私たちの仕事人生に最も影響することの一つが、時間の使い方です。どこかで何かをすることに時間を使ったら、同時に別のことに時間を割くことはできません。ネットワーク理論を発展させたハンガリーの物理学者 Albert-László Barabási(アルバート=ラズロ・バラバシ)氏は以前、時間とは「私たちにとって最も貴重で再生不能な資産である」と表現したことがあります。確かに再生不能です。時間に限りがあることは全ての人間に唯一共通していることなので、これを賢く使わない手はありません。
時間的に、一番大きな負担になるのが会議です。会議はまるでヒルのようです。あなたの血こそ吸いませんが、代わりにあなたの時間を奪ってしまいます。しかし、ヒルも会議も役に立つ場合があります。ヒルは天然の抗凝固成分を分泌していて、血栓予防や正常な血流の回復に貢献します。会議もまた、天然の抗凝固成分を分泌するように、コミュニケーション不足や人間関係の構築に貢献することがあります。
とは言え、良薬であっても過剰な摂取はよくありません。適度な摂取のための、私なりのベストプラクティスをご紹介します。
会議は30分(または30分以内)にする
1つの会議に1時間を確保したくなりがちです。しかし、1件1件の会議に本当に丸1時間も必要ですか?ほとんどの場合、その答えはノーです。きちんと準備が整っていて議題もはっきりしていれば、30分で十分なはずです。短めの電話会議で済ませられるのであれば、なおのこと良いでしょう。もちろん、例外はあります。議題のないカジュアルなミーティングや議題数の多い株主総会などがその典型です。とにかく重要なのは、1時間をデフォルトにしないことです。会議に割り当てる時間を予め調整しておきましょう。
会議に遅刻しない
会議に遅刻すると、他の参加者の時間を無駄にしてしまうばかりか、自分の時間までもを無駄にします。5分や10分の遅刻なんて大したことないと思うかもしれませんが、こうした小さな積み重ねは雪だるま式に増えていくものです(私もこの点完璧ではありませんが、できる限り他の方々の時間を無駄にしないよう意識しています)。
会議をしない時間をスケジューリングする
「会議をしない時間」を設けるようにしています。終わった会議やこれから行う会議について深く考える時間が必要だからです。全ての時間を会議に費やしてしまうと、考える時間がなくなってしまいます。さらに、会議で決まった事を遂行し忘れ、準備不足に陥り、その後の会議でも生産性を欠き続けます。物事をしっかり考え計画する時間を設けましょう。
不必要な会議は断る
会議に誘われる度に、本当にその会議が必要かどうか考えるようにしましょう。具体的な質問であればメールで回答できるのではないか?ささっと電話で済ませられるのではないか?直接対面するより、もっと生産的な方法がある場合が時々あります。そしてときには、そもそも断る方が良い場合もあります。自分が適任者でない場合や、注力しなければならないより優先順位の高いものがある場合などです。失礼にならないよう丁寧に断りさえすれば、会議そのものを辞退しても全く問題ないはずです。
会議の怖いところは、生産的であったという錯覚に陥りがちなところです。しかし、本当の進捗は、会議ではなく現場でこそ起きているのです。会議は、仕事を進捗させるための抗凝固剤に過ぎません。適度に摂取すれば良薬になり得るし、過剰に摂取するとあなたの貴重な時間を奪ってしまいます。会議を賢く利用しましょう!
Founding Partner & CEO @ Coral Capital