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J-KISSシミュレーターを公開します

J-KISSおよびコンバーティブルの利用が日本でも進んできました。500 Japan/Coral Capitalとしても、J-KISSに関する記事や、手続き書類をまとめたJ-KISSパッケージを公開したり、シードファイナンス勉強会「Coral School」を毎月行うなど様々な啓蒙活動を行っています。

一方で、J-KISSを含むコンバーティブルの利用における留意点や課題についての議論も活発化してきました。その中でも、転換後の持分比率がどうなるのかは特に重要な点です。実際、米国でもY Combinatorがコンバーティブルを重ね過ぎた場合の複雑さを排除するために、SAFEをpost moneyベースに修正するなどの動きも出てきています。J-KISSについても今後何かしら改良を行う可能性はありますが、まずすぐに使えるものとして、転換後の持分比率を計算できるシートを公開することにしました。(実は、投資先やCoral School参加者には以前から共有していたものだったりします。)

J-KISSはコンバーティブルエクイティであり、出資時点では投資家の株式持分比率は確定していません。ただし、キャップとディスカウントというパラメーターは定められているため、シリーズAの条件さえ定まれば、投資家の株式持分比率は計算可能です。実務的には、資本政策表において、キャップベースの転換価額で計算した転換後の株数を、潜在株式に記入する形で管理しているケースを良く見ます。

しかし、シリーズAのバリュエーションによっては、ディスカウントをベースに転換されることもあり、J-KISSが複数回重なるとその計算はやや複雑化します。投資家の観点からはキャップで決まるミニマムの持分比率をベースに投資検討を行えば良いとも言えますが、一方で、起業家側では、キャップで転換した際の比率だけでなく、キャップを超えずディスカウントで転換される場合、つまりダウンサイドシナリオについても、実際にどの程度のインパクトがあるのかを認識しておくべきです。

J-KISSによる投資を検討する際には、ぜひこのJ-KISSシミュレーターを活用し、最終的にどのような株主構成になるのかを考慮しながら交渉を進めてください。




500 Startups JapanチームでCoral Capitalを立ち上げたことを受け、J-KISSの公開およびメンテナンスはCoral Capitalで行っています。J-KISS関連については以下のリンクを参照してください。

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Founding Partner @ Coral Capital

Yohei Sawayama

Founding Partner @ Coral Capital

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