な強みになる

前職の経験のアンラーニングを勧める永見さんですが、弁護士資格を取る過程で得た法務的な素養、さらにはルールの趣旨・本質を読み解く「法務思考」は、ビジネスサイドでも貴重な武器になると言います。

「弁護士は既存のビジネスのゲームルールを一番理解している人。それはつまり、社会の既存の枠組みをわかっているということ。その枠組みの外にイノベーションがあるとしたら、弁護士はイノベーションを起こすのに、一番近い人といえる」

弁護士はビジネスにストップをかける「守り」の存在と思われがちです。しかし、イノベーションが求められるビジネスサイドでは、ときには法的解釈が分かれるグレーゾーンに踏み入れる意識も重要だと、永見さんは主張します。

「原則としてはコンプライアンスは守るべきだが、イノベーションを起こすために目をつぶらなければいけないフェイズもある。白と黒が完全に分かれた世界しか想像できなければ、メルカリや仮想通貨は生まれなかった。イノベーションを起こす方向にドライブを効かせるためには、弁護士の経験をアンラーニングすることも必要になる」

ラクスル取締役CFOの永見世央さん

4)法務の素養を生かして活躍できる機会は増える

GAFAをはじめとするテック企業では、弁護士資格を持つ人材を「CLO(チーフ・リーガル・オフィサー)」として、経営の中枢に置くケースが少なくありません。永見さんは、こうした流れが日本でも進んでいくと見ています。

「複雑なビジネス環境でゲームのルールを理解し、『こっちに進むべき』と意思決定できる人は、ビジネスサイドでも間違いなく重宝される。弁護士資格をもらって『これで一生安泰だ!』という人は別だが、日本でも法務の素養を生かして活躍できる機会はどんどん増えていくはず」

5)指示を仰がずに、勝負どきを見極める感覚が大切

ビジネスサイド側から見ると、どのようなマインドの弁護士に来てもらいたいのでしょうか? この問いに対して酒井さんは、「指示を仰がずに、勝負どきを見極める感覚が大切」と言いいます。

「弁護士は法律や判例をよりどころにするが、会社の取り組みには正解がないこともある。ビジネスサイドで活躍するには、会社のミッションを理解し、自分で重要性を判断して行動まで落とすことが重要になってくる」

6)法律事務所は労働集約型、スタートアップはレバレッジが効く

永見さんは「ビジネスサイドへの道を選ぶかどうかは本人の価値観次第」と前置きした上で、資金調達などでレバレッジが効くスタートアップに移ることは、「リスクよりもリターンのほうが大きい」との持論を展開しました。

「法律事務所は高利益率だが、労働集約型の事業。資本のレバレッジが効かないので、得られる金額に限度がある。一方、スタートアップはレバレッジをかけているので、失敗すると潰れることもあるが、成功したときのリターンは大きい。最近では失敗のリスクが小さくなっていて、リスクを取ってリターンを取る人の金額が大きくなる流れがある」

7)「スタートアップ=野蛮」ではない

弁護士がスタートアップに転身すると、ライフスタイルにどのような変化があるのでしょうか。9月にHolmesに入社したばかりの酒井さんは、「常に脳みそが動いている感覚」と振り返ります。

「弁護士の頃は完璧な準備をして成果物を納める発想だったが、『どんどん自分でやっていかないとダメ』という意識。クライアントではなく自分で自分の締切を設定することで、事業が前に進む実感がある。弁護士の頃と違う筋肉を使っていて、毎日筋肉痛みたいな感じ」

永見さんは、スタートアップは勤務体系が柔軟なところが魅力と言います。

「僕は子どもを保育園に預けて出社するので朝型だが、勤務スタイルは自由に変えられる。2年半前に4人目が生まれたときは1か月半の育休も取らせてもらった。女性が働きやすかったり、モダンな職場環境の会社は増えているので、『スタートアップ=野蛮』というイメージを持っていたら払拭してほしい。選択肢のひとつとして、スタートアップを考えてもらえれば」

会場の参加者から多くの質問が寄せられた

8)法務の世界を飛び出すリスクは?

会場の参加者からは、弁護士が法務の世界を飛び出すにあたって、失敗した場合のリスクを不安視する声も上がりました。

この意見に対して永見さんは、「弁護士資格を持っているので、3年やってみて失敗したら弁護士に戻ればいいのでは?」と持論を展開。法務の世界を飛び出した酒井さんも「失敗しても戻れるのは、資格を持つ弁護士の強み」と同意します。

「弁護士時代は『外部のアドバイザー』という立場なので、企業との付き合いに壁があった。事業会社に入ってみると、周りの人たちとビジネスライクではないコミュニケーションができる。この経験は弁護士に戻っても財産になるはず」

永見さんは最後に、「弁護士の資格よりも、法律的な素養で意思決定できること自体が、その人の大きな価値」と締めくくり、ビジネスサイドへの転職を考える参加者にエールを送りました。

Coral Communityについて
Coral Capitalでは、Holmesをはじめとしたスタートアップと、そこでのキャリアに興味がある方を繋ぐ “Coral Community” というコミュニティを運営しています。毎月Coralが開催するスタートアップイベントの情報や、投資先スタートアップとのカジュアル面談の機会の提供など、中長期的にスタートアップでのキャリアを検討する上で役立つコミュニティになっています。ご興味がある方は、ぜひこちらから詳細をご確認ください。

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