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コロナ時代のスタートアップ投資活動はどのようなものか

私たちチームは3月後半から完全にリモートワークで仕事をしています。それ以来、他に選択肢のない状況の中、多くの企業と同様に試行錯誤を重ねながらほぼ全てのビジネスをオンラインで継続してきました。もともと私たちは仕事のおよそ40%をすでにリモートワークで行っていましたが、私たちのビジネスに欠かせない2つの活動についてはこれまでオフラインでした。その2つとは「(ファンドの)資金調達」と「投資」、つまり投資家や起業家たちと直接会うことです。

資金調達に関して言えば、私たちはコロナ以前にファンドの資金調達を済ますことができたので、非常に運が良かったです。最近立ち上げたグロースファンドの場合、既存のLP投資家から資金を集めたので、新たに投資家を探しにいく必要はありませんでした。このことについては感謝しきれないくらいです。このような状況で機関投資家や大きな事業会社を頼って新しいファンドの資金調達をしなければらないというのは、きわめて難しいことだろうと思います。複数のLP投資家から聞いたところによると、彼らの多くは新しいファンドマネージャーへの投資を控え、既存のマネージャーを中心に投資しているようです。本当に厳しい状況だと思います。

投資に関して言えば、私たちはZoomで起業家たちと毎日「会う」ことを続けています。この実験的な取り組みをはじめてから2か月以上経った今、コロナ時代のスタートアップ投資活動がどのようなものなのか、少し説明したいと思います。

今回気がついたことで私が一番驚いたのは、ビデオ通話が以前ほど不自然に感じられなくなっていることです。数年前は、ビデオ通話だとお互いにぎこちない雰囲気が拭いきれないことが多かったものです。慣れない形のコミュニケーションでは打ち解けて話すことが難しく、打ち解けないことには起業家の人となりやビジョンをよく把握することも困難でした。

しかし、ここ最近は誰もが、何でもビデオ通話で行うことに慣れてきたので、そのようなことが問題ではなくなってきているようです。ピッチが前よりスムーズになり、深いディスカッションができるようになっている印象があります。

とはいえ、非言語的なコミュニーションの多くが欠けているという課題が残っています。マニフェストにも書いたように、私たちは投資するときにサーファー(起業家)と波(マーケット)の両方を見ます。起業家たちを正しく評価することは私たちの活動の上で重要ですが、ビデオ通話ではどうしても人を見る目が鈍ります。彼らは本気で業界に革命を起こす覚悟で取り組んでいるのか?それとも日和見主義的に行動しているだけ?困難な状況を乗り切るだけのタフさはあるのか?目標を実現するために必要な優れた人材を引き寄せるようなカリスマ性は持っているのか?そして、これがおそらく最も重要なポイントですが、彼らは高潔さ(“integrity”)を備えているのか?Zoomではこれらの重要な質問への答えが見つけにくくなっています。

欠けている部分を補うために、私は結果的に各起業家とのミーティングの回数を増やすようになりました。コミュニケーションの時間が増えたことで、どんな人がその会社を立ち上げようとしているのか、よりよく理解できるようになりました。また、前よりリファレンスチェックに時間をかけるようになり、共通の知り合いから情報収集をすることが増えました。

サーファーの評価において失われた機会があるかもしれない一方で、波の評価という点では逆に得られた機会もあると思います。自宅で仕事をするようになってから、私はマーケットについて何にも邪魔されずに1人で深く考える時間が増えました。資料などを読む時間や、リサーチをする時間がうんと増えたので、大きなチャンスを目利きするための準備が前よりできていると感じています。

また、諸刃の剣のような一面があることにも気づきました。起業家たちを前ほど鋭い目で評価できなくなりましたが、同時に彼らのカリスマ性にも影響されにくくなりました。以前と比べて、起業家に対する個人的な好感度が判断に影響することが減り、マーケットやビジネスの詳細に集中できるようになりました。ある意味で、これはオフラインポーカーとオンラインポーカーの違いに似ています。オフラインポーカーでは表情を手掛かりにプレーヤーの思惑などを読み取ることが勝敗を大きく左右します。一方で、オンラインポーカーは数学と指標が全てです(ジェイソン・カラカニスがこのようなことを言ってました)。

こうした新しいやり方に、どんな副作用があるのかは、まだ分かりません。私たちの最も有望な投資先の中でも、SmartHRGrafferHolmesなどに関しては、タイミングとマーケットポテンシャルに強い確信を持った上で投資機会を探し始めました。それでも、もしそれらの企業に非常に優れた起業家がいなければ、決して投資しなかったでしょう。

コロナの最中にスタートアップへ投資するのは容易ではありません。しかし、それが大変だとも私は思いません。いくつかの調整を行う必要はありましたし、何かをトレードオフしなければならない場面もありました。ところが、それは思っていたよりもずっと実行可能だったのです。私たちは直接会ったことのない人にはまだ投資したことがありませんが、今後数か月の間にそのような機会が訪れると予想しています。

P.S. いつものように、もしあなたが資金調達中の起業家でしたら、遠慮なくご連絡ください。私たちは自宅からあなたのご連絡をお待ちしております。

コロナベンチャー投資投資基準
James Riney

James Riney

Founding Partner & CEO @ Coral Capital

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