NFTとブロックチェーンがアートやコレクションの未来である理由

最近、Non-Fungible Token(「非代替性トークン」:NFT)がメディアのトップニュースでよく取り上げられるようになりました。1番最近のニュースでは、Beepleとして知られるアーティストが、クリスティーズ・オークションハウスでNFT化した自身のデジタルアートを6,900万ドル(約75億円)で売却したことが報じられました。デジタル資産としては過去最高額である上に、250年もの歴史を誇る伝統的なオークションハウスがついにデジタルアートの競売をはじめたという点でも注目されています。しかも、実はBeepleの作品がクリスティーズ初のNFTではなく、昨年の10月にもBlock 21というNFTの競売が行われています。

NFTにあまり馴染みがない人のために説明すると、NFTとはブロックチェーン上に記録されるデジタル鑑定書のようなもので、デジタルアートだけではなく、音源や動画、記事、さらにはツイートなど、さまざまなデジタル資産の所有権を証明するものです。たとえば、今現在もTwitter創業者のJack Dorsey氏が自身の最初のツイートをNFTとして売り出しています。ちなみに、現時点での入札価格は250万ドル(約2.7億円)で、オークションの終了日は3月21日です。興味がある人のために、一応リンクを貼っておきます。

多くの人にとって、NFTを取り巻くハイプは理解し難いものかもしれません。インターネット上で何百万回でも複製できそうなデジタルデータをなぜ買いたいのかと、疑問に思うでしょう。しかし、コピーや模倣品といった問題は、当然ですがデジタル界に限ったことではありません。現にデジタルではない「現実」の世界でも、モナリザのレプリカがたくさん存在しています。NFTとは要するに、デジタル界において真のオリジナルを証明する手段の1つなのです。

NFTが最初に大きな注目を集めたのは2017年で、CryptoKittiesというプラットフォームの立ち上げがきっかけでした。ユーザーがデジタルの仮想猫を収集し、購入や売買、交配ができるというゲームなのですが、新しい猫は1匹1匹がNFT化されていて、オリジナル性とユーザーの所有権が保証されています。当時はテック界でも冗談みたいに思われていました。そんな評価も、2018年にトップティアVCのUnion Square VenturesとAndreessen Horowitzが同社のシリーズAをリードすると同時にひっくり返り、それ以来、CryptoKittiesの運営会社であるDapper Labsはいくつもの新しいプロダクトをNFT市場に送り出しています。中でも、NBAの動画ハイライトをユーザーが所有・収集できるというプロダクトが特に成功しているようです。わずか6か月前にローンチされたばかりですが、すでに3億5,600万ドル(約388億円)もの流通額を叩き出しています。ただの熱狂的なブームとして片付けられない何かがNFTにあるのは明白です。

一方で、NFTにはまだいくつかの明らかな課題が残っています。たとえば、デジタル資産を売り出している人物が本当にそれを作成した本人であるかどうかを証明するのは、オンライン市場の環境では難しい点もあります。単なる加熱しつつあるバブルに過ぎないと批評する人も多く、確かにその可能性は否定できません。しかし、これまでに多くのイノベーションがハイプ・サイクルを経て最盛期に達しているというのも事実です。長期的な視点では、デジタル・トランスフォメーションが進むのはもはや必然ですので、それに伴いオンラインの世界における所有のあり方が進化し、所有権を証明する新しい方法が生まれるのは自然な流れだと言えるでしょう。

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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