投資家に優しい条件

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Investor Friendly Terms」を翻訳したものです。この記事で言う投資家は、いちばん最後の段落をのぞくとベンチャーキャピタルの投資家のことではなく、主にVCのファンドへ出資するLP投資家(機関投資家や事業会社、個人投資家)を指しています。


Union Square Venturesでは投資資金を提供してくれる会社や個人のLP投資家に対して、シンプルで相手にとって良い条件を提示するようにしています。

今朝、Brad Feldが書いた管理報酬の再投資についての記事を読んで、このことについて考えていました。Union Square Venturesでは積極的に管理報酬を再投資しています(償還期限の近づいたファンドの20~25%で再投資しています)。

私たちはプレミアムキャリー(訳注:一定のリターン以上を達成したらキャリー分を増額すること)や通常の管理報酬以外の管理報酬を請求したことはなく、キャリーを受け取る前に、すべての資本をLP投資家に還元し、管理報酬も積極的に再投資しています。

報酬を今より高くすることは可能ですが、そうしようと思ったことはありません。

なぜそうしないのかと聞かれたときは、次のような話をします。

私とBrad Burnhamが、Union Square Venturesの最初のファンドのために資金調達をしていたときのことです。2000年代初頭で、VCとインターネット業界がメルトダウンしていました。私たちは、VCに出資する世界でも有数のLP投資家のもとを訪ねました。その人は、彼が20年以上投資してきたVCについて話をしました。

1999年終盤、インターネットバブルが最高潮に近づいた頃、そのVCはLP投資家のもとを訪れ、キャリーを20%から30%に引き上げると告げたそうです。20年間、そのVCに出資してきたLPは、引き上げに納得していなかったものの、目をつぶり、条件を受け入れることにしました。

3年後、そのVCは別のファンドを立ち上げるために再びやってきましたが、1999年に立ち上げたファンドは惨敗していました。

彼らは、「23年間、あなたとは素晴らしく、有益な関係を築いてきました 」とピッチを切り出しました。

それに対してLP投資家は、「そうではありません。私たちは20年間、素晴らしい関係を築いてきました。しかしあなたは関係をリセットし、それ以来、最悪の関係です」と返したそうです。

そのLP投資家とVCの関係が終わった瞬間でした。

この話は今でも印象に残っています。私たちの管理報酬は「市場価格よりずっと低い」と思うたびに、私は「これまでの関係を台無しにすることはない」と思い直して、仕事に戻るのです。

起業家とVCの関係にも同じことが言えます。交渉が強硬すぎると、いつかつまずいたとき、その時の報いを受けることになります。

公平で合理的に相手と接することは、後で役に立つことでしょう。特に状況が苦く、資金が必要になった時に役立つでしょう。

世の中は、そうやって回っているもの。自身の行いは、自身に返ってきます。投資家とは良い関係を築くのがベストです。

Coral Capital

Editorial Team / 編集部

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