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わずかな資金、もしくは資金ゼロで成功した偉大な50社

本ブログはUberやBuzzFeedへの出資で知られるシードステージのベンチャーキャピタル、Founder CollectiveJoseph Flaherty(ジョセフ・フラハーティ)氏のブログ記事「50 Big Companies that Started with Little or No Money」を、氏の許可を得て翻訳したものです。

創業者たちの間では、ベンチャーキャピタルからの資金調達は、成功への一歩を踏み出している証しであるという考えが広まっています。確かに、VCは成功しているテクノロジー系のスタートアップに共通している特徴です。しかし、VCの支援を受けなければ成功できないというわけではありません。アーリーステージでは特にそうです。

起業家は、わずかな資金、あるいは資金ゼロでも相当な成果を出すことができます。資金があることによって、その創業者が、自力で奮闘している他の創業者以上に洞察力を得られるなどということはありません。独創的なやり方で1ドルから10ドルを生み出せないとしたら、一体その人物に100万ドルから1000万ドルを生み出すことが期待できるでしょうか?

シードラウンドを経ずに企業を立ち上げる方法を説明しやすくするために、わずか数千ドルまたはスウェットエクイティ(訳注:創業者が労力や開発した成果物を投入すること)だけで企業を立ち上げ、私たちが「効率的な起業家精神」と呼ぶものの代表例にまでなった企業の例を50社集めました。

こうした企業の多くは、後に10億ドル規模の評価を得ていますし、中には数十億ドルの利益を稼いでいる企業もあります。しかし、これらの企業のどれも、立ち上げ時にシードラウンドの規模と考えられる以上の資金はありませんでした。ほとんどが、シードラウンドの調達額よりずっと少ない資金しかありませんでした。

こうしたスタートアップの多くはVCから資金を調達していますが、それは、投資家からの資金提供があってもなくても成功するだろうという事実を確立した後のことでした。現在でも、こうした企業の多くは広く知られていません。こうした企業は、テック業界において人目についていないユニコーン企業です。

なので、焦って投資家とのミーティングを計画する前に、こうした企業のストーリーを読んでください。こうした企業は、多くの創業者が抱いているVC中心の展望を打ち消すだけでなく、資金調達に関する別の考え方も提供してくれます。ベンチャーキャピタルは1つの選択肢であり、必須のものではありません。こうした企業が示してくれるのは、資本に対するカウンターカルチャー的なアプローチの力です。

課題やチャンスを見つけ出し、それから資金を集めましょう

顧客が抱える現実的な問題を解決でき、それによってお金を稼ぐことができるのなら、会社を立ち上げるのにベンチャーキャピタルは必要ありません。ここでは、3つの方法を紹介します。

ワークフローを自動化しましょう

役に立つプロダクトを構築する最も簡単な方法は、プロダクトに対する確かな需要と収入源となることが分かっている、あなた自身の毎日のワークフローの一部を自動化することです。

MailChimp:2000年、共同創業者でありCEOでもあるBen Chestnut(ベン・チェストナッツ)は、デザインコンサルタント会社を経営しており、作成したメールニュースレターを求めるクライアントが絶えませんでした。Chestnutの唯一の問題は、ニュースレターのデザインが嫌いだったことでした。そこで、チームが退屈しなくて済むように、ツールを作ることに決めました。このツールはデザインプロセスを簡略化するためのものでしたが、これにより4億ドル規模の企業であるMailChampが誕生したのです。

Lynda:1990年代後半、Lynda Weinman(リンダ・ウェイマン)はウェブデザインを教えていました。しかし、授業用に指定した専門的な本が単調だったので、Weinmanは自分の生徒向けにトレーニング用ビデオの制作をはじめました。それから20年かけて、Weinmanはコンテンツ集と技術的なアセットを作り続けました。その規模が十分魅力的だったため、LinkedInはWeinmanの会社を15億ドルで買収したのです。

PluralSight:Lynda.comと同じように、PluralSightもリモートソフトウェアトレーニングを提供しています。PluralSightは、最初の9年間は自己資本で運営しました。今では、C#からJavaScriptまで6000コースを提供しており、評価額10億ドルのIPOの候補です(訳注:2018年4月にIPO済みで、2019年10月末現在は26億ドルの時価総額)。

資本効率の良いプロダクトから始めましょう

以下に紹介する威勢のいいの企業は、Appleのような企業と競争しようとするのではなく、RadioShack(訳注:米国の老舗電子機器ショップチェーンストアで、2015年に倒産)が残したギャップを埋め、数百億ドル規模の模倣品を生み出しました。

AdaFruit Industries:Limor Fried(リモール・フライド)は、MITの学生時代に、既製品からなるDIYキットを組み立てることで、DIYの電子機器EC企業を始めました。Friedは、どこの電子機器店にもあるようなパーツ販売をしていましたが、突飛なコンテンツも作成していました。そのコンテンツというのは、スペースインベーダーのレプリカの筐体をハンダ付けすることが理にかなっていると思わせるものです。Friedは今では85人の従業員を抱え、年間3300万ドルを売り上げています。

SparkFun:AdaFruit同様、Nathan Seidle(ネイサン・ザイドル)は、エキゾチックな新しいセンサーとシステムを探してやまないエンジニアに電子機器キットと風変わりなボールを、寮の部屋から販売することでSparkFunを始めました。今では、SeidleのEC企業は、150人以上の従業員を抱え、年間3200万ドルを売り上げています。

昔ながらの問題 + 既存のビジネスモデル + 新しい技術 = $$$

昔ながらの問題を新しい技術やUX層で解決するのは、数百万ドル規模のビジネスを構築するのに十分なものになり得ます。

Shopify:Shopifyの創業者たちがショッピングカート用のソリューションを求めていたのは、スノーボーダー向けのECサイトを開発しているときでした。ちょうどよいソリューションを見つけることができなかったので、創業者たちは自分たちで問題を解決することにし、当時最新のRuby on Railsフレームワークでカスタムメイドのソリューションを構築しました。このソリューションは、ほかの多くの人々にとっても完璧なソリューションであることがわかりました。創業者たちは、稼ぎ出した収益で6年間は自己資本でビジネスを行いました。最終的には、VCから資金を調達し、後にIPOでも資金を調達しました。IPOで、Shopifyは140億ドルの時価総額となりました。

Braintree Payments:詐欺師に法外な値段をふっかけられずにオンライン上でお金の決済をすることは、ウェブにおける最古の課題の1つです。Braintreeは買い手にとっても、売り手にとっても、料金所として機能する優れた技術的ソリューションを構築し、4年間の間は決済から得た資金で生き残り、その後、ベンチャーキャピタルの2つのラウンドで6900万ドルを調達して、その後は8億ドルで買収されました。

自分自身の問題を解決しましょう

多くの起業家たちが、「CEOの役割を演じ」、戦略を練り、そして自身の組織が将来なり得る理想の組織図を描くのに時間を無駄に費やしています。最高の創業者たちは、楽しい空想に時間を費やすのを避け、自由に使えるリソースだけを使用して実行できることに注力しています。

SimpliSafe:ハードウェアビジネスを自力でゼロから立ち上げようというアイデアを、人々は嘲笑します。しかし、SimpliSafeのChad Laurans(チャド・ローランズ)は、まさにこれに取り組みました。Lauransは友人と家族から小額の資金を集めてから、利用者が自分で設置できるセキュリティーデバイスのビジネスを築きました。最初のプロトタイプは資金を節約するために、文字通り自分でハンダ付けしました。8年後、Lauransのビジネスは何十万もの顧客を抱え、何億ドルもの収益を上げ、Sequoia Capitalから5700万ドルをVCマネーを調達しました。

Ipsy:Birchboxは、化粧品のサンプルボックスを潜在顧客に送るアイデアの先駆けでした。しかし、YouTubeでスターだったMichelle Phan(ミシェル・ファン)が自身のオンライン上の知名度(800万人以上のチャンネル登録者)を活用して、このアイデアをある現象に変えました。Phanは、視聴者や化粧品ブランドとの関係の力を借りて、箱を送るサブスクリプションのスタートアップを立ち上げました。これにより1億5000万ドルの売上をあげた後、1億ドルをVCマネーで調達しました。

ShutterStock:Jon Oringer(ジョン・オーリンガー)は、プロのソフトウェア開発者であり、アマチュアの写真家でもありました。Oringerは、この2つのスキルを組み合わせ、個人的な写真集のうちの3万枚の写真を使用することで、現在20億ドルの価値があるストックフォトサービスを開始しました。Oringerは、資本を効率的に使用したことにより、最終的には、まったくの自力でビリオネアになったのです。

Quizlet:この記事で紹介している企業の中で最も成功しているビジネスとまでは言えませんが、Quizletは、フランス語の期末試験で高得点を取りたいと思っていた15歳の早熟な人物によって設立されたという点で注目に値します。Quizletが2012年にシリーズAで資金を調達する頃には、Quizletには22歳のCEOと4000万人のユーザーがおり、米国におけるトップ50位のウェブサイトとなっていました。

Skyscanner:Skyscannerは、特注のスプレッドシートとして始まりました。それは、同社の創業者が飛行機チケットの最安値を見つけやすくするためのものでした。いまや従業員が500人以上いるエディンバラの主要なテック企業になりました。Skyscannerは2001年に自力で好調なスタートを切り、2007年に600万ドルを調達し、立ち上げから15年後の2016年には1億9200万ドルを調達しました。

みんなのお金は優しい

資金調達では、常に数百万ドルが一度に集まるわけではありません。創業者たちは、助成金、インキュベーター、エンジェル投資家、あるいは事前販売を通じて資金をかき集めることがあります。実践的な知識に最も長けている起業家は、プロダクトを配送する前に支払いを回収するようビジネスモデルをデザインし、顧客を成長資本の源に変えています。

CoolMiniOrNot:CoolMiniOrNotは、ギークたちがDungeons & Dragonsのフィギュアをペイントする技を見せ合うウェブサイトとして始まりました。最終的に、このサイトの創業者たちは、自分たちでゲームをデザインして配布することを決めました。21件のKickstarterキャンペーンを実施し、2,064万4,352ドルの非希薄化資金を調達しました。ゲームの始まりです(訳注:2001年創業の同社は2016年に香港証券取引所に上場済み)

The Wirecutter:ブログなんて儲からないって誰が言った? Gizmodeの元編集者によって設立されたWirecutterは、Amazonのアフィリエイトフィードと組み合わせることで、より徹底した、より公平なレビューを約束しています。自己投資型のこのスタートアップは、最終的には3000万ドルで売却されました。

売って!売って!売りまくれ!

最高の資金源は顧客であることが多く、販売には2つの利点があります。1つ目の利点は、レジがすぐに鳴り響くことです。2つ目の利点は、顧客の心に響くのはなんなのかをすぐに理解でき、それにより、商品を改善できることです。

RXBar:RXBarの起業家の1人が、自身の野心的なビジネスプランを父親に話すと、この家長である父は創業者となる息子に向かって言いました。理屈を立てるのはやめてその足で歩き回ってこい、と。「黙って1000本のバーを売ってこい」、これがアドバイスでした。さらに、資金として1万ドルを手渡してくれました。最終的にKelloggがRXBarを6億ドルで買収したので、このアドバイスと1万ドルには価値があったと証明されました。

ScentsyDNVB(D2Cと呼ばれることが多い)は流行に敏感ですが、収益を上げるために、TwitterでのローンチビデオやFacebook広告に過度に依存しています。Scentsyは、不要品交換会でアロマキャンドルを販売することから始めました。広告にお金を投じる余裕がなかったのです。キャンドルに派手さはありませんが、キャンドル購入者の心に響くメッセージがあり、それが創業者たちにとってしっかりとした土台になりました。いまでは、Scentsyの年間売上は5億4500万ドル以上です。

Loot Crate:Loot Crateは、同社のポップカルチャーのサンプルパッケージを購入する60万以上の顧客を抱えており、VCなど機関投資家から調達する前は1億ドルの収益がありました。Loot Crateは立ち上げの最初の週末から顧客に対して料金の請求を始めたことも、Loot Crateが効率的である理由の一端です。

Klaviyo:Klaviyoの共同創業者たちは、ARRが100万ドルに達するまで最初の雇用は行わないことに決めていました。プロダクトデザインに熱心に取り組み、精力的に販売に努めたおかげで、この新興のメールマーケティングプラットフォームは、すぐに目標額を突破しましたが、資金調達は3年間延期しました。

Spanx:シャーク・タンク(訳注:米国版「マネーの虎」)の審査員であるSara Blakely(サラ・ブレイクリー)は、今回紹介している起業家たちの中で最も有名な人物でしょう。Oprah(訳注:米国のトークショーで有名な女性セレブ)お墨付きの衣服への5,000ドルの投資から、年間4億ドルの収益を生み出しました。Blakelyは、自身のファッションセンスで支持を得ましたが、ビリオネアの地位を彼女に与えたのは、何よりも資本効率の原則に対する彼女の鋭い理解力でした。

Tuft and Needle:3,994,900%も多く資本を調達した競合他社と直面したにも関わらず、マットレスを扱うこの会社は、わずか6000ドルのシード資金と利益を利用して、1億ドル以上を稼ぐ企業にまで成長することができました。

Grammarly:10年以上前からスペルチェッカーはWordやGoogle Docsに搭載されてきました。それでもGrammarlyは多くの改善をしたので、文法上の恥ずかしいミスから解放されたいという800以上の大学や数十万人のライターたちから月額料金を得ることに成功しました。10年近くも誤植を発見し続けた後、GrammarlyはシリーズAで1億1000万ドルを調達しました。

マーケティング費用はケチケチしよう

スタートアップのマーケティング担当者は、測定できないブランドマーケティングに時間を無駄にするのを嫌うでしょう。効率的な起業家は、段階的で即効性のあるキャンペーンを行う必要があるのです。

ButcherBox:ミールキットの会社が株式市場で苦戦しているこの世界で、ButcherBoxは、草を食べて育った牛肉を提供するECのリーディングカンパニーです。高価な広告チャネルを避け、インフルエンサーと資本効率の良い継続的な関係を築くことで、週に100万ドルもの売上を上げています。

Cards Against Humanity:Cards Against Humanityのチームは、Kickstarterではわずか1万5700ドルしか調達できませんでしたが、初年度に総額1200万ドル以上の売上をあげるビジネスを構築しました。同社はまた、一連の気の利いた大胆なマーケティングでブランド力を保っています。牛のウンチを販売したり、ピカソの絵を切り刻んだり、アンニュイなポストトランプ時代のアメリカを表す大きな穴を掘ってトランプの「非常用」持ち出し袋を販売したり、あるいは、単に資金提供を求めることもありました。こうしたプロモーションの費用は安くはありませんが、コストに見合うだけの売り上げを出しているだけでなく、不釣り合いなほどたくさんメディアに無料で記事にしてもらっています。

GoFundMe:バイラルマーケティングは、ビジネスモデルと結びつけると、当然ダメになってしまいますが、適切にプロダクトに統合すると強力な推進力になります。効率的なコンバージョン率最適化と組み合わせれば、バイラルマーケティングは非常に強力なものになり得ます。GoFundMeの創業者たちは、この2つの力を利用して自己資本で事業を立ち上げ、会社の価値は、およそ6億ドルに達しました

効率性 > 資本

スタートアップは、多くの場合、どれだけの資金を調達したかによって測られます。しかし、それよりも重要なのは、資金をどう使うかを考えることです。ビジネスにおいて、最高の起業家たちは、資本をより効率的に増やせる性質を持つ技術やビジネスモデルに目を向けています。

Paint Nite:モネ(画家)とメルロー(ワイン)を組み合わせるというアイデアは目新しいものではありませんが、Paint Niteの創業者たちは、これを費用対効果の良い方法でやろうと考えていました。競合他社が時間のかかる高価なフランチャイズ販売モデルに頼ってるところ、Paint Niteはアートの先生たちと、平日にワインを売りたい既存のバーに手を組ませ、バーやクラブで絵画教室を主催することで3000万ドルの収益を上げるビジネスを生み出しました。1年後、ベンチャーキャピタルから資金調達しました。

Tough Mudder:陸上アスリートの起業家であるWill Dean(ウィル・ディーン)は、7,000ドルの貯金から、年間収益1億ドル以上の会社を作り上げました。成功の秘密は、レースへの登録で事前にチケットを販売し、その資金を運転資金として使用して電動の障害物コースを建設したことです。このコースにより、Tough Mudderは世界的な流行となり、創業から6年で300万人がレースに参加しました。

コミュニティを構築しましょう

テクノロジーは重要ですし、ビジネスモデルも重要です。しかし、情熱的なユーザーのグループを作り出せば、テクノロジーやビジネスモデル以上に強力な堀を生み出すことができます。

37 Signals/Basecamp:37 Signals/Basecampはプロジェクト管理ツールメーカーです。売上は公表していませんが、創業者のJason Fried(ジェイソン・フライド)は、「年間数千万ドルの利益を上げています」と話しています。37 Signals/Basecampは、資本効率の支持に最初に声を挙げた企業の1つであり、同社の「Bootstrapped, Profitable and Proud」(自力でビジネスを立ち上げ、それが利益を生んでおり、それを誇りに思っていること)というVCから調達せずに売上100ドルを達成した会社紹介のブログシリーズは、1ドルも無駄にせずに賢く使うためのヒントを求めてる人にとって必読のものです。

Mojang:Minecraftを支えるレンガ職人たちは、一度もベンチャーキャピタルから資金を調達したことはなく、わずか50人しか雇用していませんが、Microsoftへの売却前には10億ドル近い利益を出していました。スウェーデンのこのスタジオは、Zyngaに感化されたソーシャルスパムや、ユーザーを食い物にする小額課金のような流行にとらわれることは決してありませんでした。Minecraftは、ユーザーに定額料金を請求することで成長し、最終的には25億ドルで買収されました

Behance:Scott Belsky(スコット・ベルスキー)は、クリエイターが自分の仕事の成果をショーケースできるコミュニティーのBehanceを自己資金で立ち上げた後、Union Square Venturesから6500万ドルの資金を調達しました。最終的に、Behanceは1億5000万ドルで買収されました。

Thrillist:2004年に創立されたニュースレター/トレンドセッターを扱うThrillistは、2015年に5400万ドルを調達するまで、Eメールで構築されていました。

Craigslist:Craigslistは、最初のインターネットブームの際に立ち上げたことを強みに、強固な優位性を長い間保っています。従業員がわずか40人で、実質的に何十年もサイトを更新していないにもかかわらず、Craigslistは米国で最も訪問者数の多いサイトで17位に位置しており、数億ドルの利益を生み出していると伝えられています。

Plenty of Fish:Plenty of Fishは出会い系サイトです。2003年に設立されましたが、その後10年以上もの間、機能や見た目は大きく変わっていません。Craigslistと同じように、Plenty of Fishの最大の資産は、その評判と魚がたくさんいる池(利用人数が多いということ)でした。最終的に、Plenty of Fishは5億7500万ドルで売却されました。

「つまらないもの」に幸運の女神はほほえむ

つまらなさの度合いで価値は測れません。資本なしでなんとか成長することができた最も印象的で成功した企業の多くは、ちょっと退屈ではあるものの、深刻な問題を解決し、設立当初から十分な報酬を得ることによって成長したのです。

SurveyMonkey:SurveyMonkeyは90年代のインターネットバブルの時代に設立されました。同業のKosmoのように破壊的ではありませんでしたが、より長く続く強さがありました。インターネットバブルが弾けても生き延びることができ、安定して9桁のランレートまで成長し、設立から11年後に1億ドルのみを調達しました(訳注:SurveyMonkeyは同業他社を多数買収した後、創設19年後の2018年にIPOしています)。

Protolabs:Protolabsは、VistaPrintが名刺でやっていることをプラスチック射出成形で実施しています。Protolabsの価値は現在26億ドルです。

Cvent:Cventは、16億5000万ドルの価値があり、イベント管理ツールを構築しています。一方、6億6300万ドルで買収されたTexturaは建設管理を扱っています。どちらも注目されているとか、流行のマーケットと一般に考えられているものではありません。

Grasshopper:Grasshopperは、電話サービス関連のネットワーク企業です。会社の電話番号が私物の電話端末で使えるソリューションを提供しています。15万人の顧客を抱え、年間収益は3000万ドルを超えています。しかし、VCから資金は調達しておらず、最終的にはCitrixに買収されました。

eClinicalWorks:eClinicalWorksは1999年に設立されました。当時、「一気にデカくなれ」という言葉が叫ばれるなか、同年代の同業他社は大失敗しました。退屈ではあるものの利益性の高い臨床データの管理に長けていたことで、eClinicalWorksは生き延び、今では4000人以上の従業員を抱え、年間で3億2000万ドルの売り上げを生み出しています

Zoho:Zohoは正規職員が4000人、顧客が1800万人、売上が3億ドル以上の企業です。OracleやSalesforceに対抗する自己資本のスタートアップとしてはまずまずです!

Datto:Dattoは、データストレージ分野のスタートアップで、2007年に8万ドルのクレジットカード負債を抱えて設立されました。現在10億ドル以上の価値があり、コネチカット州に拠点を置く唯一のユニコーン企業です。

InsideSales.com:2004年に1万ドルの投資で始まった社内営業チーム向けのAIサービスプロバイダです。現在570人の正規職員を抱えるまでに成長しました。2012年に最初の400万ドルを調達するまでに8年を要しました。現在までに2億5000万ドル以上を調達しています。

JetBrains:プラハを拠点とする、業界をリードするJava IDEとKotlinプログラミング言語の開元。23万の有料顧客の数を増やし続け、Fortune 500のうちの431社と契約し、691人の従業員を雇用しています。これら全ては、VC資金の恩恵なしに行われました。

Unity:クロスプラットフォーム互換や「バンプマッピング」など、ゲーム開発において魅力のない面にフォーカスすることで、モバイルゲーム産業のバックボーンになりました。Unityは何年も資金調達を行いませんでしたが、今では15億ドル以上の評価額を得ており、大多数の著名ゲームスタートアップよりも成功を収めています。

GitHub:ソフトウェア開発者たちからバージョン管理、そのためのサーバー運用とうい苦痛を取り払い、特にオープンソースにおける技術開発エコシステムのなくてはならない一部になりました。2008年創業のGitHubは2012年に1億の資金を調達し、2018年にMicrosoftに7億5000万ドルで買収されました。

Qualtrics:Qualtricsは、学校や企業の調査を管理するツールとしてユタ州の地下室で始まりました。現在は1000人の従業員を抱え、年間1億ドルの収入を稼いで利益を得ています。2002年に創業して2012年に7000万ドルの資金を調達、2018年にSAPに80億ドルで買収されました。

Wistia:企業のトレーニング用ビデオは、よくご存じのように淡々として生気がないものです。おそらく、それ以上に退屈なのは、このトレーニング用ビデオの提供に専念するスタートアップだけでしょう。皿洗い市場のような退屈な市場にもかかわらず、Wistiaは、スターバックス、シルク・ドゥ・ソレイユ、そしてCasperなどの30万人の顧客にサービスを提供する80人のチームを作り上げました。

資金は後からいつでも調達できます

資金調達を先延ばしにすると、驚くような効果がもたらされます

Wayfair:Wayfairは、家庭用品を扱うEC企業であり、事業開始から最初の1か月で利益を上げ、収益性を10年間高めた後、最終的にはシリーズAで1億6500万ドル規模の資金を調達しました。資金を調達したのは、上場した直前のことでした。Wayfairは現在60億ドルの価値がありますが、会社の価値はほとんど落ちなかったので、共同ファウンダーは2人とも、それぞれ10億ドル相当のシェアを持っています

Zip Recruiter:「ライフスタイルビジネスを自己資本で始めたいというささやかな野心で始めたんです」と、共同創業者/CEOのIan Siegel(イアン・ジーゲル)はForbesのAlex Konrad(アレックス・コンラッド)とのインタビューで語りました。この野心が満たされると他の野心が取って代わりました。Zip Recruiterの採用プラットフォームが成長し続けると、創業者たちはより野心的な計画に取り組むために、創業4年目にシリーズAで6300万ドルを調達することにしました。現在Zip Recruiterは1000人の従業員を抱えています。

Nerdwallet:Nerdwalletは若者に対してお金の節約を手助けする個人向け金融サービスです。2009年に設立されてから2015年にシリーズAで6400万ドルを調達するまで、厳しい予算の中でやりくりしていました。Nerdwalletは、1億ドル以上の年間収益に基づいて5億ドルの評価額を得ています。しかし最近、わずかな人数を解雇して気を引き締めなくてはなりませんでした。

資金が得られない者たちは幸いである

スタートアップの中心地の外で事業を始めることの利点は、利用可能なVCがあまり存在しないことです。呪いのように聞こえるかもしれませんが、災いが転じて福となることがあります。起業家として資金調達を夢見ることができないのなら、支払いをしてくれる顧客を満足させることに注力することです。

Atlassian:オーストラリアに拠点を置くAtlassianは、自己資本で130億ドルの時価総額を達成しました。しかし、簡単に資金を調達できていたら、Atlassianのチームは低品質な成長を追い求め、効率的に規模を拡大する方法を見出す前に行き詰まっていたでしょう。

Campaign Monitor:ある企業の最初の資金調達ラウンドが、むしろIPOで得た資金のように思われるなら、それは効率的な起業家だという証です。これはシドニーを拠点にしているCampaign Monitorに当てはまります。Campaign Monitorは、ディズニー、コカ・コーラ、BuzzFeedのような企業に優れたメール分析を提供しており、資金調達の最初のラウンドは、合計で2億5000万ドルに達しました。

The Trade Desk:創業者のJeff Green(ジェフ・グリーン)は、運用型広告業界を強化する方法について独自の見解を持っており、現代のAdTechの資金調達サイクルが終わろうとしているころに、The Trade Deskを始めました。この市場では、業績悪化で失敗した投資家たちの存在と過大な資金とが相まって、企業は創業からずっと、各ラウンドでの資金調達で苦戦しています。Greenは、最初の6年間で、わずか2640万ドルのみを調達したという、立派なスタートアップCEOでした。それから、The Trade DeskをNASDAQ上場の10億ドル規模のビジネスに変えたのです(情報開示:Founder CollectiveはThe Trade Deskに投資しています)。

AppLovin:後に10億ドル規模のビジネスになるアイデアであっても、それを投資家たちに納得してもらうのが、どれほど難しいかったか。そんな風に創業者たちから聞くのは、驚くほど一般的なことです。会社を14億ドルで売却する前に、モバイルマーケティングツールを提供するAppLovinの創業者であるAdam Foroughi(アダム・フォロウイ)は、「開始時点の評価額として妥当だと考えていた額(たぶん400万ドルか500万ドル)で投資してくれる人物を見つけることができませんでした。事業開始の最初の1年が過ぎるまでに、私たちは黒字化していましたし、月次100万ドルの収益を上げていました」と語っていました。その後はといえば……、皆さんご存じの通りです。

これでもまだ表面をなぞっているだけ

驚くべきことに、ここで紹介している50以上の企業のストーリーは、資本効率の良い企業のほんの一部でしかないということです。会社の存続年数が長かったり、ちょっと異質だという理由から、あまり時間をかけて調べていない企業というのがあります。でも、そうしたパターンにも、多くの企業が適合します。

MathworksとWolfram Researchは数千人の従業員を抱えている、すごい企業です。フィールズ賞の受賞者でもない限り、この企業の成功を模倣するのは難しいでしょう。

ESRI & Boseは資本効率の良い企業の事例です。しかし、この企業のストーリーは、ほぼ60年以上も昔のものです。

同様に、CAD関連技術のリーダーであるAutodeskは、現在250億ドルの価値がありますが、さかのぼること1982年に、たったの6万ドルで事業を開始しました。当時の6万ドルは、インフレを考慮すると15万ドルになることを考えると、これは興味深いです。この額は、現在のY Combinatorが各企業に投資している12万ドルという額とそう変わりません。

Epic Systemsは1979年にJudith Faulkner(ジュディス・フォークナー)によって、わずか7万ドルの資金で創業されました。ウィスコンシン州に拠点を置くEpicは、自己資本で現在経営しているソフトウェア会社の中で最も重要な企業のうちの1社です。医療記録ソフトウェアを提供するEpicは1万人の社員をかかえ、2018年には29億ドルを売り上げています。

Microsoftは、これまでで最も印象に残る自己資本のスタートアップと言えるかもしれません。また、他の分野でもよく研究されています。

Valveは、Microsoftの初期の成功で金持ちになった創業者たちが自己出資した企業であり、お伝えするのが難しいValveのゲームのチートコードで利益を得ました。

Veeva Systemsは、厳密に言えば自己資本の会社ではなく、立ち上げから早いうちに400万ドルを調達しています。この金額はしかし、最近の多くのスタートアップにとっては、ほとんどシードラウンドの額です。製薬とライフサイエンス向けクラウドサービスを提供しており、2007年創業、2013年にIPO。現在、時価総額は2.2億ドルです。

CarGurusも同様に、わずか数百万ドルの資金を調達しただけですが、後に2017年のテック企業のIPOで最高の結果を残し、時価総額は30億ドル付近を上下しています。

Outcome Healthは、ここ1年間論争に巻き込まれています。なので、この企業を模範として紹介したくはないのですが、ベンチャーキャピタルで大量の資金を調達するよりも前に、Outcome Healthは自己資本でビジネスに成功しており、数百人の従業員を抱えています。

O’Reilly Mediaは、テクノロジー業界で伝説的な地位を得ており、年間売上は1億ドル以上です。また、Indie.vcと提携もしています。Indie.vcは、自己資本でビジネスを行なっている別の偉大な企業のリストを公開しています。

さて、どう線引きするのかという問題があります。Harvestは10年以上もの間、50人の従業員で利益を上げてきましたが、TextNowはわずか数百万ドルの売り上げで従業員数75名の企業を生み出しました。こうした範疇に当てはまる企業をすべて含めたら、紹介する企業の数は確実に数百社になりますし、ひょっとすると数千社になるかもしれません!

VCを中心にビジネスを設計しないように

スタートアップはかつて、取り組みたい仕事を見つけてから資金を求めていました。今日のスタートアップは、取り組みたい仕事を見出すために資金を求めています。創薬や航空機器以外の分野では、これは通常誤った判断です。リソースなしで進展するのは、VCの関心を引く最良の方法です。

この記事は自己資本での立ち上げ奨励するためのものではありません。ベンチャーキャピタルは、AppleからZapposまで、ほとんどすべての大手テック企業を支援してきました。ただ、事業を始めるには1円すら資金がなくても良いのだ、ということを忘れないでください。スタートアップを設立して規模を拡大するのに、資金提供する人の許可は要りません。なので、次にVCから「パスだね」と言われたときは、以下の3つの原則を思い出してください。

  • 資金がなくても、テクノロジーを使ったビジネスを始めることができる
  • 資金がほとんどなくてもテクノロジー分野のビジネス規模を拡大することができる
  • 受け入れる資金の総額を抑えることが、創業者にとって最も理にかなっていることがある

自己資本でずば抜けた結果を出している会社を他にもご存じでしたら、ぜひ私たちに教えてくください。

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