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ファウンダーはピッチコンテストに登壇するべきか?

先週、B Dash Campが開催されました。せっかくなので、ピッチコンテストについて、そしてスタートアップのファウンダーがそれらに登壇する価値はあるかどうかについて語りたいと思います。ご存じのない方に説明しておくと、B Dash Campは日本で最も注目されているピッチコンテストのひとつです。他には、Infinity Ventures Summit(IVS)、Industry Co-Creation(ICC)、そしてTechCrunch Tokyoなどがあります。

幸運なことに、私たちの投資先のスタートアップの多くは、ピッチコンテストで賞を獲得しています。B Dash Campにおいては、私たちのポートフォリオ企業のSmartHRShippioカケハシ、そして先週はAnyflowが優勝しました。ピッチコンテストで登壇することによるメリットとデメリットを何度も見てきた身として、登壇を考えているファウンダーの方々の参考になるように、知見を共有したいと思います。

登壇することのメリット

主なメリットは大まかに言うと、スタートアップ業界の中で、あなたの会社の知名度を上げられるということです。業界の有力なプレイヤーの多くは、ピッチコンテストに足を運んだり、出場するスタートアップをチェックしたりしています。このことは、以下のような点で役立ちます。

資金調達:業界の主要な投資家はすべて、ピッチコンテストで受賞した企業をほぼ確実にチェックしています。また多くの投資家が、受賞しなかった企業についても、少なくとも名前を覚えるようになるでしょう。多くの場合、私たちの投資先のスタートアップはピッチに登壇すると、投資家から会ってみたいという問い合わせを受けます。このように、ピッチコンテストは投資家のマインドシェアを獲得するのに非常に効率的な方法となり得るのです。また、ピッチコンテストで受賞することにより、ハロー効果が生じることもありました。受賞するだけで投資家の間で評判が高まり、それに応じて、次のラウンドのバリュエーションにプレミアムがつくこともあります。

顧客獲得:もしもスタートアップ業界やテック業界の他の企業が、あなたのプロダクトの顧客になり得るならば、ピッチコンテストはそういった企業に効果的にリーチする手段のひとつです。例えば、SmartHRはたくさんのピッチコンテストに登壇して賞を獲得することで、テック業界内で急速に成長しました。

ビジネス開発:同様に、特定のパートナーシップを結ぶことがビジネスの成長に繋がるのなら、そういったパートナーシップを見つけるのにピッチコンテストは有効かもしれません。ピッチコンテストには、企業の幹部や事業開発担当者が、提携できるスタートアップを見つけるという目的を持って参加しているからです。

採用:投資家の間で生じるハロー効果は、採用面でも役立つことがあります。これは理にかなっています。投資家は企業に資金を投資しますが、採用候補者は企業に人生を投資するからです。あなたのスタートアップに将来性があると思うことができれば、候補者もリスクを受け入れやすくなります。ピッチコンテストで投資家たちに高く評価されれることは、採用候補者にとって将来性の保証にも見えるでしょう。

広報:ピッチコンテストは多くのメディアで取り上げられます。特にテック系のメディアには取り上げられやすく、TechCrunchTHE BRIDGEで記事になることはほぼ確実です。こういった記事は、上記の分野におけるメリットをさらに大きくし、あなたのスタートアップに対する信頼も高まるでしょう。また、未来の投資家、顧客、提携先、社員になり得る人に記事を共有することもできます。記事を共有せずとも、そういった人々は検索を通じて記事を見つけることでしょう。

さらに挙げられるメリットとして、ピッチコンテストはフィードバックを得る機会になります。ファウンダーは自らの事業について誰よりも深く考えており、だからこそ事業に関するコンテクストを最もよく理解しています。一方、念の為に第三者の意見を聞くのが良い場合もあります。そうすることで、これまで考えもしなかったことに気づけるかもしれません。あるいは少なくとも、何が投資家に響き、何が響かないのかをより良く理解することができます。これは、説得力のあるストーリーを考える上で役立ちます。

登壇することのデメリット

メリットに比べ、デメリットはとても少ないと考えていますが、思い浮かぶものは以下の通りです。

本業に集中できなくなるかもしれない:説得力のあるピッチを準備するには、多くの時間がかかるでしょう。スライド作成だけでなく、プレゼンの練習にも時間を費やさなければいけません。プレゼンがもともと上手な人もいますが、ほとんどの場合、受賞するようなピッチを作り上げるためには多くの労力を費やす必要があります。このようにピッチの準備に時間と思考を費やすことにより、プロダクトのリリース、顧客の獲得、採用など、ファウンダーとして優先すべき仕事に集中できなくなることもあります。結局のところ、スタートアップの成功に繋がるのはピッチではなく、何かを作り出すことです。ピッチはあくまで、すでにでき上がった素晴らしいビジネスを補完することしかできません。

取り組んでいることを明かす必要がある:「ビジネスについてより多くの人に知ってもらえる」ということは、逆に言えば、「ビジネスについてより多くの人に知られてしまう」ということです。ビジネスについて知られてしまうことで、あなたの会社が他社を大きく先行する前に、競合が出現してしまうこともあり得ます。とはいえ、NDAについての記事で述べたように、アイデアそのものではなく、アイデアを実行することに価値があるのです。あなたの会社が独自性を発揮できるのであれば、そこまで懸念する必要はないでしょう。

ピッチコンテストは、スタートアップが知名度を上げるために費用対効果の高い方法になり得ます。しかし、素晴らしい企業を作り上げるために必要不可欠なことではありません。メルカリやFacebookはこのようなコンテストに登壇しませんでしたし、私の知る限り、おそらくGoogleも登壇したことはないでしょう。ピッチコンテストは成功への道ではありません。しかし、一部のスタートアップにとっては、ビジネスの後押しになるでしょう。

ピッチマーケティング

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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