シードステージの起業家の中には時々、詳細な事業予測をピッチしてくれる方がいます。「X年以内にX円を売り上げる!」、中には5年先まで予測したスライドまたはスプレッドシートをプレゼンしてくださる方もいます。しかし、そのほとんどが意欲の表れ過ぎず、ごく稀に保守的なものがあっても、これら全てに共通する事が一つあります。それはあくまでも予想にすぎないということです!
会社がシードステージの場合、投資家に収益予測を示す必要はほとんどありません。予測の前提となる実績が不足しているため、たとえ詳細な収益予測資料を用意していただいても、あなたが仕事に前向きであり、もしかすると想像力が豊かなことぐらいしか、私たちには伝わらないのです。予測について確信を持って言えることがあるとすれば、それは、ほぼ間違いなくハズレるであろう、ということです。
私たちには、ぜひ事実を話してほしい。例えば…
- どれくらいの資金が残っているのか
- (ネット)バーンレート(月々実際に使ったお金から収入を引いたもの)と支出の内訳
- 資金調達後のバーンレートと支出の内訳
私たちにとっては、このような情報が重要なのです。つまり、1番目と2番目はファクトであり、3番はあなたのコントロール下にあるものです。顧客はコントロールできなくても、予算は間違いなく管理できるはずです。加えて、あなたのアイディアの成長可能性をアピールしたいのであれば、それをサポートするファクトを提示するのが良いでしょう。ある業界に共通する課題を解決しようとしている場合、その課題が未解決のままだと、どれぐらいの損失がその業界に発生するのでしょうか?その業界の潜在顧客数は?このように、予測ではなくファクトに基づいて、事業がきっと大成功するであろうことを投資家に伝えることも可能なのです。
詳細な5カ年計画を要求する投資家も、一部には確かに存在します。でも、これはほとんど全く必要のないものであり、創業者の貴重な時間の無駄であるばかりか、シードステージの投資に伴う不確実性に投資家が適応していないことを示しているのではないか、と私たちは考えます。不要なデューデリに時間を無駄に費やしたり、官僚的な社内承認システムがあったり、投資後に不合理な報告義務を強要されるリスクがあるかもしれません。時間を寸分たりとも無駄にできないシードステージでは、無駄なことを求めない投資家を選びましょう!
Founding Partner & CEO @ Coral Capital