Coral Capitalは2月8日土曜日、東京・虎ノ門にある虎ノ門ヒルズで参加者数が1000人を超える日本最大のスタートアップキャリアイベント「Startup Aquarium」を開催しました。参加スタートアップ企業30社、登壇者50人、参加者とスタートアップの間で730件もの面談が行われるなど、大小2会場と通路を活用したミーティングスペースは、常時熱気あふれるものとなりました。
合計14あった各セッションについては後日それぞれ別記事として掲載予定ですが、この記事では当日の様子をお伝えします。
登壇者50人、計14セッションと30社によるピッチ
Startup Aquariumは参加者が、Coral Capitalが厳選したスタートアップ企業の創業者を含む「中の人」を知り、一気に身近で話せるイベントというのが開催趣旨の1つでしたが、パネルセッションだけでも、いわゆるスタートアップイベントと遜色のない登壇者と内容だったと思います。
メインステージでは、まず「Fireside Chat: メガベンチャーが振り返る〜起業、挫折、成長、上場、これからの挑戦」と題して、マネーフォワード代表取締役社長CEOの辻庸介さんが登壇。Coral Capitalの西村がお話をうかがいました。創業期、起業に踏み切るまでに2年ほど逡巡したものの、いったん始めてしまえばやるしかないと吹っ切れた面があったことや、理念からストレートに出てきた最初のプロダクト「マネーブック」が、全くユーザーがつかずに挫折したことから語り始め、C向けだけでなくB向けへプロダクトラインを拡充する意思決定のときの社内から反対にあったこと、大企業とスタートアップで働くことの違いなどを語りました。ソニーやマネックス証券といった大手で働いてきた自分自身を振り返り、大企業だと0.2の力しか発揮してなかったところ、スタートアップでは自分の能力がフルで出せるとし、「ストレッチできる場所を選ぼう。そのことでビジネスパーソンとしての能力があがる。もっとチャレンジしてほしい」と会場に語りかけ、セッションを終えました。
メインステージのパネルは、このほかにも「スタートアップで働く魅力と罠〜先鋭起業家3名が語る」と題して、大手からスタートアップへ移籍して働く人を念頭に、どういう人がスタートアップに向くのか、向かないのかといったことを語ったほか、「スタートアップでの働き方〜残業、リモート、副業、子育て」では、以下のスライドにあるように、各社がつくってきた独自の制度や文化について語り、最後に「ベンチャーキャピタリストが語るスタートアップの未来」として、著名VC4人が、キャリアの築き方の選択肢にスタートアップが入ってきたここ10年の変化と、現在の時代の変わり目、個々人としてのリスクの考え方について語りました。
そしてイベントのメインコンテンツの1つでもある「エレベーターピッチ」では1社3分で30社が次々に自社のビジネス領域やビジネスモデルを解説。一般的なスタートアップイベントでは投資家に対して優位性を述べるものが多いのに対して、潜在求職者に対して呼びかける内容も多かったのが印象的でした。
スタートアップ幹部たちが語る生々しくも楽しい現場の話
メインステージが大きな業界のトレンドやスタートアップ全体の話を中心にしたものであったのに対して、第2会場となった小ホールのサブステージでは、職種別のパネルディスカッションが繰り広げられました。まず、シード期のCEOたちによる「アーリーステージ」独特の話を掘り下げたセッションからはじまり、プロダクトマネージャー、セールスやカスタマーサクセスの責任者らのディスカッションが続きました。その後、COO、エンジニア、CFO、BizDev、人事と、現場の生の声と最先端の議論が聞ける場となり、ほとんど全てのセッションで立ち見が出るほど盛況でした。
参加いただいた方からは、「さまざまな角度からスタートアップの仕事・生活を深掘りでき、その前線で活躍している方ともコミュニケーションを取ることができ、大変参考になった」「大企業勤めの経験しかない自分にとって見えなかった視点の話が飛び交っており、視野を広げる機会となりました!」という声をいただいています。
また、サブステージのほうでは、スタートアップに転職することを考えている人向けにストックオプションの基礎をお伝えするセッションもありました。ストックオプションとは何か、どういう条件に注意すべきか、最近新しく出てきた信託型ストックオプションとは何か、それを利用して上場したスタートアップの事例などを具体的な数字やグラフとともに解説。ちょっと珍しい内容ということもあり、ほかにも増して多くの立ち見がでる人気となっていました。
新しい試み:職種別交流ラウンジと1対1のカジュアル面談
事前にお伝えしてあったとおり、今回のStartup Aquariumでは、新しい試みとして職種別の交流ラウンジと、イベント管理ツール「EventHub」を使った1対1の事前アポによるカジュアル面談を導入しました。
職種別交流ラウンジは水族館で馴染みのある魚たちの標識のもと、エンジニア、セールス、プロダクトマネージャー、カスタマーサクセス、マーケティング、BizDevといった職種別に各社担当がミニテーブルを囲んで立ち、来場者らとカジュアルに話すという趣旨でした。来場者からは、「ただ、参加するだけでなくキャリアの相談がその場でできたり、気軽に相談できる仕組み作りが非常に良かった」という声をいただきました。
また、事前に参加者と参加スタートアップ企業とで待ち合わせ時間・場所を設定する10分間のカジュアルトークができる個別面談も大変好評でした。合計730件の1対1アポが成立し、参加者からは「他のところで体験できなかったマッチングを体験できました。面談のアレンジは凄いです」という声をいただいたほか、自社にマッチする人材の採用に向けて臨んでいたスタートアップの各社員からは、平均して「18.7人と面談し、3.5人とは継続して話を続ける意図があり、1.1人にはすぐに内定を出したい」という数字のフィードバックを受け取っています。これは1人の担当者あたりの数字なので、会社単位で見ると、この数倍になるかもしれません。
以上で日本最大となったスタートアップキャリアイベント「Startup Aquarium」の開催報告とさせていただきます。各パネルについては後日記事として掲載を予定しています。
なお、Startup Aquariumは今回初開催でしたが、すでに来年開催の日程の検討も始めています。今回ご参加の都合がつかなかった方も、ぜひ来年に会場でお会いしましょう!
Editorial Team / 編集部