昨年はCoral Capitalにとって自分探しの旅のような1年でした。「私たちはどういうVCなのか」という根本的な問いに向き合い、今後の方向性を決める岐路に立っていたのです。その答えが単純ではないこともわかっていました。私たちはSaaSからディープテックまで幅広い分野に投資し、投資ステージについてもシードだけではなく、その後のステージの本格的な投資にまで対応しています。また、Coral Capitalの強みは出資だけではありません。人材育成の支援や、資金調達のサポートの充実に加え、スタートアップが直面する様々な重要な課題に対し、その解決に資する知見や情報を独自のコミュニティを通じて提供しています。
Coral Capitalのアイデンティティを確立するという課題を前に、私たちは積極的にステークホルダーの起業家や社員、VC、LP投資家の方々との対話に取り組みました。そして彼らとのヒアリングや、これまでの振り返りや議論のために設けたオフサイトミーティングを通して熟考を重ねる中で、私たちはようやく自分たちの本質を発見し、1つのアイデンティティにたどり着きました。
それは、Coral Capitalは単なるベンチャーキャピタルではなく、「エコシステム」であるということです。
サンゴ礁のように、スタートアップの成功を支えるエコシステム
Coral Capitalという社名はサンゴ礁に由来し、スタートアップ企業に対する私たちの役割を象徴しています。サンゴ礁は海洋生物に食や棲み家を提供する海洋生態系の基盤ですが、同様にCoral Capitalもスタートアップを支える基盤としてその成長に必要なリソースを提供します。具体的には、資金・人・知見(日本人的に言えばヒト・モノ・カネ)が集まるエコシステムとして、スタートアップをより力強い成長軌道に押し上げ、成功へと加速させる環境を醸成します。前提として、私たちは基本的にスタートアップの成功はVCの手柄ではないと考えています。成功するのは、何よりも実際に会社を作ってきた起業家や社員たちのおかげでしょう。しかし、その成功の速さやスケールにはVCが大きく貢献できると信じています。そのため、Coral Capitalでは偉大な企業を目指す上で実質どのスタートアップにとっても不可欠な要素に焦点を当て、支援しています。
Coralの強み:資金、人材、知見
私たちは「資金・人材・知見」の3つの柱からなる支援を提供します。これらはすべてのスタートアップに共通するニーズです。まずは資金を調達し、次に優秀なチームを作り、そして急速なスケールアップに向けて知見を培う。この成長の過程を支えるにあたって、Coralのエコシステム型のアプローチはソリューションだけではなく「速さ」をスタートアップに提供します。自分たちだけだったら解決するのに1ヶ月もかかるような課題を、Coralのエコシステムでは数日というスパンで速やかに解決することを目指します。
Capital(資金)
Coralは1,000万円から20億円まで投資できます。さらに多くの資金が必要になった際には、その調達も支援できます。
- 投資家との強力なネットワーク:Coralの投資先企業は、これまでに世界有数の投資家から総額約1500億円を調達した実績があります。投資先になればCoralの「投資家プラットフォーム」や「Demo Dayプログラム」を通じて、約160名以上の投資家とスピーディーにつながることができます。また、CVCや機関投資家とつながるためのネットワーキングイベントもご用意しています。
- 海外機関投資家とのコネクション:Coralはシリコンバレー発祥のため、海外機関投資家と強いコネクションがあり、その多くは当社のファンドのLP投資家でもあります。Coralの投資先はSequoiaやGreenoaks、Khosla Venturesなど、多くのシリコンバレーのトップファームから資金調達した実績があります。
Talent(人材)
偉大な企業をつくるために資金の次に必要なのが、優秀な人材です。Coralのエコシステムではトップレベルの人材が集まる仕組みを作り、年間で約200名の採用支援を投資先のスタートアップに無償で提供しています。
- 国内最大のスタートアップ・キャリアフェア:Coralの主力イベントとして、投資先企業の採用活動を支援するキャリアフェア「Startup Aquarium」を毎年開催しています。2,000人以上を集める当イベントは、参加企業にとってのPR効果も抜群です。
- 国内最大のスタートアップ向け人材データベース:投資先のための人材データベース「Coral Careers」には1万2000人以上が登録しています。マッキンゼーやGoogle、メルカリをはじめとした多くのトップ企業出身の人材にアクセスできる窓口となっています。
- エグゼクティブ採用支援: 会社の将来に大きく影響する重要なポジションの採用については、なるべく早く人材が見つかるようにCoralの自社サービスを通じて採用を直接サポートいたします。
Insights(情報や知見)
資金と人材を手に入れたら、次は実際に会社をつくるためのプレイブック(戦略やノウハウ)が必要になるでしょう。Coralのエコシステムは、同じような課題に取り組む何百人ものスタートアップ起業家や専門家が互いの「顧問役」となって情報や知見を共有できるコミュニティを提供します。
- 投資先スタートアップのためのプライベートソーシャルネットワーク:Coralの投資先になれば、SmartHRやカケハシ、京都フュージョニアリングなど100社以上のスタートアップの知恵が集結したプライベートソーシャルネットワーク「Coral Community」に参加できます。スタートアップの起業家や社員がコミュニティに質問を投稿できるのはもちろんのこと、アドバイスや紹介を求めて特定の人物を探したり、あるいは潜在的な顧客を見つけるための企業名簿としても活用できます。
- 会社づくりについて学べるワークショップやイベント:「Go-To-Market戦略はどうしよう」や「報酬制度をどう考えるべきか悩む」などお困りではないでしょうか。Coralでは投資先のスタートアップが最新のベストプラクティスについて常にアップデートできるように、毎年100以上のイベントを開催しています。
- エグゼクティブランチ&ディナー:投資先の経営陣の皆さまをご招待し、著名な大手企業のエグゼクティブや創業者などと交流を深められる機会を定期的に設けています。互いに語り合う中で、新たな洞察や機会が生まれることを願ってご用意しています。
エコシステムの中核となる「Coral Beach」がオープンします
このエコシステムのコンセプトを具現化する場所として、Coralの投資先向けコワーキングスペース「Coral Beach」が2024年2月にいよいよオープンします。虎ノ門の新築ビルの最上階を占めるこのオフィスは、投資先企業の方々が集まるエコシステムの「中心地」として機能する予定です。ワークショップや交流のために来ることも、ミーティングスペースや単純にいつもと違う刺激的なワークスペースとして活用することもできます。そして何よりも、このオフィスは投資先企業間の偶然の出会いや交流を促進する場となるように一から設計されています。交流を通じて情報の共有やネットワークの拡大が円滑に進み、スタートアップ企業がともに成長できるエコシステムが育まれることを願っています(プレスリリースはこちらです)。
今後の取り組み:エコシステムのさらなる積極的な増強
2024年に向けて、Coral CapitalはCoral Beachを中心としたエコシステムのさらなる充実に注力して参ります。コラボレーションの促進を狙ったこの「ハブ」は、資金調達や人材獲得、知見の共有に向けた様々な取り組みを推進する上で重要な役割を果たすでしょう。活気ある空間を作り、スタートアップを成功へ加速させることで、私たちの「エコシステムVC」としての役割を確固たるものにし、VCであることの意味を再定義することを目指します。
これからのCoral Capitalは「エコシステムVC 」なのです。
Founding Partner & CEO @ Coral Capital