【米国トップVC】セコイアの4・5月新規投資、開発者向け多数

米国のトップティアVCの新規投資先をまとめて手短にご紹介する連載。今回はSequoiaの2021年4月、5月の投資先から6社のスタートアップを紹介します。Sequoiaは老舗VCですが、シード投資では開発者向けツールにも多数投資をしていることがわかります。

Bigeye（データ管理）

Bigeyeはデータの品質を保つために監視する開発者向けツールです。4月末に$77M（約84億円）のバリュエーションで$17M（約18億円）のシリーズAラウンドを終えました。ダッシュボードに異常値が表示されてしまったり、学習モデルに好ましくない影響を与えるようなデータが入ってくるのを防ぎます。機械学習を使って監視することで、データの品質を保つ労力を削減するというのが狙いのスタートアップです。ソフトウェアの開発が細かいアップデートの積み重ねとなったことで継続インテグレーションや継続的デリバリーが重要になったように、今やデータについても継続的に状態を保つニーズが出てきているのではないでしょうか。

Productboard（プロダクトマネジメントSaaS）

Productboardは2014年創業で、同ジャンルではUserVoice、One2Teamなど競合も多く日本でも利用しているスタートアップがあるかもしれません。4月のシリーズCで$136M（約148億円）を調達。バリュエーションは前回ラウンドの2倍以上の$772M（約840億円）でユニコーンの一歩手前です。ユーザーからのフィードバックを受けて、それをプロダクトの改善につなげるまでのフローで、会社内の複数組織間での情報を整理。実装すべき機能の優先順位付けなどを行い、ロードマップを管理できるプラットフォームです。グループTodoのAsanaやTrelloのバーティカル版といえるジャンルのプラットフォームです。

n8n.io（業務フローオートメーション）

n8n.ioはビジュアル開発環境で業務フローを定義できるオートメーションのツールを提供しています。2019年創業でベルリン発のスタートアップ。同ジャンルではZapierやElastic.io、日本国内でもAnyflowなどがあります。今回シリーズAで$12M（約13億円）を資金調達しました。例えば、Typeformでアンケートを取り、それをGoogleスプレッドシートに自動で流し込み。条件分岐によってフィルターをかけて一部だけをSlackチャンネルへ、残りをメールに流すという設定がブラウザ上だけでできます。Node.jsを前提としたパッケージで提供され、開発者を想定しているのがユニークです。開発者がターゲットであることから、独自定義のファンクションを組み合わせられるのが特徴です。

Release（ステージング・本番などサーバ環境生成支援）

Releaseはステージング、デモ、本番などサーバ環境を簡単に再現できる「Environment as a Service」をうたうプラットフォーム。環境変数やホスト名、必要なリソース、設定のワークフローなどを定義しておくことで、ワンクリックでステージングサーバや本番サーバを起動できるようにするとしています。環境再現が容易となることで、プリリクエスト単位で、最新の開発版をデモしたり、社内の関係部署からフィードバックをもらうためにプレビューサーバーへとデプロイするといったユースケースもあるとしています。4月末に$2.7M（約2.9億円）をシードで調達しました。

Vanta（各種認証対応の監査支援SaaS）

Vantaは、SOC 2、HIPAA、ISO 27001などコンプライアンス・セキュリティー認証に対応した監査支援SaaSを提供しています。例えばヘルスケアスタートアップは、健康情報を扱うためのHIPAA認証を取得しますが、常時更新されるデータに対して、定期的に認証を受けるのに必要なポリシーを集めたり、証跡データをそろえるといった従来マニュアルで行っていた作業を自動化してくれるといいます。Vantaは2017年創業。4月のシリーズAラウンドで$50M（約54億円）を調達しました。

Ethos（InsureTech）

Ethosは5月に$200M（約218億円）をシリーズDで調達したネット生命保険のスタートアップです。約2年前の前回ラウンドから4.5倍のバリュエーションとなる$2B（約2,180億円）でユニコーンの仲間入りをしました。過去1年で顧客数、売上とも昨対比5倍と、コロナ禍で伸びています。複雑でカスタマーセントリックではなかった米国の生命保険市場で、営業担当者と電話したりせず、オンラインだけで完結するところも従来に比べると簡易ということで受け入れられているようです。