本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「The Globalization Of Venture Capital Investing」を翻訳したものです。Fred Wilson氏による過去の翻訳記事の一覧は、こちら。
スタートアップ経済のグローバル化については何度も書いてきました。最近では基本的にどこからでもテクノロジー企業を立ち上げ、成長させることができます。少なくともこの10年間はそうです。しかし、ごく最近まで資金調達に関しては、シリコンバレーに代表されるスタートアップのハブとなる都市にいた方がずっと楽でした。
パンデミックによってこの法則は劇的に変わりましたし、USVの「投資ログ」もこれを見事に表しています。現在投資を検討しているすべての案件と、今年に入ってから投資を実施した案件を見ると、目に止まるのは創業者やチームが拠点としている地域です。現在進行中の新規案件のおよそ半数が米国外の会社です。そして過去10年間、私たちは米国外での投資のほとんどを西ヨーロッパで行っていましたが、今では西ヨーロッパの案件は少なくなっています。
昨年、一昨年の状況と比較するとこれは大きな変化です。Zoomでの資金調達や投資が広まったことで、数年前より格段に広い地域の会社にリーチできるようになりました。
USVにとってこれが追い風となったのは、私たちが特定のテーマに沿って投資を行っているおかげであると言えます。私たちはウェルネス、教育、金融サービス、気候変動、暗号資産などの分野のどんな会社に投資したいかを詳細に決めています。なので、それらのテーマに当てはまる会社なら、どの国の会社であっても対応できるのです。私たちはこの方法で投資を行ってきました。
このような変化がスタートアップ経済やベンチャーキャピタルにどう影響するかわかるまで少なくとも5年、おそらく10年程度はかかるでしょう。グローバルに投資するという動きが、投資のリターンや創業者の成功にどのような影響を与えるかはまだわかりません。私は楽観主義者なのでどちらも良い結果になると思っていますが、本当のところは時間が経ってみないとわからないでしょう。
Editorial Team / 編集部