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昭和のシャンプー頻度は週1、平成の転職回数は1回だった

1983年にシャンプーのテレビCMに出ていた女性アイドルのセリフを知って驚きました。

「信じられる? ティーンの2人に1人が毎日シャンプーしてるって」

2020年の現在から数えて37年前のことです。今では想像がつかないことですが、当時、シャンプーで毎日頭髪を洗うのは若い女性の約半数のみ。日本人全体で見ると洗髪頻度は1週間に2、3度だったそうです。以下は花王の調査による日本人の洗髪頻度の歴史的変遷です。

1990年代の半ば、つまり今から25年ほど前でも、毎日シャンプーするのは10〜20代の女性だけ。全世代に近い女性(10〜50代)にわたって「ほぼ毎日シャンプー」するようになったのは2015年になってからのことのようです。

1970年代の花王のシャンプー(Source: https://www.kao.com/jp/who-we-are/history/

 

とても意外な感じがしませんか?

30年連続で同じ会社に勤めていた時代があるなんて!

今から30年後に2020年代を振り返ったとき、シャンプー頻度のように驚くことになるのは転職回数ではないかと思います。

「信じられる? 30代の2人に1人が転職を1回以上経験してるって」(2017年の調査)

リクナビNEXTの2017年の調査によれば、30代は以下のように「転職経験なし」が47%となっています。転職回数と回答者の割合をかけて平均を取ると、30〜39歳の転職回数の平均は1回となります(40〜49歳は1.42回、50〜59歳は1.62回)。

30代で約半数、50代でも3人に1人が転職経験なしです。この数字が、いちばんの衝撃をもって2050年に30歳となる人たち(今年生まれる日本人)に振り返られることになるのではないかと思うのです。

たった30年前のことで「そんなにシャンプーしてなかったの?」と驚くのと同じで、30年後には転職回数の常識はガラッと変わるのではないでしょうか。

例えば、わずか10年前には「会社や事業をモノのように売り買いするなんて、家族を売り飛ばすようなもので、けしからん」という議論がありました。6、7年前ですら、日本のスタートアップが大企業に買収されるM&Aは、ほとんどありませんでしたし、この議論に対してスタートアップ業界では、「そうではなく、会社という器を使いこなすようになっていかないといけない」という議論が盛んだったのです。それが今や、若手の起業家の一定数が最初から「M&A EXITを目指しています」と会社を売る気満々ということがある時代になりました(私はこれは良い傾向だと思っています。VCとして支援できるかどうかは別ですが)。

日本社会にとって「会社」は、単に事業や製品をつくるために人が集まったソシキなどではありませんでした。それは国家と家族の中間に位置した中間共同体であり、そこのメンバーたちは家族同然でもあったわけです。だから売り買いの対象とするのはけしからん、というのも当然の議論でした。

今後10〜20年で、全ての産業においてソフトウェアを最も上手に使いこなす会社が勝者となるでしょう。ソフトウェアの特徴は文字通り「やわらかい」ことで、ハードに比べると変更が容易です。となると、より良いやり方が登場して業界・産業が変化する速度は速まると考えられます。そのとき、会社を家族が集まった共同体と捉えるよりも、特定のやり方で目的地をともに目指す同士が集まる「乗り物」なのだ、と捉えるほうが良いように思うのです。新しいやり方を試す1サイクルが3〜5年。すでにビジネスが確立された大手企業で働くとしてもプロジェクトの1サイクルは同じような期間でしょう。「次の挑戦」が同一企業内にあることもあるでしょうし、外にあることもあるでしょう。当然うまくいけば10年、20年とやり続けることもあるでしょうし、特に新しい何かの立ち上げがうまくいき、その理想を追い続られるのであれば、それがベストかもしれません。しかし一般論としては転職回数は増えるように思われます。

上の段落で書いたことは、外資系企業やネット業界、スタートアップ業界で働く20〜30代には、「そうだよね」という話かもしれません。むしろ35歳にもなって転職経験がない人に対して「大丈夫?」と心配するカルチャーすらあるかもしれません。ただ、そう思った人々というのは、1980年代に毎日シャンプーするようになった一部の若い女性のように、日本社会においては新しい層なのだと思うのです。

さて、キャリアの歩み方が変わってきている今、その最先端ともいえるスタートアップ業界へ足を踏み入れることを考えている人がもしいれば、ぜひ2月8日土曜日開催の「Startup Aquarium」への参加をご検討いただければと思います。スタートアップ30社の創業メンバーや各職種の人たちの生の声を聞くことができ、リアルに交流できる場もご用意しています。大手企業や専門職の方々を中心に、すでに参加者規模は1,000人を突破。時代の変化の風を感じています。

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Ken Nishimura

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