VCとの面談での「分かりません」の言いどき
本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「I Don’t Know」を翻訳したものです。
先週、ある起業家から良い質問がありました。
「VCとのピッチミーティングで『分かりません』と言ってもいいのはどんなときですか?」
私は彼女に次のことを伝えました。
1/ それは投資家によって違います。投資家の中には、創業者がすべての質問に対し、答えを持っていることを期待する人もいます。
2/ 私はそのような投資家ではありませんが、創業者にはある程度のことについては答えを持っていることを期待します。
3/ 例えば、私が彼女に、上場している競合他社の規模や価値を尋ね、彼女が「分かりませんが、調べてお返事します」と言ったのなら、私はその答えに納得します。
4/ ただ、彼女の会社のエンジニアリングチームがプロダクトを開発するために使っているスタックについて尋ね、彼女がそれを知らないと言ったら私は落胆するでしょう。
私は、創業者が自社の業務にまつわるあらゆる側面とその細部に精通していることが重要と考えています。そうした質問については、いつでも答えられるようにしてください。これには毎月の出費、キャッシュバランス、従業員数なども含まれます。
また、投資家の質問に対する答えが分からない場合は、正直にそのことを伝え、答えを見つけて連絡すると言いましょう。その対応は早い方が良いです。
時々、投資家は馬鹿げた質問をすることがありますが、その場合でも余計なことを言わず、礼儀正しく振る舞ったほうが良いでしょう。
最後に、これにぴったりの話をしたいと思います。1991年のことです。私はウォール街向けのプロダクトを開発する優秀なソフトウェアエンジニアにシード投資をしました。シードラウンドを調達する際、私は会社の創業者を一流のベンチャーキャピタルのもとに連れて行きました。彼の会社は設立から半年ほどで、まだプロダクトを市場に投入する前でした。
創業者は市場の状況、ビジネスチャンス、プロダクトについて説明を始めました。開始して3、4分ほどが経った頃、VCが創業者の話を遮り、「来年と再来年の売上と利益の見込みは?」と尋ねました。
創業者は苛立ちました。自分たちが作っているプロダクトの話すらまだしていないのに、そのような質問で話を遮られたことに腹を立てたのです。
彼はつたない英語で「そんなこと分かるわけないだろ」と答えました。
数分後にミーティングは終わり、退出を促されました。
そのVCから出資は得られませんでしたが、会社は成功し、5、6年後には上場しています。
この話からも分かるように、事業で成功するために、ピッチミーティングで聞かれた質問に対し、すべて答えを持っていなければならないということはありません。しかし、資金を調達したいのであれば、礼儀正しく、相手に敬意を持って対応する必要があります。また、必ず答えを知っていなければならない類の質問もいくつかあります。
Editorial Team / 編集部