弊社では、「投資家に会うのに早すぎるということはありません」というメッセージで、創業間もない企業や起業前の方からのご相談も受け付けています。その一方でたまに起業家から「まだ何にもない状態で投資家に会ってしまうと、その時の評価でその後話をしてもらいづらくなることはないか」という質問をされることがあります。私はYesでもありNoでもあると思っています。今回は早い段階で投資家に事業相談するメリットとリスク、そのあとの理想的なコミュニケーションの取り方についてご紹介します。
何にもない状態で、投資家にアイディアの壁打ちをするメリット
今考えている事業の可能性やリスク要因、展開方法に関して、自分の考えをぶつけてディスカッションすることができます。
より広い視野の話を聞くことでアイディアをブラッシュアップしたり、最適な人を紹介してもらうなどの機会にもなるかもしれません。
早い段階で投資家に会うリスク
アイディアの壁打ちで投資家に会いにいった際、一人で考えられるはずのこともきちんと検討していないと、「この起業家は実行できなさそう・考えが浅い」という低評価をされるリスクはあります。また、評価はさておき、要点がまとまっていないと時間を取っても有意義な議論ができないリスクも同時にあります。
上記に鑑みると、アイディアがちょっと浮かんですぐ投資家に会いにいくよりは、アイディア段階といえど、その事業のポテンシャルや市場分析、リスク分析等は自分でできる限りはしっかりと考えた方がいいでしょう。
アーリーの投資家としては早く投資することで大きなリターンを得るため、どこよりも早く会いたいというのが本音です。しかし起業家の視点に立つと、急がなければいけない理由(例えば、すでに実証されたモデルで競合が動き始めている時など)があったり、具体的な相談事項がある場合以外は、自分で可能な限り検討してから会った方がメリットが大きいのではないかと私は考えています。
一度低い評価がついたらもう会えないのか?
仮に初回のミーティングで低い評価を受けていても、前回からどのように考えが変わって、進捗しているのかを伝えた上で、具体的な相談内容や調達の内容を連絡すれば、再度会ってもらえる可能性は高いでしょう。
起業家とその事業の成長は投資家の想像を超えるほど著しいこともしばしばあるので、前に会ったときの評価を更新しない投資家はあまりいないのではないでしょうか。少なくとも弊社では、初回に会った時の評価が高くなかったとしても、時間が経って様々なアップデートがあり事業が進捗しているのがわかれば、また評価は変わります。実際に、パートナーがお会いしてあまりポジティブな印象がなかった起業家さんでも、その後、懸念事項をうまく解決していたり事業が進捗している旨の連絡をいただくと、ぜひ会いたいとなることもよくあります。
大事なのは間が空いた時間を、起業家が有効に使っているかどうか、またそれが事業の成長に結びついていたかでしょう。だからこそ、一度話した投資家と再度アポを取る際は、きちんと前回からの進捗と成果を伝えることが極めて大事だと考えています。
Senior Associate @ Coral Capital