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従業員に会社を辞めてもらう方法

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Asking An Employee To Leave The Company」を翻訳したものです。

注記:本記事は米国のスタートアップ経営者向けに書かれたブログ記事の翻訳です。日本では解雇要件を満たさない場合には不当解雇となるリスクがあります。労働法や雇用慣行の違いから、ここで書かれたアドバイスはそのまま適用できないことに、ご注意ください。


私は、「クビ」や「解雇」という言葉は好きではありません。それらには、従業員と別れるときに使うには、過度に感情的な要素があるように思えます。これらの言葉ではなく、「フレッドは会社を辞めるように言われた」とか「フレッド、きみには会社を辞めてもらう必要があるんだ」というのがいいと思います。そのほうがうまくいきますし、たぶん、会社を辞めるように言われる人にとってもいいと思います。

しかしどのように言うかということよりも、どのようにやるかというのが重要だと思います。ここでは、いくつかの簡単なルールとそれぞれの解説を紹介します。

素早く:誰かに辞めてもらうことを決めたなら、素早く動いてやってしまいましょう。気乗りしないと後回しにてはいけません。準備は整えますが(退職条件、退職の日付、どのようにそれを伝えるかなど)、それが整い次第、話をしましょう。

気前よく:従業員が極端に悪意を持って働いていたり、何か非常におかしなことをしたのでなければ、辞めてもらうときには気前よくしたいものです。会社の規則や契約で必要とされていなくても、なにか退職手当をあげるのがいいと思います。私は、あげる必要がないとしても、会社の株をあげるのが好きです。 退職をできるだけポジティブなものにしたい。そしてその人がいなくなった後で、その人についていいことを言いたいです。金銭的にも感情的にも気前よくしたいです。そのほうが誰にとっても楽に済むと思うのです。

明確に:遠回しに言ってはいけません。きついことから話し始めましょう。彼らには会社を辞めてもらうのです。いつ、どのようにしてかを明確にしましょう。そして、金銭的なことと退職に関する他の事柄についても明確にしましょう。言葉を濁すことなくはっきりさせ、 紛らわしいことは言わないようにしましょう。このような状況では、従業員のほとんどが理由を尋ねます。理由は前もって準備しておき、 説明するときには、はっきりと歯切れよく。別の道を歩むことになる理由は、その従業員の落ち度である必要はありません。会社の落ち度であることもあり得ますし、実際、しばしば会社の落ち度だったりします。スタートアップ企業では、従業員はほとんどの場合随意雇用ですから、最高経営責任者の権利として誰にでもどのような理由でも辞めてもらうことができます。ですから、できるだけ正直に、理由は明確に歯切れよく、そして長く込み入った議論にならないようにしましょう。

法律相談を: このような状況では、会社が法的な問題に直面する可能性がある場合があります。小さな会社なら、弁護士に特定の状況について尋ねて、自社がそのような問題を抱えているときにはそれがわかるようにしましょう。大きな会社であれば、そのような状況かどうか人事部がわかるはずです。けれども、退職について腰を据えて話を始める前に、必ずアドバイスを受け、状況を適切に把握しているようにしましょう。 万が一やっかいな状況になった場合には、違ったやり方をする必要がありますし、その場合どうすべきか、この記事に書かれていること以上のアドバイスが必要となってきます。

情報共有を:従業員が退職について知らされたならば、ただちに社内で影響を受ける人たちに情報共有すべきです。退職するのが幹部や共同創設者の場合、それはつまり社内の全員ということです。ですから、退職する従業員と話したらすぐにそれを社内にどう伝えるかを考えておきましょう。あなたのメッセージは一貫していなければなりません。退職する従業員に言ったことと違うことをチームに言わないように。人は互いに話をするものです。そして、あなたが異なるメッセージを出したならば、みんなはすぐに、あなたが事実を捻じ曲げているか、でたらめを言っているか、あるいはそれよりも悪いことをしていると解釈してしまいます。

従業員に会社を辞めてもらうときには、考慮すべき関係者が二組います。1つは、退職する従業員本人です。2つ目は残る従業員です。あなたが退職する従業員をどのように扱うかは、残る従業員に知られることになります。たとえ、退職する従業員が好かれていなかったとしても、社風に合っていなかったとしても、またはさらに悪いことに無能だったとしても、残った従業員は退職する従業員にいくらかは共感を持つものですから、あなたが状況をうまく扱えば、それはチームに重要なメッセージを送ることになります。 私は、経験の少ない多くのマネージャーがこの微妙なところを見落としたために痛い目に遭うのを見ています。彼らはチームに「強く見られ」なければならないと考えるのです。たしかにその必要はあります。しかし、彼らはフェアで思いやりもあると見られる必要もあるのです。これはそのための大きなチャンスです。

最後に、上司自身の精神のために贈る言葉で締めくりたいと思います。

誰かに会社を辞めてもらうことは、けっして簡単なことではありません。楽しいと思う人など1人もいないと思います。しかし、それは会社にはつきものなのです。好きになる必要はありませんが、上手くやれるようになる必要はあります。私だけでなく、そのような状況にあるすべての人にとって助けになるのは、自分は会社や会社に残るチーム、顧客、パートナー、投資家などすべての関係者にとって正しいことをしているのだという確信です。そのように考えれば、誰もが嫌いなこの仕事をするのが少しは楽になります。

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