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大企業以上に柔軟、4人の起業家がアーリーステージスタートアップの仕事を語る

スタートアップへの転職を考える人にとって、大きな不安のひとつが「どんな働き方をしているのか」。特にマネタイズはこれからという初期のスタートアップでの仕事は想像しにくいかもしれません。

そこで、アーリーステージのスタートアップの仕事を深堀りしてみようというパネルディスカッションが、2月8日に開催したスタートアップキャリアイベント「STARTUP AQUARIUM」で行われました(全関連記事)。大企業やメガベンチャーを経て起業した4人が語った内容をお届けします。

大企業やメガベンチャーとの違いは?

多くの大企業やメガベンチャーでは、社員の役割がきっちり決まっています。それに対して、初期のスタートアップでは「この仕事は誰がやるの?」という混乱が生じることもあります。

正社員は9人ながらもコンプライアンス部をはじめとする複数の部署があると語るのは、JPモルガン証券を経て、2017年にFintechスタートアップのHandiiを起業した柳志明さん。

「1人が複数の部署を担当しなければならないのは大企業と明確に違うところ」と指摘します。

株式会社Handii 代表取締役兼CEOの柳志明さん

「創業から間もない時期は給料も働き方も厳しかった」。そう振り返るのは、大学卒業後にサイバーエージェントに入社、1年で退職して友人のエンジニア3人と起業したAnyflowの坂本蓮さん。

「みんな社会人経験がほとんどなかったので、ほぼ学生ベンチャーみたいな感じ。給料は手取り十何万円とめちゃくちゃ低いし、一時期は『もっとハードワークしないとね』ということで23時を定時にしたこともありました」

その後、いくつものプロダクトを試行錯誤し、事業アイデアが固まった現在では「シニア層のメンバーも含めて社員が10人規模になり、落ち着いた形になってきている」と言います。

Anyflow株式会社 代表取締役CEOの坂本蓮さん

働き方は大企業以上にフレキシブル?

「以前と比べて、初期のスタートアップの働き方がフレキシブルになっているのを感じる」と語るのは、P&Gを退職して2017年に物流代行システムのロジレスを創業した西川真央さん。

「初期のスタートアップは24時間365日働き続けるイメージも強そうだが、最近は変わり始めている。働き方の選択肢も多様化してきて、僕らも副業や業務委託などを認めていかないと、メガベンチャーに人を取られてしまう」

スタートアップの働き方がフレキシブルになってきたのは、メガベンチャー出身者の転職が背景にあるーー。こう指摘するのは、DeNAを経て2019年6月にフードデリバリーサービスを手がけるシンを創業した大見周平さん。

「弊社はメルカリ出身の社員も多い。メルカリさんのコアタイムが12時〜16時だったりするので、そこでアウトプット出してきた人たちがくると、そういう血がいい感じに入ってくる」

株式会社シン代表取締役の大見周平さん

初期のスタートアップに合う人、合わない人

スタートアップが働きやすい環境を整えるのは、優秀な人材に来てもらうための戦略でもあります。それでは、採用するスタートアップの立場からすると、どんな人材に来てほしいのでしょうか。同時に「こういう人は合わない」という意見も含めて聞いてみました。

「いちばん困るのは、中途採用で優秀な方ほど、自分の能力が発揮できる環境なのかを聞かれること。その方の能力とミッションが合致する責任まで求められると、こちらも逃げ腰になってしまう。逆に『これやりたいです!』と共感してくれる方は、スキルや経験が少し足りなくても、一緒に七転八倒してやっていけそうだなと思う」(大見さん)

「小さい会社なので、お互いに『この人とだったら仲良くやれそう』と思えるかどうかを重視している。スキル面と同じくらい、カルチャーフィットが大事」(柳さん)

「今のエンジニアは給料も高いし、リモートワークもOK。働き方に恵まれているが、その前提だけで来られると困る。特に初期のスタートアップはチームが大事。条件面をゴリゴリに求められると『いや、ちょっと待って……』となります」(坂本さん)

採用のミスマッチを防ぐために試行錯誤していること

採用のミスマッチを防ぐために、アーリーステージのスタートアップはどのような点を意識して採用しているのでしょうか。

「人を見る目に自信がない」という大見さんは、複数の社員に候補者と会ってもらい、Slackで印象を聞くようにしているそうです。西川さんは全社員に面談してもらい、意見を聞くなど、試行錯誤を続けています。

「その人と一緒に旅行に行けるか」「週末に街で会っても話しかけるか」を意識して採用すると、同じようなマインドの人材が集まり、チームとしてワークしていると話すのは坂本さん。

最近では、入社を迷っている候補者をチームのSlackに招待し、実際に軽い作業をしてもらっているそうです。「その方は入社してくれて、感想を聞いてみたところ『会社の雰囲気がわかってよかった』ということだったので、これからもこのやり方を続けていく」。

株式会社ロジレス代表取締役の西川真央さん

「人数が少ない初期のスタートアップではカルチャーフィットが重要」と、登壇者は口を揃えます。スタートアップへの転職を検討している人に対して、柳さんは「事業が面白いと感じても、『この人たちとは合わない』と感じたら断る勇気も重要」と呼びかけました。

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