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WeWork凋落の余波で、日本の資金調達環境は変わるか?

WeWorkの凋落は、2019年、世界中のスタートアップ業界に影響を及ぼしました。童話「裸の王様」で書かれているような問題は、これまでもWeWorkやその他のスタートアップには常に存在していました。しかし、この問題を無視できなくなったのは、その詳細がIPO申請の際に表沙汰になってからでした。2010年代は、ビジョン・ファンドに代表されるように、資金余剰の時代でした。たくさんの素晴らしい会社がこの時期に生まれたことに疑いの余地はありません。しかし、「上げ潮はすべての舟を持ち上げる」のです。WeWorkのような会社が支援されることも避けられませんでした。

WeWorkのIPO計画が頓挫して以降、投資家の心理にも明らかな変化が生まれました。シリコンバレーの関係者たちから、ユニットエコノミクスやキャッシュフロー関連のツイートが増えたのを見れば、何かが変わったのだと分かります(半分、冗談です)。最近、機関投資家や事業会社の投資担当者らと話しをすると、当然のように、より保守的になり、浮き彫りとなった問題についてどう理解すれば良いのか、その見立てを求めていました。そして起業家は、この問題が次の資金調達にどう影響するか質問してくるようになりました。

日本に関していえば、まず指摘しておくべきなのは、ソフトバンクのビジョン・ファンドが国内市場ではまだ活動していないことです。したがって、日本では異常なバリュエーションや過剰な支出はあまり見受けられません。それでも、実質から乖離したバリュエーションを事業会社が付け、結果としてアグレッシブな評価額につり上がったスタートアップは、次のラウンドでの調達が難しくなったケースが増えました。事業会社の心理が変わり、より保守的になっているなか、スタートアップが事業会社から資金を調達することは、難しくなるかもしれません。

一方、多くの国内VCは新規ファンドの組成に成功しており、今後2、3年のうちにその資金を投資する必要があります。スタートアップへの投資は、企業にとって重要性が高いものではありませんが、VCにとってはメインビジネスです。したがって、新しいファンドの資金を調達する必要が出てくるまでは、VCはスタートアップに投資し続けます。注意すべきなのは、日本では、VCが調達する資金の多くは事業会社からのものであるという点です。そのため、昨今見受けられる事業会社の心理の変化は、国内VCが次回資金調達をする際に影響を与えるでしょう。しかし、大きな変化があるまで、2、3年のタイムラグがあると思います。

もしあなたが起業家なら、会社の財務状況を再評価する良いタイミングかもしれません。もしかしたら、獲得や維持にコストがかかりすぎているユーザープロファイルがあり、このようなユーザーへの注力は抑えるべきかもしれません。あるいは、投資回収期間が長すぎるかもしれません。その場合、プライシングを再考するか、前払い決済でもっと請求すべきなのかもしれません。キャッシュフローを改善し、投資家への依存度を下げるためにできる施策はなんでも検討するのがいいと思います。Bill Gurleyが最近ツイートしたように、「古い格言にある通りだよ。『1ドルを0.85ドルで売るスタートアップ』は記録的な成長を遂げる」。そのようなグロースは、資金が枯渇するとき持続不可能になります。

優れた一部のスタートアップは、引き続き調達はできると思います。比較的順調なスタートアップでも、おそらく資金調達が可能でしょう。ただ、その他のスタートアップに関して言えば、今後多くの困難に直面するかもしれません。しかし、この流れは健全です。

P.S.もしあなたのスタートアップが、キャッシュ・ポジションで悩んでいるのであれば、本ブログの資金調達の選択肢シリーズをぜひ読んでみてください。

エクイティファイナンスベンチャーエコシステムベンチャー投資
James Riney

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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