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東京がスタートアップを立ち上げるのに絶好の都市である理由

東京は、スタートアップを立ち上げるのに絶好の都市です。何年間も様々な地のスタートアップ業界をまわり、知見を蓄えてきた身からすると、東京が起業に適した地であることは明らかに思えます。しかし、ほとんどの人にはいまひとつピンと来ないでしょう。東京に暮らし、日本のスタートアップ業界の中心で働いている人ですら気づいていないくらいです。東京の外にいて、ローカルな事情に疎いと、東京の強みを理解するのは難しい。逆に東京の中にいて、外の世界と比べる機会がないと、東京にいるメリットに気づきにくい。そこで今回の記事では、スタートアップ都市としての東京について俯瞰的な視点から語ってみたいと思います。

競争が圧倒的に少ない

もしアメリカや中国で起業するとすれば、あなたのアイデアや、チームや、実行力がどれほど素晴らしかろうと、厳しい競争に敗れる可能性が高いでしょう。なにせ、スタンフォードやハーバード卒の、GoogleまたはTencentの元社員が立ち上げた同業のスタートアップが5社から10社はあるでしょうから。

一方日本では、起業家の数が少なく、同業のスタートアップは多くて2社程度です。競合がまったくいない場合も多々あります。さらに、大企業が脅威となることもそうありません。例えばミクシィや楽天に比べたら、FacebookやAlibabaは遥かに攻撃的です。Stripe、Airbnb、Bytedanceのような巨大ベンチャーも少ないので、そういった企業に押し潰される心配もありません。日本には脅威となりうる競合の数自体が少なく、競合がいたとしても猛スピードで激しく襲いかかってくることはまずないのです。また、外国企業が参入しようとしても、日本固有の言語や文化、法規制といった障壁が立ちふさがります。

つまり東京では、素晴らしいアイデアを思いつき、優秀なチームをつくり、戦略を間違えなければ、他の都市に比べて成功する可能性が高いということです。

日本の人口の30%は首都圏に集中している

東京のマーケットさえ攻略すれば、日本全体のマーケットを手中に収めたも同然です。良いか悪いかはさておき、東京は日本のシリコンバレーであるのみならず、日本のワシントンD.C.でも、ハリウッドでも、またニューヨークでもあるのです。首都圏には、実に4,000万人近くの人々が暮らしています。シリコンバレー、ワシントンDC、ハリウッド、ニューヨークの人口を合計しても、首都圏の人口には届きません。また他の都市に比べると、東京の人々の嗜好は似通っているので、マーケットとしては攻略しやすいのです。東京に住む人々は、同じようなコンテンツを好み、似たようなライフスタイルを送り、価値観もまた似通っています。多様なバックグラウンドを持ち、様々な言語を話す人々が行き交うアメリカや中国とは、この点で東京は大きく異なります。さらに、ほとんどの大企業や投資家は東京に一大拠点を構えています。つまり東京にいれば、国内のほぼ全ての業界に手が届くのです。

東京の一極集中という構造は大きなアドバンテージです。時間、資金、人材に余裕のない小さなスタートアップでも、首都圏だけを狙えば、ほとんどの潜在顧客にリーチすることができるのです。また、首都圏では交通インフラが充実していることも相まって、1日で非常に多くのミーティングをこなすことができます。私たちが資金調達をしていた頃は、都内をかけまわり、1日に5つから9つのミーティングをこなす日もありました。他の都市でその数をこなすとしたら、相手がこちらに出向いてくれでもしない限り不可能です。

東京は世界でもっとも住みやすい都市……

東京は世界でもっとも住みやすい都市……、と言っても大げさではありません。東京は世界でもっとも住みやすい都市トップ10の常連です。清潔で、安全で、物価が安いのです。北京のスモッグや、サンフランシスコの糞便汚染のような問題もありません。東京でもっとも「危険」と言われるエリアの治安は、他国の大都市のなかでもっとも安全なエリアの治安と変わらないと言っていいでしょう。東京は物価の高い都市ランキングの常連でもありますが、私は同意しません。ほとんどの人々にとって支出の大部分を占める家賃に注目すると、日本の不動産は確かに安くはありません。しかし、お金と引き換えに得られるものは、他国の比ではありません。家賃が安い地域だからといって、必ずしも治安が悪いわけではないし、古い建物も手入れが行き届いていることが多いです。1食500円から1000円も出せば十分に腹を満たすことができますし、必要な時には国の健康保険に頼ることもできます。独身なら、年収500万円もあれば快適に生活できます。一方サンフランシスコでは、独身で年収が82,000ドル(880万円)に満たない人々が「低所得者層」と見なされる事態となっています。これは、東京のスタートアップのバーンレートがシリコンバレーのそれに比べて遥かに低い理由のひとつでもあります。

住みやすい都市だからといって、スタートアップが成功しやすいというわけでは必ずしもありません。しかし、スタートアップの荒波に飛び込むのであれば、快適な場所で荒波を乗り越えるのに越したことはありません。

最高に美味しい食べ物など、ここでは書ききれない東京の良さもたくさんありますが、以上が真っ先に思い浮かんだことでした。ここ数年、日本のスタートアップ市場は著しく成長しましたが、それでもまだ多くの可能性を秘めています。以上に挙げたような東京の強みに多くの人々が気づき、起業に挑戦することを願っています。もし起業を決意したら、ぜひ私たちにご連絡ください

ベンチャーエコシステム

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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