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リブランディングは「僕らの役割を再定義しただけ」500 Startups Japanが見つけた“Coral”という答え

500 Startups Japanは「Coral Capital」としてリスタートしますーー。

2019年3月、500 Startups Japanは「Coral Capital(以下、Coral)」へとリブランディングを行いました。Coralの意味は「Coral reefs(サンゴ礁)」。あらゆる海洋生物の棲み処や餌場となり、生命のエコシステムとなっているサンゴ礁のような存在を目指す気持ちを込めてつけた名前でもあります。

リブランディングは、これまでのイメージを刷新する大きな変化の1つ。このタイミングで500 Startups Japanではなく「Coral」と名乗る決断をした背景にはなにがあったのでしょうか。共同創業者であるJames Rineyと澤山陽平に聞きました。

Coralの名前は「自分たちの役割を再定義しただけ」

前身である「500 Startups Japan」が立ち上がったのは2016年2月。共同創業者であるJamesと澤山にインタビュー冒頭で今回のリブランディングについて問いかけると、返ってきたのは「これまでやってきたことの延長線上」「自分たちの役割を再定義しただけ」ーー。

James:今回のリブランディングは、澤山とともに「自分たちのブランドでVCをやりたいね」と議論し続けてきたものです。それも「いつやるか」という話し合いが中心でしたね。もちろん、投資家やVC業界の方々、そして投資先の起業家にも相談していました。うれしいことに、みなさん肯定的で「応援するよ」とまで言ってくださって。「ならば!」と、自信を持ってチャレンジすることにしたんです。

澤山:そうですね。VC業界でも、投資家による独立はよくある話です。僕らも「いつかは独立してオリジナルブランドを立ち上げたいね」と話し合っていました。VCとは、結果が出るまでに時間がかかる仕事。長くて10年かかることもあります。Jamesの言うとおり、今回のリブランディングでは「今やるべきか」「もう少し結果を出してからなのか」を議論していました。

VCとしての立ち上がり当初は、本拠地であるアメリカ・500 Startupsと同じ戦略スタイルでスタート。試行錯誤を続けるなかでわかったのは、500 Startupsがアメリカで気づいてきた戦略と、日本でとるべきと感じる戦略にズレを感じるということでした。

James:500 Startupsはシードファンドのアクセラレーター。そのため、少額で多くのスタートアップに投資していくスタイルがあります。当初は僕らもそれに近いスタイルでしたが、次第に1社1社との関係性が薄くなり「お金以外でのバリュー」を提供することが難しくなっていったんです。

澤山:起業家たちは、常に多くの悩みや課題を抱えています。それは資金面しかり、採用面しかり。ポートフォリオの数が多すぎると、そういった手厚いサポートをするのは難しくなります。先ほどJamesが話していた「お金以外でのバリュー」は、僕ら独自の戦略としてこだわり続けてきた要素でもあります。Coralは、そんな今の僕らをさらに強く打ち出す意図を込めたリブランディングなのです。

「僕らはVCという事業を行う起業家」

「お金以外のバリュー」。スタートアップの起業家にとって、資金は事業の生死を分ける欠かせない要素です。その資金を提供する側である2人があえて“お金以外”とを強調する理由とは?

James:僕らがVCとして投資家や起業家の信頼を集めるためにまず意識したのは「スタートアップ業界間との関係性強化」「起業家へのリスペクト」でした。起業家をサポートし、事業を大きくできれば、結果的に資金が集まるようになります。そこで僕らは「起業家ファースト」として、投資先企業がスケールするサイクルをつくろうと決めました。

澤山:僕らにとって、投資先企業は「カスタマー」。それに対して、どういったサポートができるかを考え、次々と実際に提供していくのがCoralの役割です。

James:まさにそれ! 僕も澤山も「VCをやっている」よりも、「VCという事業をやっている起業家」という感覚のほうが強いんです。今のやり方も、起業家のためのサービスをつくっているようでとても楽しいですし。

澤山:そもそも500 Startupsの誘いを受けたのは「僕ら2人なら、日本に大きなインパクトを与えられるかもしれない」と感じたから。2人とも「VCとして」という考えに縛られすぎていなかったこともあり、今のCoralに至る考えに違和感はありませんでしたね。

では「VCという事業をやっている起業家」として、投資先企業に提供できるサービスとはなにか? 過去3年で2人が築き上げてきたのは「資金調達」「PR」「採用」「コミュニティ」の4つ。

澤山:起業家と直接話したり、匿名で投資先からアンケートをとるなどして、彼らが本当に求めているサポートを探り続けました。そして、彼らから寄せられた悩みや課題をカテゴライズしてみると「資金調達」「PR」「採用」「コミュニティ」の4つに分けられることがわかったんです。であれば、僕らがそれを解決し、彼らの成長をサポートできればいい。そして、資金調達・PR・採用・コミュニティを全体的にフォローできる起業家支援プラットフォームづくりを始めました。

少人数チームだからこそ意識した、仕組み化

しかし、プラットフォームづくりは1日にして成らず。さらに言うと、個人の人脈や経験、ノウハウで起業家をサポートするVC事業は、属人的になりやすいところも多い。Coralのチームメンバーは現在5人。そのなかで、起業家支援プラットフォームをどのようにスケールさせていくつもりなのでしょうか?

澤山:プラットフォームづくり以前から、あらゆる場面での「仕組み化」を進めていました。例えば、資金調達。僕らとしては投資家やほかのVCを紹介するといったサポートを行うわけですが、漠然と「◯◯さんを紹介しよう」だけで動いていては労力も時間もかかってしまいます。そこで僕らは、知り合いの投資家やVCの方々がどんなことに興味があり、どれくらいであれば投資してもらえそうかなどをCRM(顧客管理システム)を使ってデータベース化しました。そして、投資先企業が次の資金調達を始めるときにデータを抽出し、紹介などを効率的に進められるようにしたんです。

James:仕組み化のおかげで、2017年までに投資した28社のうち、次のステージに進んだのが23社。残る5社のうち2社は現在資金調達のクロージング中、1社はM&Aされました。このやり方は起業家支援プラットフォームの資金調達面でも活かされています。

この「仕組み化で解決する」のやり方は、資金調達だけでなく、採用やPR、コミュニティにも活かされているとのこと。

澤山:資金調達をしたあとも、採用だけは知り合いづての紹介が中心となるパターンはとても多いです。これも先ほどの資金調達と同じ、スケールしないやり方ですよね。その解決策として考えたのが、投資先企業にマッチしそうなタレントプールをつくること。Coralでは専任のタレントマネージャーとして津田を採用し、タレントプールを増やすためにイベントなどを積極的に開催しているところです。

James:PRも、この発想に近いところがあります。とくに起業したばかりの投資先企業はメディアの目に止まりにくい。一方で、僕らのところには「おもしろい会社はありませんか?」「こういった領域のこういう会社はありませんか?」と国内外のメディアから問い合わせがあります。ここでもCRMを使って、メディアごとの特徴や記者さんが興味ある分野がわかるデータベースをつくりました。そこから投資先企業の発表にあわせてリリースができるようにしています。投資先企業側にはPR支援を行う吉澤がリリースに向けたディレクションやプレスリリースの添削などもしていたり……わりと泥臭いこともしているんです(笑)。

そして「コミュニティ」。これも起業家支援プラットフォーム以前から取り組んでいたことの1つだという。

澤山:先ほども話しましたが、起業家たちはさまざまな悩みを抱えていて、かつ千差万別です。資金や採用、PRはサポートできても、彼らの目線に立ち、リアルタイムで深い悩みに応えることには限界もあります。なにより、投資家である僕らに話しにくいことだってありますよね。それを解決するために、投資先企業が横でつながりを持つためのコミュニティを大事にしています。

James:コミュニティのキーワードは「ネット×リアル」。リアル面では、月一の勉強会に加え、四半期に1回、投資先企業を呼んでバーベキューやお花見のようなカジュアルなパーティーを開いています。それぞれのご家族も呼んで。そういったイベントを重ねることで、より密な関係性を構築していきます。そしてネット面では、Facebookグループで起業家のみのオンラインコミュニティを運営しています。この2つのかけ合わせで、起業家たちの悩みが相談されやすい土壌をつくり続けてきました。

Coralは“ファミリー”

Coralでは、「ハンズイフ」の姿勢も継続。そこでさらに意識したいのが「僕らをどう使い倒してもらうか」だと、Jamesと澤山は口を揃えて語ります。

澤山:僕らには「僕らを使い倒してくれるような起業家に投資したい」という考えがあります。少し厳しい言い方になりますが、手取り足取り……といったサポートをこちらから申し出ることはありません。どちらかというと、Coralというリソースを使い倒せる起業家とのほうが相性がいいかもしれませんね。

James:Coralでは、投資が決まった起業家と「どう僕らを使い倒したいか」を話し合うオンボーディングミーティングを必ず実施しています。そこから、どんなサポートをしていくのかを決めていくんです。起業家が僕らのサポートを望んでいることはわかりますが、「どういったタイミングがいいのか」「どう相談すればいいのか」がすれ違いにならないよう、キックオフミーティングだけでなく、匿名での満足度調査も定期的に行っているのです。

そういったやりとりを続けてきた結果、Coralに集まった投資先企業にも特色が見えつつあるという。

澤山:ハンズイフの姿勢を貫き続けてきたこともあり、Coralには「なにをしたいのか」「だからこういったサポートがほしい」とはっきり言える起業家が集まり続けています。SaaS系スタートアップが多いので、最近では大企業に勤務していて、その業界のレガシーな状況を変えたいという人も増えていますね。日本独特の事情なのか、起業家支援プラットフォーム内でも大企業出身の起業家たちが「嫁ブロック対策はどうすればいいのか」「自分が内定者の奥さんを説得するときはプレゼン資料をつくった」なども話し合うというウェットなやりとりもありました(笑)。

James:そうそう(笑)。VCやエンジェルによって投資先企業を「一門」「道場」といった呼び方をしているところもあります。それで言うと、Coralの場合は「ファミリー」。投資先企業間のやりとりが「家族ぐるみ」と言っていいほど密なのです。また、投資先同士が集まる季節のイベントには家族を連れて参加してくれる起業家さんが多いのも、ファミリーならではだと思っています。我々自身をCoralと再定義した今、業界内のレガシーな領域を変えるべく立ち上がった人たちをスタートアップ業界に引き出し、世界にインパクトを与える流れをさらに加速させていくことになりそうです。
新しい会社からのスタートとなり、我々もスタートアップです。私たちのプロダクトは起業家をサポートする事です。Coral Capitalとして、今後も起業家が世界を変えていく姿を応援し、共に学び、成長したいと思っています!

コミュニティマネジメントスタートアップ支援ハンズイフ

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