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弁護士がビジネスサイドに転職して成功するには? 法務を飛び出した経験者が語ったこと

Coral Capitalが出資するリーガルテックのスタートアップ「Holmes」が2019年12月13日、ビジネスサイドへの転職を考えている弁護士向けのイベントを東京・大手町で開催しました。

イベントには、弁護士からベンチャーキャピタルに転職したグロービス・キャピタル・パートナーズの野本遼平さん(シニア・アソシエイト)と、Coral Capitalの澤山陽平(創業パートナー)が登壇。キャピタリストとして数多くのスタートアップを見てきた2人が、弁護士がビジネスサイドで活躍するために必要な資質やマインド、ポテンシャルを語りました。モデレーターはHolmesの酒井貴徳さん(CEO室室長)が務めました。

登壇者が語ったのは、主に次のような人たちにとって参考になる情報です。

  • スタートアップのビジネスサイドに興味がある弁護士・司法修習生
  • リーガルの枠の中で働き続けることに不安を覚えるパラリーガル・法務部員
  • 弁護士になった後のビジョンが見えないロースクール生・法学部生

イベントでは参加者からの熱い質問が数多く寄せられたので、この記事では質疑応答の回答を中心にまとめます。

弁護士がビジネスマインドを持つには?

野本:書籍を読むよりも、商売している人と仲良くするほうが大事。人間は周りにいる人に影響されやすいもの。弁護士に囲まれていたら、いくら本を読んでいてもリーガルマインドのままで変わらない。

ビジネスサイドでも(弁護士時代に培った)三段論法やロジカルシンキングは使えるが、「売上や利益をどう作るか」を意識することが大事。さらにその前に、「社会にどのような価値を提供したいのか」を考えるクセを付ける必要がある。

澤山:自分がスタートアップに携わるようになった初期に衝撃を受けたのは、正しいか正しくないかの結論を考えるよりも、とにかく前に進めなければいけないということ。

まだ世の中にないモノやサービスを生み出すスタートアップは、やってみないとわからない問題が多い。例えば、このプロダクトをどれくらいの人が使ってくれるのか、マーケット規模はどれくらいなのか、といったデータは存在しなかったりする。

弁護士のようなプロフェッショナル職は、クライアントにちゃんとした答えを返す仕事なので、回答に時間をかけることが多い。スタートアップの世界ではいかに早く、安く、実験をして、その答えをもとにどうするかを考える感覚が大事だと思う。

法律の問題は適法じゃないと刺されるので検討に時間をかけるべきだが、スタートアップでは検討に時間をかけても仕方ないことが結構多い。「やってみてダメだったら戻ればいい」という見極めもあっていい。

ビジネスサイドで活躍するために必要なスキルは?

野本:弁護士としてのスキルはほとんど使っていない。それよりも、弁護士時代のマインドセットの方が生きている。

弁護士はお客さんに「知らない」とは言いにくいので、案件毎に寝る間を惜しんでインプットするが、そうした姿勢はビジネスサイドにも共通するものがある。

澤山:Coralとしてアソシエイトを募集していていろんな人と会っているが、投資銀行やコンサル、弁護士のようなプロフェッショナル職にいた人がいいと感じることが多い。それらの人たちに共通するのは、正確性とスピードを保って物事をやりきれる基礎があること。

即戦力じゃないとダメ?

澤山:仕事を振る立場でいうと、まずは「この人なら明確にこういうことを任せられる」という強みがあればいい。例えば弁護士だったら調べ物は完全に任せてもらいながら、他のフロント業務や投資業務、起業家との付き合い方などを、スピード感を持って学んでいくのが大事。

野本:僕も弁護士から前職の事業会社に入ったときに、「柱となるもの」は必要だと感じた。具体的には、事業開発やM&Aの契約書まわりのことをこなしつつ、徐々に上流のビジネス設計や、下流のPMI(M&A後の統合プロセス)の仕事に広げていった。

仕事の幅を広げるためには知識のアップデートが必要。あとは、他の業務を持っている人から仕事を巻き取ったり、ときには仕事を奪っていくぐらいの、前に出ていくエネルギーが必要だと思う。

イベントには、司法試験に合格後、修習には行かずHolmesに中途入社を決断した須貝崇史さんも飛び入りで参加。社会人経験がない中で、どのように仕事を覚えているのかについて語りました。

須貝:自分は社会人経験がないので、毎日触れるものが新しい。学ぶしかないので、毎日の1つ1つの行動を事細かに振り返る時間を作っている。ここはだめだった、ここはよかった、明日はこれをやってみよう、とかを地道にやって、日々の積み上げをしている。

今は営業もやっているが、相手の話を聞いて、その場で解決策を出さなければならない。弁護士は膨大な判例の知識があるからこそ問題に答えられるが、営業の観点でも同じだと感じる。企業の顧客を理解したうえで営業に行くと、「このへんで困っているんだな」と具体的に理解できるようになる。それはまさにリーガル的な思考、三段論法が生きている。

ビジネスサイドに移ったら弁護士に戻れないの?

野本:ビジネスサイドでの経験は、弁護士に戻っても大きく生きる。例えば、ずっと契約書だけを見ている弁護士と、その奥のビジネスの現場や実態をわかっている弁護士とでは、後者のほうが間違いなく一歩踏み込んだアドバイスができる。ビジネスサイドを経験すれば人的なネットワークも広がるので、営業面でもやりやすくなるはず。

自分は「うまくいかなかったら弁護士に戻ればいい」というノリで、ビジネスサイドに移った部分もある。これから50年ぐらい生きることを考えると、やりがいのある仕事を見つけるほうが大事なので、弁護士になるために費やしたコストや時間への未練もなかった。

酒井:同じ弁護士事務所に戻るかどうかは別にして、ビジネスサイドで働いてから法律事務所に移動する人は少なくない。弁護士は増え、弁護士事務所も大規模化しているので、これからさらに弁護士の流動性は高くなる。

野本さんは弁護士やめるのはノーリスクと言うが、自分もそう。逆にリスクが低くて、リターンが大きい。仕事が面白いのはもちろん、個人の打算的なことを考えても、自分にとって良い時間の投資だと感じる。

パネルディスカッション終了後の懇親会では、お酒を飲みながらオフレコで聞きたい話を聞く時間もあり、スタートアップのリアルについてざっくばらんな話が飛び交いました。

Holmes

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