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メルカリ、Connected Roboticsらスタートアップ4社が明かす 言語・文化の壁を超えたチームづくり

2019年5月、Coral Capitalではバイリンガルの日本人や日本在住の外国人の方々と、スタートアップをつなぐ大型キャリアイベント「Bilinguals and Gaijins in Startups」を開催しました。昨年に続き2回目となる同イベントには、約250名の参加者と10社のスタートアップが参加しました。今回はイベントのパネルディスカッションの内容をご紹介します。


パネルディスカッションでは、「インターナショナルなチームをどのように構築するか(How to Build an International Team?)」をテーマに、多国籍メンバーを率いるスタートアップ経営者たちが議論を交わしました。

モデレータを務めたのはTim Romero(ティム・ロメオ)氏。25年前に来日し、4社の起業経験をもつ傍ら、ポッドキャスト「Disrupting Japan」を主催するなど、日本のスタートアップコミュニティに深く関わってきた人物です。

また、パネリストの4名は、技術をもったフリーランス、中小企業やローカルビジネスと依頼者をつなげるマッチング・プラットフォームZehitomoのJordan Fisher(ジョーダン・フィッシャー)氏、調理ロボットを通じて外食産業の課題解決に取り組むConnected Roboticsの沢登 哲也氏、P&G JapanやGE Japanを経て昨年メルカリCHROに就任した木下 達夫氏、ITの力で効率化した輸出入業務を提供しているフォワーディング企業のShippio佐藤 孝徳氏です。

最初に議論されたトピックは、多文化チームのマネジメントについて。グローバルな組織作りを進めるにあたっては「公用語を定めるべきか」「明確なポリシーは必要か」といった疑問が浮かぶが、パネリストたちはどのように取り組んでいるのでしょうか。

木下氏:マネジメントに関しては、メルカリでも活発に議論しているところです。これまでは社内の公用語は設定しておらず、英語と日本語どちらを話してもよいという方針でした。

しかし現在、東京オフィスで働くメンバーのうち10%が外国人。人数が増えるにつれ、通訳が必要になるケースがあちこちで見られるようになりました。これではいずれ立ち行かなくなるので、英語と日本語のトレーニングの機会を用意し、コミュニケーションをよりスムーズにとれるよう、環境作りを進めています。

Romero氏:今はチームごとに最適な言葉を使っているのでしょうか。

木下氏:はい、それぞれのチームや職種に任せています。ただし方針を決める際には、「まずは1年間やってみよう」などとタイムラインも同時に定めてもらい、その期間中は最大限努力してもらうようにしています。

Fisher氏:最も大切なのは企業文化であり、言語ではないと考えています。話す言葉は違ってもすべてのメンバーが共通のカルチャーをもち、ひとつのミッションに向かっていくというのが、目指すところです。 また数字で計測可能なパフォーマンスを重視しているため、チームが上手く機能している限り、言語にはこだわっていません。

現在エンジニアリングチームでは主に英語、セールスチームでは主に日本語が使われていますが、文書に関しては2カ国語で残すようにしています。

ミーティング資料は日英併記で作成、もしくは英語で作成し口頭では日本語で説明します。逆のこともあります。ミーティングの種類に合わせてわかりやすいように、また、資料作成をする者が負担にならない方法を取り入れています。

私自身は日本語と英語の両方で説明することも多いです。2ヶ国語で説明すると少し時間はかかりますが、メンバー全員に自分の気持ちを正しく伝えたいと考えています。

沢登氏:Connected Roboticsでは、ハードウェアエンジニアはお客様やパートナーとたくさん話す必要があるため、日本語を話せる必要がありますが、ソフトウェアエンジニアは英語が話せれば問題ありません。

私は特に、日本人が英語を話す環境を作る必要があると思っています。そうしないと、なかなか学ぶ機会がないので。当社にも英語が流暢とは言えないメンバーもいますが、彼らはいまとても意欲的に学んでいて、それが大切なことだと思っています。

佐藤氏:Shippioも言語に対するポリシーはなく、英語と日本語がちょうど半分ずつくらい使われています。ただ、CTOがフランス人ということもあり、製品開発に関しては100%英語ですね。

登壇者たちの企業では、言語に関して柔軟な体制がとられているようです。しかし日本でサービスを展開している以上、顧客からのフィードバックには日本語で対応し、それを社内全体に伝えていく必要があります。この問題には、どのように対処しているのでしょうか。

佐藤氏:ビジネスを始める前に言語のトレーニングを行ってきましたし、いまは英語を自発的に学んでいるメンバーもいます。

Fisher氏:カスタマーサイドのメンバーが持つべきスキルはエンジニアとは違います。私たちのカスタマーチームには、日本のユーザーに寄り添いながら、彼らがもっている要望を聞き出せることを求めていて、そのためには日本語の能力が必要です。

一方、英語を使うインフラ・UX担当者は、カスタマーチームからその内容を伝えてもらうことで、サービスを向上させることが可能です。Zehitomoでは、バイリンガルチームを設置することで各部署をつなぐコミュニケーションを円滑にしています。

議論はチーム作りにおける重要なプロセス「採用」にも及びました。HR領域でキャリアを積み上げてきた木下氏は、言語や文化的背景に関わらず、新しく入る人がミッションとカルチャーを理解することが大事だと考えています。

木下氏:メルカリには「Go Bold(大胆にやろう)」「All for One(全ては成功のために)」「Be Professional(プロフェッショナルであれ)」という3つのバリューがあります。とてもシンプルですが、評価や意思決定はこれに則って行われます。プリンシプルを理解することで、話す言語に関わらずバリューをシェアすることができるのではないでしょうか。

メルカリが経験した採用の落とし穴とは

次の話題は「チームビルディングにおける失敗とそこから学んだこと」。日々トライアンドエラーを繰り返しているという木下氏は、採用に関する失敗を次のように語りました。

木下氏:インドを中心とした海外から初めて新卒を採用したとき、とても大変でした。最初は数人から、というつもりだったのですが、才能豊かな学生がたくさんいたため人数が膨れ上がり、結果的に40人以上にオファーを出しました。

しかし採用を決定して初めて、彼らを日本に呼び寄せるための膨大な手続きが待っていることに気づいたのです。ビザを手配し、住むところを確保し、日本での生活基盤を整えるサポートもしなければならない。彼らも慣れない環境でとても大変だったと思います。

さらに新卒採用の場合は、プログラミングのスキルも発展途上であり、「プロとしてどう働くか」というメンタリティの部分においても、中途の場合と比べて丁寧なサポートが必要でした。

いまはノウハウも蓄積してきているので海外からの採用は続けていますが、採用人数には気を付けるようにしています(笑)

沢登氏:フランス人のエンジニアが当社で働いていたことがあるのですが、私は彼に「時間を守ることは当たり前」という感覚で接してしまっていました。

会場:笑

沢登氏:会社は10時始業なのに、彼はいつも20分から30分遅れてくる。で、いつも「電車が遅れるんです」と言うので、早く家を出ればいいのではないかと度々議論になりました。

いまはそこから学んで、もう少し寛容になろうと考えるようになりました。最低限のことはもちろん組織運営するために守ってもらわないといけないことですが、外国籍社員を雇用するからには、彼らの国民性や慣習、考え方にこちらもある程度寄り添いながらチームをつくる必要があると感じました。

佐藤氏:ありがちな失敗ですが、創業から少し経った頃、特定のクライアントの要求に応えようとし過ぎてしまったことがありました。当時私たちはオペレーションについてよく理解しておらず、そのクライアントからのフィードバックを求めてしまったことが原因です。自分たちの「Minimum Value Product」を定義できなくなってスタックしました。エンジニアたちはどこがMVPのゴールが見えないストレスと戦うことになり、チームの雰囲気は一時殺伐としたものになりました。

チーム作りにおいて決して妥協してはいけないこと

ディスカッションの最後には、機能的なチームを作るためのポイントについて4人の登壇者からアドバイスが贈られました。

Fisher氏:共同出資者や一緒に働く社員を見つけるのは大変なことですが、Zehitomoでは採用に関して妥協したことは一度もありません。特に最初にジョインする数名は、まさに誰かと友達になっていくように、互いをしっかり理解することが重要です。彼らは企業のカルチャーを一緒に作っていくメンバーになるからです。

それ以降の10人目から30人目を採用するときが勝負どころです。外から入ってくる人にコアバリューやバリューを魅力的に伝えると同時に、彼らが自社にフィットするかどうかも見極めなければならない。お互いすぐには判断できないので、まずはパートタイムで雇ってみるのも一案です。

木下氏:異なるバックグランドを持った人が互いに理解しあうのに最も重要なのは「信頼」だと考えています。メルカリでは信頼を構築するために、メンタープログラムやバディプログラム、文化を学ぶオリエンテーションを用意しています。

また、データドリブンな方法として、会社やマネジャーに対するエンゲージメントを計測しています。しかし実は日本人と外国籍の社員でスコアが変わらず、バックグラウンドに関わらず高いレベルで信頼を築けているという点には自信をもっています。

沢登氏:「思ったことはすぐに伝える」というのが大切ではないでしょうか。Connected Roboticsでは、ロボットが焼いたたこ焼きを食べながら、目の前の仕事から一度手を止めてカジュアルに話す機会がたくさんあります(笑)。社外だけではなく、社内にもリラックスしたコミュニケーションをとれる場を作ることが必要です。

佐藤氏:衝突を恐れてコミュニケーションがなくなってしまうことは避けるべきだと考えています。特にShippioには主張が強い人が多いので、フィードバックをしづらい雰囲気にならないよう気をつけてきました。

ミーテイングやディスカッションのとき、特に日本人は、理解が追い付いていなくてもそのことを言い出せない傾向がありますよね。だから話を遮ってでも質問して、議論を深めていくことが大切だとメンバーには伝えています。

議論を終えた登壇者たちは、会場から寄せられた質問にも答えました。日本のスタートアップで働きたいインターナショナルなバックグラウンドを持った方々を勇気づけ、そういった人材が活躍できるチーム作りを実践するスタートアップ経営者にアイデアをもたらすパネルディスカッションとなりました。

Coral Capitalでは、今回登壇いただいたConnected Robotics、Shippio、Zehitomoをはじめとしたスタートアップと、そこでのキャリアに興味がある方を繋ぐ “Coral Community” というコミュニティを運営しています。毎月Coralが開催するスタートアップイベントの情報や、投資先スタートアップとのカジュアル面談の機会の提供など、中長期的にスタートアップでのキャリアを検討する上で役立つコミュニティになっています。ご興味がある方は、ぜひこちらから詳細をご確認ください。

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