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起業のはずがスタートアップに参画。コネクテッドロボティクス佐藤氏が語った、COOの役割

CEOは経営、CTOはテクノロジー、CFOはファイナンス、CHROは人事…では、COOは?COOをGoogleで検索してみると「最高執行責任者」と表示されますが、実際にその役割を紐解いてみると組織運営やPRなど多岐に渡ります。

ひとことでは言い表しにくいCOOの役割。Coral Capital(以下、Coral)の投資先スタートアップで、今年7月にシリーズAで8.5億円を調達した、飲食店向け調理ロボットを開発・提供するコネクテッドロボティクス株式会社のCOO佐藤泰樹さんに聞いてみると「CEOが取りこぼす仕事を全部やる人」と笑いまじりに話します。

実は佐藤さん、自身で起業しようと考えていたところ、コネクテッドロボティクス代表の沢登哲也さんと出会い、そのままCOOになったという不思議な経緯があります。「会社に入るつもりはなかった」とも話す佐藤さんは、なぜ起業からCOOへシフトチェンジしたのか。また、COOの役割を「CEOが取りこぼす仕事を全部やる人」と表現した理由は? さっそく、話を聞きました。聞き手は、CoralのTalent Managerである津田遼です。

経産省主催の勉強会での出会い、そしてエレベーターピッチ

津田:佐藤さんはもともと起業しようと考えていたと聞きました。そこからなぜコネクテッドロボティクスのCOOになったのでしょうか?

佐藤:僕は2017年に独立しようと思い、会社員を辞めてエイチ・アイ・エス取締役会長の澤田秀雄さんが運営する「澤田経営道場」に入りました。その傍ら、経産省が主催する「始動」という起業家育成プログラムに参加していたんです。沢登とは、そこで出会いました。

津田:その頃、沢登さんはすでにコネクテッドロボティクスを創業していましたよね。そのまま入社に至ったのですか?

佐藤:いえ、僕が正式に取締役として入社したのは2019年4月です。それまでは、株主兼ボランティアでした。

津田:ボランティア(笑)。

佐藤:そうそう(笑)。出会ったその日にたこ焼きロボットの話を聞いて「へー、すごいね。売ってあげるよ」となったんです。その翌週の澤田経営道場が終わった後に澤田さんを追いかけて同じエレベーターに乗り、スマホで動画を見せて「これ、買ってください」と営業したんです。そうしたら「いいよ」と言われ、そのまま商談が決まりました。(その後、実際にハウステンボスに導入された、たこ焼きロボットOctoChefの様子

津田:エレベーターピッチじゃないですか!しかし、佐藤さんは起業するために会社員を辞めています。なぜCOOとして入社することになったのでしょうか?

佐藤:ギリギリまで起業するつもりでした。しかし、いろいろ考えを巡らせていった結果、社会を良くする事業を自ら開発できる社長のすぐそばで仕事をしたほうがいいと思ったのです。そこで起業をやめ、沢登と組んで社会にインパクトを与える事業づくりに挑むことにしました。

津田:コネクテッドロボティクスだった理由は?

佐藤:僕のこれまでのキャリアは、新規事業開発と、人事や採用などの人材関連。そのなかでグローバル人材を日本企業とマッチングする仕事をしていたこともあり、日本の労働力不足が深刻な時代が来ると、肌で感じていました。なので、「起業するなら日本の労働力をなんとかするための事業をやりたい」と考えていたんです。沢登に出会って、ロボットが解決の糸口になる可能性があることを知りました。そして、入社を決めたのです。

津田:沢登さんは、ロボットによって飲食業界の労働環境を変えるというミッションを掲げています。そう考えると、佐藤さんが考えていた方向性とほぼ同じですね。

佐藤:そうなんです。目指す分野は異なりますが、方向性は同じ。それも、入社の決め手でした。

コネクテッドロボティクスCOOとして「徹底して働き、アウトプットを出す」

津田:佐藤さんはコネクテッドロボティクスのCOOとしての役割を担っていますが、具体的にどういった守備範囲になっているのでしょうか?

佐藤:今は営業とPR、人事、プロダクトの一部を担当しています。プロダクトに関しては、研究開発と新規プロダクトは沢登、すでに製品化しているプロダクトは僕が担当しています。

津田:今さらっと話されましたが、かなりの業務量じゃないですか?(笑)

佐藤:あはは。でも、僕は基本的にコネクテッドロボティクスのみんなを信じているので、採用も人事も、現場メンバーに一任しています。まさに「承認より謝罪」のスタイルですね。会社でも、自分で判断して進んでいくことを是としています。何かあれば、僕が責任をとればいいだけの話です。

津田:そういった業務のなかで、常に意識していることなどはありますか?

佐藤:徹底して働き、アウトプットを出すことでしょうか。実は入社当時、プログラミングは大学時代に学んでいましたが、料理という領域に関する知識が不足していました。もう、がむしゃらに勉強しましたね。渋谷に「変なカフェ」というロボットコーヒー店をつくるプロジェクトに店長として参加したり、ハウステンボスでたこ焼きをゼロから作ってみたり。

津田:あらゆる手を尽くして、料理に関する知識をインストールしていったんですね。

佐藤:約8ヶ月かけて学びました。それも、これはすべて僕がまだ株主兼ボランティア時代のこと(笑)。おかげでCOOとしてジョインしてからも、取引先との商談で「ここが緩衝するから、この冷蔵庫のサイズだと寸法的に入りません。なので、一般的に800以上必要だから900ぐらいとっておきますか」といった業者の人しか知らないような会話がスラスラとできるようになりました。そのレベル感がないと、商談先の方々の気持ちに踏み込んだサービスは提供できませんからね。

津田:なぜそこまで?

佐藤:やはり、社員に対して「やればできるんだ」というところを率先して見せたいと思っているからですね。PRにしても、取り上げてもらうためにはこうすればいいときちんと見せていく。これも、COOの役割の1つだと思っているんです。

COOの適正は「借用書に判子を押せる覚悟があるかどうか」

津田:CTOやCFOに比べて、COOの役割は定義しづらいところがあると思います。佐藤さんは先ほどCOOの役割について少し触れていましたが、大枠としてはどのように考えているのでしょうか?

佐藤:はっきり言ってしまうと「CEOが取りこぼした仕事を全部やる人」ですね! というのも、人にはやりたいこと・やりたくないことがどうしてもあります。特に後者を放置していると、ずるずると先延ばしになり、気づいたときには手遅れなんて事態になりがち。COOはそういった業務を「じゃあ、それやりますね」と意思決定権を持って取り組んでいくのが仕事だと思っているんです。

津田:それは、CEOをよく見ていないとできない仕事でもありますね。

佐藤:そうです。例えば沢登の場合、開発に集中してもらうことが会社としてもベストです。しかし、ほかの業務がいっぱいあると当然ながら集中できませんよね?そこで、お客さまやエンジニアとのやりとりをすべて僕が巻き取り、できるかぎり彼が集中できる環境をつくっています。また、メディア取材などのアテンドも調整し、必要であれば僕が代わりに話すこともあります。

津田:そういった動き方をするためにも、佐藤さんはどんな人がCOOに向いていると思いますか?

佐藤:マインドセットでは「何でもやります」「何でもやるのが好きです」という人がいいと思います。スタートアップとして生き残るには、あらゆる手段を試す必要があります。そうなると「僕はこれしかしません」は非常にマズイ。スキルセットとしては、資金源ともなる営業ができることが第一ですし、さらに言うとPRや採用ができるとなお良いですね。あとは…。

津田:あとは?

佐藤:僕としては、COOはCEOと違うタイプの人がやるべきだと考えています。コネクテッドロボティクスの場合だと、沢登はテクノロジー畑で控えめな性格、僕は営業畑で外交的な性格というように、お互いにないものを補い合っています。逆に、CEOとCOOがまったく同じタイプだったら、社員にとっては少しめんどくさいと思うんですよね(笑)。そして、会社のビジョンにちゃんと腹落ちできているかどうかも大事です。

津田:しかし、親しい間柄ではない限り、ビジョンに対して本当に腹落ちしているかどうかを確認するのは難しい気がします。そこはどう確認していますか?

佐藤:そこで僕が個人的に考えているのが「会社で借金をするときの書類に判子を押せる人」をCOOに採用すべきという基準です。

津田:判子ですか!

佐藤:これはあくまでも比喩ですが、会社が5,000万円や1億円くらいの借金をするときに「一緒に判子を押しますよ」と言えるかどうか。それくらい会社のことを想ってくれている人じゃないと、特にアーリーステージのスタートアップでCOOをするのは難しい気がしています。

津田:腹をくくれているかどうか、ということですね。

佐藤:そうです。会社が局面に立たされたとき、逃げずに一緒に戦えるかどうかを見抜くという意味では、けっこう大事な判断だと思うんです。とは言え、面接でいきなり「あなたはこの借用書に判子を押せますか?」とは聞けませんが(笑)。

スタートアップの醍醐味は、失敗できること

津田:今のコネクテッドロボティクスの一番の課題はなんですか?

佐藤:課題は山ほどありますが、しいて挙げるとすると、コネクテッドロボティクスの技術力が高すぎることでしょうか。

津田:それは、いいことでは?

佐藤:いいことでもあります。おかげさまでさまざまなメディアに取り上げられるようになりました。しかし、予想以上に露出が増え、自分たちの実力が見えなくなりつつあるのです。このままいくと、浮き足立ってしまうのではないかと感じています。どんなに注目を浴びても、僕らはこれまで通り、常に地に足をつけて開発を進めていかなければならないので。

津田:最後に、コネクテッドロボティクスはどんな仲間を求めていますか?

佐藤:やっぱり、失敗も成功も楽しめる人ですね。スタートアップの醍醐味は、失敗できること、そして自分で決められる範囲が広いことです。コネクテッドロボティクスでは、ゴール設定はするものの、そこに至るまでの道のりはメンバーに任せています。そのなかで「社会に貢献するものをつくっているんだ」と自負をもって取り組める人は相性がいいと思います。

津田:「失敗も成功も楽しめる」って、いいですね!

佐藤:ですよね!コネクテッドロボティクスは組織も大きくなりつつあるため、行動バリューのようなものをつくっていかなければならないと考えています。その上で、今後やるべきこと・やらないことを決め、前に進もうとしています。僕もCOOとして、やれることはすべてやっていくつもりです。


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■プロフィール

佐藤泰樹・・・2008年上智大学理工学部物理学科卒、組織人事コンサルティングのリンクアンドモチベーション、ITベンチャー、外国人材就職支援を経て、2017年4月H.I.S.澤田氏が理事長を務める澤田経営道場へ入塾。2018年2月にロボットコーヒー店「変なカフェ」店長、同年7月にロボットたこ焼き店「オクトシェフ」店長を務め、2019年4月に取締役COOとして参画。現在は、調理ロボットサービス事業を手がけるコネクテッドロボティクスにて事業開発を担当。

津田遼・・・早稲田大学法学部卒業。日本GE株式会社のファイナンス部門でFP&Aアナリストとして経験を積んだ後、グリー株式会社に人事として入社。グリーでは、中途採用、組織人事(HRBP)、社内活性、派遣採用/労務管理、BPO、米国子会社での人事評価などに従事。Coral Capitalでは主に投資先スタートアップの採用を支援している。

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Editorial Team / 編集部

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