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初めてVCに会う起業家がやりがちな、3つの間違い

この数年で起業やスタートアップという言葉が一般にも広がりつつあり、最近では2度目、3度目の起業といった連続起業家も増えています。しかし、それでもまだまだ大半の起業家が「初めての起業」という方でしょう。そのため、シードのVCとしてお会いする方の多くは「初めての資金調達」という方だったり、場合によっては「初めてVCと話す」という方もいらっしゃいます。

何度か調達している起業家はVCとのコミュニケーションに慣れている印象を受けますが、そうでないと中々VCというものの実態はイメージしづらいのかもしれません。そのため、ミーティングの機会をいただいた起業家の中には、ちょっとした認識違いから残念なコミュニケーションになってしまった方もいます。

そこで今回は、起業家の方々がVCと初めて会ったときにやりがちな3つの間違いを、まとめてみました。

1:自社プレゼンでMTGが終わってしまう

初めてVCと話す起業家がやりがちなことの1つに「せっかくのミーティングを自社プレゼンで終わらせてしまう」ことがあります。例えば、1時間のミーティングで自社プレゼンを50分間行い、あとは質問タイム…といったものです。

「初めて会って話すからこそ、自社の事業をよく知ってもらいたい」という気持ちは、よくわかります。しかし、多くのVCは事業・マーケット・チームの3つについて、起業家の考えを聞きながら、深くディスカッションしたいと考えています。ディスカッションを通して、資料やピッチだけでは伝えきれていない、戦略の背景にある起業家の深い考えについてVCは知ることができます。そしてディスカッションは起業家にとっても有益なものになることが多く、起業家とは異なる投資家の視点を理解することにも繋がるでしょう。

基本的な事業内容やマーケット、チームは資料などにまとめて事前に確認してもらい、できるかぎりVCとディスカッションする時間をつくりましょう。理想を言えば全体の時間の3~4割程度をプレゼン、残り6~7割をディスカッションに活かすスタイルが望ましいです。1時間のミーティングなのに20分でプレゼンなんて短すぎる!と思われる方もいらっしゃるかもしれません。しかし、自社の事業や自分たちの強みを、相手の理解度に合わせて要点をおさえて説明できることは、起業家にとって重要な能力の一つでもあります。

とはいえ、初めての調達や初めてのVCとのミーティングの場合には、なかなか要点が何かを把握するのも難しいかもしれません。もしハードルが高く感じるようであれば、次の方法を試してみてください。

ミーティングするキャピタリストのプロフィールなどを見て、自分たちに関連する事業領域をどのくらい知っているのか確認しましょう。近い業界への投資実績があったり、過去のブログでその事業領域について書いているようなら、細かい基礎知識はいらないでしょう。あまり情報発信していないキャピタリストで、事前には相手の知識量がわからないようなら、率直にミーティングの冒頭に聞いてしまうのも有効です。「私たちは△△の事業領域で展開予定なんですが、○○さんにとってどの程度馴染みがある業界でしょうか?」と聞いてみると、相手のレベルを把握できます。これらの方法で、相手の理解度をある程度把握し、「このレベルの理解度なら、マーケットの説明を厚めにする」など判断できます。

2:「競合はいない」という回答

「競合はいますか?」という質問に、「いない」と返答する起業家は結構いらっしゃいます。競合はいないに越したことはありませんが、実はこれ、場合によってはあまり良くない印象を残します。

確かに全く同じ事業を展開しているプレイヤーはいないかもしれません。しかし、同じ顧客層の同じ課題に、別の事業という形でソリューションを展開しているような間接的な競合となるプレイヤーはいる可能性は高いでしょう。

また、どうしてもスタートアップ業界にばかりに目がいってしまっていて、すでに大手企業が相当な資本を投下しているのに気がついていないこともあります。また、現在はまだ参入していなくても、大企業が今後入ってくる恐れが十分にあり、その場合には脅威となるケースもあります。

普段からVCはさまざまな企業や事業の動向を見ているので、一口に「競合はいません」と言われても、「そうだったっけ?」「そんなことないけど本当にちゃんとマーケットのこと見ているかな?」と逆に不審に思われてしまうこともあります。しっかりと競争環境を把握したうえでどう戦っていきたいのか、そのなかで優位に立てると考える理由を伝えることが重要です。

本当に競合がいないのであれば、「なぜ参入されていないのか(できない理由があるのか、そもそも顧客のニーズが存在しないのか)」を検証しておき、しっかりと語れるようにしておく必要があります。

3:投資を断られ、不機嫌になってしまう

当然ですが、「投資を断られる」という体験は、いい気分になるものではありません。そのせいか、投資が厳しい旨をお伝えしてた時点であからさまに不機嫌になったり、怒る起業家もいます。

目の前にいる起業家が明らかに不機嫌になってしまった場合、VCとしてはこれ以上不機嫌にならないように正直な意見やアドバイスをするのを諦めてしまうこともあると思います。つまり、起業家に気分良く帰ってもらうために、「いいですね」「個人的には共感します!」という反応しかしなくなるので、起業家はVCの本音を聞き出せなくなってしまうのです。

あくまでVCの意見は一意見に過ぎません。また、VCから出資を受けれなかったけれども成長をした会社もありますし、VCから出資を受けたからといって成功するわけでもありません。ただ、せっかく時間をとってるのであれば、そのVCの本音や率直なフィードバックをもらう方が有意義だと思います。「なぜダメだったのか」「どこがネックだったのか」「どう状況が変われば、VCにとってポジティブに見えるのか」など、投資家にフィードバックをもらい、今後の調達に活かせることは活かすべきでしょう。もちろん必要ないと判断したフィードバックは参考にする必要はないですが、「もらえる物はもらっておこう」と、とりあえず聞けるアドバイスは聞いておこうというスタンスもいいと思います。

そして当然、一度断られたからといって、二度とそのVCからの出資がないということではありません。私たちの投資先でも、一度目は投資を見送り、その後懸念事項を改善し成長したスタートアップに投資をしている事例はあります。一度断られた際に不機嫌な態度をあらわにしてしまったがために、その後の関係性も断ち切ってしまうのはこの意味でも勿体無いかと思います。

お互いを不幸にさせないための投資判断

Coralとしても投資判断をする際には、成功の可能性だけでなく、「今後数年間に渡って一緒にやっていきたいと思う起業家さんなのか」という起業家と自分たちとの相性なども慎重に判断しています。当然、起業家さんも「このVCと一緒にやっていきたいか」という観点でVCを判断していると思います。だからこそ、VCと起業家のミーティングは非常に重要です。

一部の連続起業家を除いて、多くの起業家さんが初めての起業で、VCとの独特なやりとりに戸惑うこともあるかもしれません。少しでもこの記事が初めての起業や初めての資金調達という方の役に立てれば幸いです。

シードファイナンス

吉澤 美弥子

Senior Associate @ Coral Capital

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