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グロースハックとは?Zehitomoの事例から見る、グロースハッカーとしての心得

サービスのリリースを終えたなら、あとは脇目もふらずに急成長を目指すのみ。その際、要となるのがやはり「グロースハック」です。しかし、ひと口に「グロース」と言えど、特にスタートアップの初期フェーズでは何から始めればいいのでしょうか?

Coral Capital(以下、Coral)でスタートアップのグロースハックの話題になると「あの人にヒントをもらうといいよ!」と、高確率で名前が挙がる人がいます。それが、投資先である株式会社Zehitomo林 康紀さん。プロとユーザーをつなぐマッチングサイト「Zehitomo」のSEO、Facebook広告運用、Adwords広告運用、ランディングページやファネル最適化、Eメールマーケティングなどを担当する彼は、サービスローンチ時はマーケティング予算を増やさずに需要を数十倍成長させるというグロースに成功しています。

では、そんなZehitomoではどのようなグロース施策が行われていたのでしょうか。また、そのなかで最も意識していたことは何か? さっそく、林さんに話を聞きました。

「この数値を因数分解するとどうなるか?」から方程式を導き出す

林さんがZehitomoに入社したのは2016年。当時、すでにサービスをリリースしていたZehitomoが目指していたのは「依頼数の増加」でした。そのため、林さんは入社後すぐ、広告運用などを含むWEBマーケティング周りを担当することになったのです。

林:Zehitomoはプロの方々とお客様をつなげるサービスです。ここでは「依頼されたい人」「依頼したい人」という2種類のお客様が存在していますが、僕が入社してすぐ担当したのは「依頼したい人を増やす施策」でした。そこでまず注目したのが、SEOだったのです。

広告も運用していたものの、スケーラビリティの観点から広告だけでのグロースは難しいと判断。そこからSEOに着目した理由は何だったのでしょうか?

林:入社してすぐ、Zehitomoに似たサービスの事例を徹底的に調べました。特に注目していたのが、海外での事例です。IACが公開しているレポートなど、いくつか見ていくなかで気づいたのは、多くのサービスがSEOを強化していること。日本のローカルビジネスのサーチボリュームを調べれば調べるほど、挑む価値があると思いました。そのときすでにZehitomoでも「SEO強化」という案はありましたが、未着手状態だったこともあり、僕が仕組みをつくることにしたのです。

とはいえ、闇雲に数値を増やせばいいわけではないことは周知の事実。ZehitomoがSEO強化に取り組む理由はもう1つありました。

林:グロースハックを始めるうえでまず考えるべきは「この数値を因数分解するとどうなるか?」。そして「掛け算になる数値」を見つけて、増やしていくことに注力する。Zehitomoの場合、「ページに来た人数×依頼を出す確率=依頼数」という方程式から「ランディングページを強化し、ファネルを最適化することで、ページに来る人も、依頼を出す確率も増やせることができ、依頼数を伸ばせるのでは?」という案にたどり着きました。SEO強化に至った理由には、こうした背景もあったんです。

「小さく始める」「爆発的に伸ばせるかどうかで判断する」

そして、本格的にSEO施策を実施。しかし、今よりリソースが限られていたZehitomoでうまく進めるにはどうすれば? 林さんは以下のポイントに絞ります。

  • ディレクトリページの作成に注力
  • 小さいスコープで実践する
  • スケーラビリティを見て継続を判断

林:本格的にSEO施策に取り組むため、ランディングページの作成をスタートしました。また、先ほど海外での事例をチェックしていたとお話ししましたが、どのサービスもブログより「ディレクトリページ(業者一覧ページ)」が充実していました。Zehitomoでも、業者などのデータベースにある情報を適切に表示するディレクトリページを自動生成する仕組みをつくりました。その結果、自然に依頼が発生する流れができたんです。

思いついたアイデアはすぐ試す。その際、いきなり全ページで実施するのではなく、あくまでも「小さいスコープで実践」していきます。

林:当然ですが、スタートアップは人や資金面に限りがあります。これは、半年後には姿を消しているような状況下とも言えます。それに加えて、ヒットするかどうかわからない施策に数百万円かけ、それも半年かけて準備した結果が「失敗だった」なんて……会社としては目も当てられないですよね? 会社を大きく成長させる一手になるかもしれないけれど、最初の一歩は小さく始めることが大事です。例えば、1日で1万円かけて数値を積み上げてみる。そうすると、ユーザー登録数が10になれば「この施策では一人あたり1,000円かかる」ことがわかります。そうやって小さく始めて、とにかくテストして、知見となるデータを溜めていきます。

Zehitomoも、ランディングページの作成も特定の職種内でスタートさせた、と林さん。

林:「都内」「カメラマン」という特定の分野で実施しましたね。そこで手応えを感じてから、他の職種でも実施していくようにしていました。そこから、うれしいことに依頼数がどんどん増えていったんです。

「この施策はうまくいく」。手応えを感じ、さらに注力するかどうかを判断するときこそ立ち返りたいのが「施策自体をスケールできるか?」「数値を爆発的に伸ばせるか?」。

林:サービスを大きくするための施策だからこそ欠かせないのが、「いけそうだ」と感じたとき、「そもそもこの施策はスケールできるのか?」と立ち返って考えること。それも、単に増えるのではなく「限られたリソースのなかで10倍にできるかどうか」。自分の思い入れだけで暴走しないよう、この意識は常に持っていました。

「最良の一手」を見つけるためにひたすらテストを繰り返す

とはいえ、グロースハックはすぐに結果が出るものでもありません。「だからこそ、とにかくテスト!」と林さんは言いますーー。

林:できるかぎり「こうすれば数値が伸びるんじゃないか」という仮説を立て、小さなスコープでテストを繰り返します。例えばSNSでのトラフィックを増やしたいとき、「動画を投稿すればトラフィックが増える」という仮説を立てたとします。だからと言っていきなり動画チームを結成するのではなく、自分で10秒程度の動画を撮影してみる。そして「動画時間が10秒でトラフィックが200だったから、30秒にしたらどうなるのか」「毎日投稿したらどうなるか」を試し、その結果から手段を取捨選択していく。グロースハックでは、いかに良いものを早く見つけて、勝ち筋を見つけ、その勝ち筋を拡大していくかが大事。チャンスを掴むには、あらゆるパターンを試していかなければならないのです。

スタートアップは常に変化していくもの。計画と戦略を持ってグロースハックに挑んでいても、求められる結果が変わることはよくあります。

林:「この数値を上げる!」と強い想いを持つことはいいのですが、すでに勝ち筋として見つけた特定の施策に固執しすぎてしまうのもよくありません。事業の方針が変われば、求められる数字も変わります。そうなったらまた、方程式を出し直す。そして、必要な数値を上げるための施策を考え、小さく実行していく。スタートアップでグロースハックをする際は、そういった動きができるように柔軟性を保つようにしておいたほうがいいですね。

そうなると、グロースハックのゴールはどのような定義になるのでしょうか? 質問してみると、林さんの答えはシンプルなものでしたーー。

林:ないです(笑)。だって、サービスや事業を常に成長させ続けることが僕らのミッションなんですから。変化が激しいスタートアップでは求められる数値が変わりますが、グロースハッカーにとって「数値を上げる」という役割は一貫しています。ステージが変われば、手段が変わるだけの話なんです。そういう意味では、僕らグロースハッカーは成功イメージを持つべきではないのかもしれないですね。

「短期での爆発的ヒット」から「中長期での爆発的ヒット」へ

これまで依頼数を増やすなどを行ってきたZehitomoも、グロースハックのフェーズが変わってきたとのこと。

林:初期フェーズのグロースハックでは、爆発的な成長を目指します。Zehitomoでも、以前までは「1ヶ月で何倍成長!」みたいなものを目指して動いていました。しかし、サービスとしてある程度成長し、お客さまが増えた今は「安定的に毎月◯%増やして、期や年で振り返ったときに〇倍成長」を目指しています。短期での爆発的な数値の伸びより、中長期で数値を伸ばすことに注力するようになってきました。これは、僕の入社当時に比べてZehitomoのメンバーが増え、あらゆる施策を同時に進められるようになったことも影響しています。

Zehitomoの初期フェーズからグロースハックを続けてきた林さん。最後に、これまでサービスを成長させるための施策を振り返って「初期フェーズだからこそ意識していたこと」を聞きました。

林:僕自身が大学卒業後に起業していたからかもしれないのですが、CEOの気持ちに寄り添うことを意識していた気がします。CEOは、毎月少なくないキャッシュを消費しています。「今はこれくらいのキャッシュがあり、◯ヶ月後にはなくなる」「〇月には資金調達か売上をあげる必要がある」「だから、この時期までに数値をこのくらい上げておかなくちゃいけない」とCEOは考えている。これ、メンタル的に辛いときもあるんですよね。僕も起業したときはそうでした。

「だからこそ、CEOに言われたまま数字を上げる」という思考だけでは、サービスや事業の将来的な数値の伸びにつながらない、と林さん。スタートアップにいるからこそ、CEOの思考を先回りしてグロースハックを仕掛けていけることがベストなのです。

林:CEOに「◯月までにこの数値をここまで上げて」と言われてからでは、すでに遅い。むしろこちらから「◯月までにこの数値を〇〇まで上げようと思います。そのためにいくつか施策アイデアがあって、そのうち3つは実行中で、そのうち1つからおもしろい数値が出てきています」くらい言うと、CEOも安心しますし「わかっているな」と感じて仕事を任せてもらえるようになるはずです。そうすると、責任を与えられるので、自分の動き方もより自由になります。スタートアップでグロースハックをするのであれば、そういった「与えられた目標を達成するのではなく、自分なりに必要な目標を設定し、環境に言い訳せずに達成する」メンタリティも重要ですね。


■プロフィール
林 康紀(Koki H. Kocourek)・・・2014年に慶應義塾大学の総合政策学部を卒業し、新卒でLetibeeというLGBT(セクシャルマイノリティ)をテーマにしたスタートアップを起業。ウェブサイト運営や企業研修サービス、iOSアプリ開発など幅広く活動。その後DeNAに入社しキュレーション企画統括部にてコンテンツマネージャーを担当。DeNA退社後、Zehitomoに参画。現在はグロースディレクター。Twitterは@Koki_HK_Happy

■Zehitomoについて
Zehitomoは、様々な「プロ」が見つかるマッチングプラットフォームで、依頼者もプロもZehitomoを利用する仲介手数料はゼロ。プロは報酬の全額を受け取ることができ、依頼者は完全に手数料無料で利用できます。従来の仲介手数料モデルとは違い、プロが依頼に対して提案を送る際に約500円程度かかるというビジネスモデルを採用しており、これによりプロは最小限のコストで新規顧客を獲得でき、依頼者は自分のニーズにあう近所のプロと簡単に出会うことができます。

また、Zehitomoでは、カメラマンやパーソナルトレーナーなど個人のプロを支援することで、日本の働き方をより自由で豊かにできるよう共に目指す、新しいメンバーを募集しています。Zehitomoの採用ページはこちら

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