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資金調達額は、可能な限り多くすべきか、それとも必要最低限にすべきか

創業者の資金調達を支援しているときに、頻繁に話題に上るテーマが、そもそもいくら調達すべきかです。会社のステージや状況によりますが、結局のところ、大きく行くのか、それとも、必要最小限の資金のみを調達するのか、というのが決断のポイントになります。

ソフトバンクのビジョン・ファンドがある時代に、小規模で行くことは、馬鹿げていることに聞こえるかもしれません。しかし、小さいことが美しい(small is beautiful)ケースはたくさんあります。Mailchimp、Stitchfix、SurveyMonkey、Githubを始めとする多くのスタートアップは、バリュエーションに対して非常に少ない資金調達を行った、とても資本効率の高い事業でした。調達額が少ないと、創業者と既存投資家双方の持分の希薄化を最小限に抑えることができるので、うまくいったときには全員がものすごい恩恵を享受できます。

ですが、調達額を少なくすることにあまり意味がないケースも多々あります。わかりやすいのが、構造的に多くの資本を必要とするビジネスです。ハードウェアやオルタナティブ・レンディングの事業がその一例です。一方、競争の激しさから多額の資本を要するビジネスもあります。このようなケースは若干トリッキーです。

その問題を解決するのに資金が必須というわけではないですが、軍資金が潤沢にあると、競合他社に比べて、スピード感をもってより多くのことを成し遂げることができます。例えば、Uberはライドシェアリング競争の象徴として、アグレッシブに資金調達することで、競合を叩き潰してマーケットシェアを獲得しました。Lyftは、Uberより少ない調達額でしたが、それでも生き残りをかけて数十億ドルを調達しています。Uberは、結果的には中国、東南アジアと中東のマーケットは失ったかもしれませんが、Uberの成功ぶりを鑑みると、多額の資金調達をしたことは間違いなく正しかったことなんだろうと思います。DiDiやGrabも、縄張りを守るために、何十億ドルもの資金調達をしましたし、Careemも同じ目的で約10億ドルを調達した後に、最終的にはUberに買収されています。同じ規模で資金調達をしなかったその他の企業は、消えていきました(Sidecarという企業を覚えている人は少ないですよね?)。

日本の場合、わかりやすい例はフリル(現ラクマ)とメルカリです。スマホでのC2Cマーケットプレースを最初に構築したのはフリルlでした。ですが、よりアグレッシブだったのはメルカリでした。メルカリは、迅速に動き、より多くの資金を調達し、マーケットシェアの獲得により多くを投資しました。フリルは、最終的に数十億円で買収されましたが、メルカリは、数千億円で株式公開しています。

そこで、大きく調達するか「ほどほどの調達でいくか」の選択肢を迫られたときに検討すべきなのは次の事項です。

1) 競合他社はどうしているのか?
2) 二者択一的なのか?つまり、資金調達をしないと、フェイドアウトして消滅してしまうのか?(あるいは、消滅するほどではないけど、想定より大幅に小さな成功しか得られなさそうか)。

シード投資家として、希薄化は極力避けたいと思っています。しかし、マーケットを独占できる企業の小さな持分を持つのと、敗北してしまう企業の大きな持分のどちらかを選ばなければないのであれば、その答えは明白です。

*ここでの前提は、チームが、そのビジネスは長期的スパンで成長することを確信していて、調達資金の使いみちについて共通の理解がある場合です。プロダクトマーケットフィットがないまま、そして、調達資金の使いみちについて大まかなビジョンを持たないまま、資金調達をすることは言語道断です。

**もう一つ検討しても良いのは、資金調達のコストです。今は強気相場なので、少ない希薄化でより多くの資金を調達することが可能です。次ラウンドの資金調達に悪影響が及ぶような高いバリュエーションを設定しなければ、マーケットが許す範囲内でより多くの資金を調達することは賢いことです。マーケットの状況が変わったときに、調達しておいてよかった、とつくづく実感するはずです。

エクイティファイナンスベンチャーキャピタル競合調達金額

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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