2月8日に開催したStartup Aquariumは、来場者1000名超、登壇者50名、参加企業31社、当日のカジュアル面談数730件以上、そして東京でのtwitterトレンド入りもし、日本史上最大のスタートアップキャリアイベントになりました。
イベント内容や、スタートアップエコシステムでの転職潮流の変化については、別途記事にまとめているので、そちらをご参照ください。ここでは、Startup Aquariumが日本のスタートアップエコシステムにどんなインパクトをもたらしたかについて、イベントを企画した私(Coral Capitalタレントマネージャーの津田遼)からお話しできればと思います。
結論からお伝えすると、Startup Aquariumがもたらしたインパクトは、「1.厳選された、2.多くのスタートアップを、3.カジュアルに知り、4.自分のペースに合わせてキャリアチェンジを柔軟に検討できる場が生まれた」という点に尽きます。以下、その意味するところについて説明していきます。
【告知】Coral Capitalはオンライン版のSTARTUP AQUARIUMを4月23日に開催予定です。こちらで参加申込を受け付けています。
既存のスタートアップ転職の特徴と、満たされない空白
これまでのスタートアップ転職といえば、主に3つの選択肢がありました。エージェントを経由しての転職(エージェント転職)、友人・知人の紹介による転職(リファラル転職)、そして転職者本人が直接企業にリーチする転職(ダイレクト転職)です。
それぞれの転職方法の特徴をまとめると、以下のようになるでしょう。
まず、エージェント転職ですが、入社が決まった際に紹介先企業からエージェントが紹介料(年収の35%程度)を得るビジネスモデルであるため、以下の力学が働く傾向にあります。
- 紹介されるスタートアップの軸は、「エージェントフィーを払える一定規模以上のスタートアップ」という括りになる(アーリーステージスタートアップには資金面での余裕がない)
- 紹介されるスタートアップの質は、エージェントの目利き力に大きく左右される(大企業と異なり、成功する可能性が高いスタートアップをアーリーステージから目利きする難易度は高い)
- 入社決定までに時間がかかりすぎるとエージェント担当者の売上が厳しくなるので、中長期で転職を視野に入れている候補者へのコミットメントは下げざるを得ない(紹介案件が減るなど)
- 「選考」としてスタートするので、中長期的にキャリアを検討している方が、社員の方とざっくばらんに話をしにくい
次に、友人や知人による紹介(リファラル転職)は、以下の特徴があります。
- 友人や知人は職業紹介を専門にしているわけではないので、案件数は必然的に少なくなり、自分にベストマッチの決断をするための選択肢の母数が限られる
- スタートアップの質は、紹介してくれる人の目利き力に大きく左右される(エンジェル投資家やベンチャーキャピタリストなど、スタートアップの目利きを専門にしている人であれば話は別
そして、自らネットで各社のウェブサイトやTechCrunchの記事、Wantedlyなどを調べ、直接応募・直接アポを取ったりするダイレクト転職についても、リファラル転職と基本的に同じ特徴があります。自分の情報収集力と目利き力に全てがかかってきます。
それぞれの転職形態は、どれも一長一短なので、どの転職手法が一番いいかという議論は不毛です。それぞれの人が置かれた状況によって、ベストな転職方法は変わってくるからです。
一方で、日々ベンチャーキャピタルのタレントマネージャーとして多くの優秀な方や、スタートアップの方とお会いしている中で感じてきたのは、スタートアップに向いている優秀な方々は本当はもっと日本に多くいるのに、既存の転職方法だけではその方々が次の一歩を踏み出すハードルが高いということでした。
Startup Aquariumという新しい転職方法
既存の転職方法で満たされなかったニーズは、次の1文に集約されます。
「転職ありきではなく、自分のペースで多くの優良スタートアップを見て理解を深め、いいところがあれば(カルチャーやポジションがマッチするところがあれば)キャリアチェンジをしたい」
特にスタートアップ転職においては、マインド面でもアウトプット面でも、通常の転職よりも会社へのコミットメントが求められ、一人ひとりが会社に与えるインパクトもはるかに大きくなるため、通常の転職よりもはるかに高いカルチャーフィット、能力マッチが求められます。
したがって、転職者側としては、短期間で限られた選択肢の中から「えいやっ!」と転職先を決めるよりも、時間をかけて多くのスタートアップを見て体感し、揺るぎない納得感を持って転職先を選ぶことが極めて大事です。
既存の転職方法だと、そういった壁打ちに並走してくれる素晴らしい真のエージェントに出会えた方や、目利き力が素晴らしい友人を持っている方など、一部の幸運な人を除き、理想のスタートアップ転職を実現することは難しい状況でした。
Startup Aquariumは、そこを打破する第一歩になったと考えています。
1.厳選された、2.多くのスタートアップを、3.カジュアルに知り、4.自分のペースに合わせてキャリアチェンジを柔軟に検討できる場
既存の転職方法と比較したStartup Aquariumの特徴は、以下のとおりです。
1.厳選されている
ベンチャーキャピタルをビジネスとして成り立たせているのは、スタートアップへの目利き力です。Startup Aquariumには、そのVCの本質たる目利き力を活かし、Coral Capital投資先(Coral Family)を中心とした厳選スタートアップに参加いただきました。
2.多くのスタートアップを知れる
Startup Aquariumには、スタートアップ31社、スタートアップ役員・社員約200名の方にご参加いただきました。参加者の方は、各社が3分で自社の魅力についてプレゼンするElevator Pitchやパネルディスカッションなどを通じて、短時間で様々な領域の多くのスタートアップの事業内容やカルチャーについて知っていただくことができました。
3.カジュアルに知る
職種別にスタートアップ社員とwalk-in形式でふらっと話せる「職種別交流ラウンジ」や、10分間の個別面談(当日730件以上実施)などを通じて、転職前提の「面接」ではなく、気軽に参加スタートアップ社員や役員と話せる「カジュアル面談」が行われました。
4.自分のペースに合わせてキャリアチェンジを柔軟に検討できる
Startup Aquariumは、「転職イベント」ではなく「スタートアップキャリアを考える場」。したがって、転職活動中の人にももちろん活用いただけますが、中長期的にキャリアチェンジを考えていて、まずは自分の視野を広げたいという人にも活用いただけるコンテンツになっています。今回の参加者の30%が「転職活動中」であるのに対し、46%が「中長期でキャリアチェンジを考えている」、24%が「キャリアチェンジはしばらく考えていない」という比率がそれを物語っています。
Coral Capitalは、これからも挑戦していきます
人間は、自分の能力と、興味関心を最大限開花できる環境で働くことで、人生を充実した豊かなものにできます。日本のスタートアップで活躍する人の数はここ数年で飛躍的に増えましたが、スタートアップに向いていながらも、そこへの第一歩を踏み出せていない「スタートアップ潜在層」の人たちがまだまだ多く眠っています。
Startup Aquariumは、「1.厳選された、2.多くのスタートアップを、3.カジュアルに知り、4.自分のペースに合わせてキャリアチェンジを柔軟に検討できる場」を作り出すことで、そういった方々が第一歩を踏み出す機会を作り出すことができたと感じています。
これを出発点として、Coral Capitalはより多くの優秀な人がスタートアップエコシステムに入って活躍してもらえる世の中を作って行くために、これからも「人」の面からも新しい取り組みに挑戦していきます。乞うご期待ください!
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Coral Capitalでは、Startup Aquariumに参加したCoral Family(Coral Capital投資先スタートアップ)と、そこでのキャリアに興味がある方を繋ぐ “Coral Careers” というコミュニティを運営しています。毎月Coralが開催するスタートアップイベントの情報や、Coral Familyとのカジュアル面談の機会の提供など、中長期的にスタートアップでのキャリアを検討する上で活用いただけます。詳細はこちら。
Talent Manager @ Coral Capital