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リモート時代到来:「未来の働き方」を作る海外スタートアップのカオスマップ

本ブログはマルチステージのVC、The Familyの投資家、Pietro Invernizzi(フレッド・ウィルソン)氏のブログ投稿「Mapping “The Future of Work” Startup & Investor ecosystem」を著者の許可を得て翻訳したものです。


最近の私は、周りの人たちと同じように、「未来の働き方」を形作る企業について考えたり、投資を検討したりして過ごしています。そのため投資家の友人から、今注目のスタートアップや面白い考察がないか尋ねられることが多くなりました。

いつもなら頭にぱっと思い浮かんだ注目企業を10社ほど挙げ、先日Merci Victoria Graceが公開した素晴らしい記事を合わせて紹介します。世界中のビジネス向けコラボレーションツールを提供するスタートアップを調べ、きれいにマップ化した記事です。CB Insightsの記事もおすすめです。こちらはリモートワークに役立つスタートアップをマップ化しています。

今回、私は友人らの質問に対し、自分なりの答えを用意したいと考えました。また、今起きているパンデミックは、数か月前まで私たちが「未来の働き方」と思っていたものを想定より早く「現在の働き方」に変えています。この分野に興味のある人のために、今回はより対象範囲を広げて深掘りし、ユニークな企業やアイデアを網羅したリストを作成しようと思います。MerciやCB Insightsのマップのカテゴリにさらにいくつか独自のカテゴリを追加し、この分野の投資家についても書いていこうと思います。

この記事を「未来の働き方」に興味がある人がまず初めに訪れるページにしたいと思っています。記事の内容は定期的に更新していく予定です。この記事に載るのに相応しいスタートアップを作っている方は、ぜひお知らせください。

では、始めましょう。

「未来の働き方」を形作るスタートアップ

注記1:私の言う「未来の働き方」の定義はとても広く、働き方にまつわるあらゆるサービスを対象とします。取り上げた企業の環境(フルリモートを導入している、物理的なオフィスしか持たない、物理的なオフィスとリモートチームを併用する、在宅ワークができる、あるいは在宅ワークしかできない社員がいるなど)は考慮していません。

注記2:ここに挙げたスタートアップの中には、複数のカテゴリーにあてはまるものも多くあります。この記事では分かりやすくするため、1社につき、カテゴリーは1つにしています。

注記3:この記事の目的は、各カテゴリーに属するすべてのスタートアップを列挙することではありません。抜け漏れているスタートアップはたくさんあると思いますが、この記事では、多くはベンチャーキャピタルの出資を受けている独立した未上場企業で、私が面白いと感じたスタートアップを取り上げています。

⚠️カオスマップよりスプレッドシート派という人のために、私が今回調べた195社の一覧をここに用意しました。スプレッドシートには資金調達額に加え、なぜそのカテゴリーにあてはまるのかが分かるよう、各社の説明を載せています。⚠️

記事にはスタートアップの起業アイデアをいくつか加えました💡他に良いアイデアがあれば書き足したいと思います!コメント欄からお知らせください 😃

1. メッセージ、チャット、メール

SlackやMicrosoft Teams(チャット)、GmailやOutlook(メール)といった確立したサービスに対抗、あるいは拡張するツールを作るスタートアップは毎年たくさん登場しています。

注目の事例:

Quill, ‘nuffsaid, Involve, Compose:ノイズを減らして大事な仕事に集中するため、コミュニケーションツールを一括管理するサービス

Front, Superhuman:Frontはチームで使うメールを、Superhumanは個人が使うメールを再発明している

Threads, Yac, /talk:リモートチームのためのパーソナルかつ非同期的なコミュニケーションツール

💡起業アイデア:職場の非同期的なコミュニケーションを可能にするツールがもっと必要です。今の時代、世界中にいる同僚と仕事をするのが当たり前になってきています。チャット、音声通話、ビデオ通話によるコミュニケーションは、リアルタイムでなければならないものでしょうか?

2. バーチャルオフィス/仕事に専念するためのサービス

自宅やリモートで働く人が増え、「バーチャルオフィス」の存在に注目が集まっています。以下のスタートアップは、どこにいるかにかかわらず、チームメンバーが集まり、仕事に専念するためのサービスを提供しています。

注目の事例:

Spatial:VR上のオフィスや会議室

Teemly, Remotion, Pragli:自宅にいながらチームメンバーと席に着き、いつでも話ができる場を提供

Motion, Focusmate:仕事に専念できるようサポートするサービス

💡Chris Herdの起業アイデア:同僚の「存在」を感じるサービス。集中して仕事をする場合は1人の方がいいかもしれませんが、いつも1人で仕事をする必要はありません。誰でも発言していいオンラインゲームのように、チームメンバーの存在が感じられるコミュニケーションツールがあると良さそうです。

3. 音声通話とビデオ通話

音声/ビデオ通話系のスタートアップは毎年多額の出資を受けていて、「音声通話とビデオ通話ならZoomとSkype」と決め付けるのはまだ早いでしょう。

注目の事例:

Loom, Standups:同僚間の非同期的なビデオメッセージツール

Fuze, Coscreen, RemoteHQ:リアルタイムで仕事のコラボレーションを可能にするビデオ通話の拡張ツール(進化したスクリーンシェア機能など)

Chorus, Otter.ai, Fireflies.ai, Grain:ビデオ通話のデータ化。ビデオ通話を書き起こし、内容の検索や共有を可能にする(例:Chorusはビデオ通話を解析し、営業のパフォーマンスを評価するサービス)

GitDuck:開発者向けのコードシェアと画面の録画ができるソフトウェア。コードと紐づいた動画が作成できる。

💡 Andreas Klingerの起業アイデア:「四角い画面に顔」以外の形式のビデオ通話サービス。通話の目的に応じて最適化された体験が求められています(たとえば、タウンホール、1on1、少人数のミーティング、それぞれに適した体験)。

💡 Fred Destinの起業アイデア:ビデオ通話周りの「エコシステム」を構築する。働き方が非同期的になるにつれ、撮影動画のホスティング、書き起こし、アノテーション、リアルタイム翻訳といったソリューションが必要になってきます。

4. カレンダーとミーティング

忙しく働いている人たちから、カレンダーアプリの機能やスケジュール管理にまつわる不満をよく耳にします。VCもまたカレンダー版「Superhuman」のようなアイデアに関心を持っています。この分野の新サービスはいくつかありますが、大成功しているものはまだありません。
注目の事例:

Mixmax, Calendly:スケジュール調整に必要なメールのやりとりを削減する

Clockwise, Time is Ltd., Zynq, Reclaim.ai:誰にも邪魔されない作業時間を確保する予定の自動調整ツール

Fellow:有意義なミーティングのために議事録、次にやること、フィードバックなどを整理する

5. パーソナルアシスタント/役員秘書

新しいタイプのスタートアップが登場しています。彼らは、忙しいビジネスパーソンのパーソナルアシスタントが日々行なっている仕事やオペレーションの負担を減らすサービスを提供しています。

注目の事例:

Magic, Double, Invisible:事務作業やオペレーションタスクをこなすパーソナルアシスタントを提供。パートタイム、あるいは必要なときだけ依頼できる。

Base:日々の仕事を円滑に進めるために開発された役員秘書向けのSaaS

💡 起業アイデア:Mollyのようなサービスが再び登場するのを期待しています。ウェブサイトがなくなっているのをみると、Y Combinatorの出資を受けたMollyは存続できなかったようです。Mollyはちょっと不気味なものの、面白いアイデアでした。機械学習を使ってインターネット上での発言や活動からあなたのことを学び、あなたに関する質問に答えられるようにするというものです。

6. データコラボレーション/文書化と情報共有

このカテゴリーのスタートアップは、社内プロセスの文書化やwikiを作成するツール(共同編集できるウェブサイト)、あるいはもっと広義にデータのコラボレーションを可能とするサービスを提供しています。彼らは、G SuiteやMicrosoft Officeのアンバンドルを試み、チームの業務や成長の際に直面する特定の課題の解決に特化したサービスを提供しています。

注目の事例:

Notion, Roam Research, Slite, Anytype:コンテンツや文書の作成と整理をより美しく楽に

Guru, Bloomfire, Slab, Journal:情報の検索やメンバー間での文書、知識の共有を簡単にするサービス

Airtable, Actiondesk, DashDash, Sheetgo:進化系スプレッドシート

7. コンテキストと検索

社員が多くなるほど、情報を検索したり、疑問を解消したりするのに、時間がかかるようになります。情報はサイロ化しやすいのです。検索機能を組み込み、誰でも情報を手に入れられるようにすることは知識労働者の職場において重要なことです。

注目の事例:

Station, Slapdash, Qatalog:仕事で使うアプリを1箇所に集約。すべてのやりとりをメインフィードに集約し、包括的な検索を可能にする。

Forethought, Command E, fyi:タイムゾーン、チーム、ツールを横断して瞬時に必要な文書や情報を検索

8. プロジェクト管理/タスク管理

ここ数年、VCはタスク管理やToDo系のツールを提供するスタートアップに多額の投資を行ってきました。個人およびチームの生産性は、組織の成長に大きく影響します。

注目の事例:

Monday, Asana, Sunsama, Todoist:タスク管理をきれいに楽しく

productboard, Linear, Cycle:プロダクトチームのためのタスク管理ツール

9. デザイン

デザインツールを手掛けるスタートアップに多くの出資が集まっていて、この分野のスタートアップの数が増えています。多くは、PhotoshopやPowerPointに近いサービスをベースに、Google Docのようなリアルタイムのコラボレーション機能を備えています。

注目の事例:

Pitch, Projector, Ludus:きれいで説得力のあるプレゼンテーションを作成するツール

Canva, Figma, Framer:デザインのためのコラボレーションツール

Rive, Snackthis:高品質/リアルタイムアニメーション/モーションデザイン版Figma

💡起業アイデア1:モーションデザイン関連のサービスがもっと必要です。次の2、3年で、デザイナーにとってモーションデザインの重要性が高まるでしょう。簡単にモーションデザインが作れるツールが必要です。

💡 起業アイデア2:カオスマップの自動作成ツール。記事冒頭にあるたくさんロゴが載った図を見ましたか?これを作るのは大変でした😁。カオスマップの制作を自動化するツールはどうでしょう?各社のウェブサイトを入力するだけでマップが作れるようなツールです。金融関係者やコンサルタントがこぞって利用すると思います。

10. 省コード、ノーコード、社内ツール

Ryan Hooverこの投稿で「ノーコードの台頭」と言っている通り、コードを書かなくても様々なものを扱えるようにするサービスが増えています。この分野のスタートアップは、ウェブサイトやアプリの作り方を大きく変え、誰でも簡単にそうしたものを作れるようにしています。

注目の事例:

Workato, Zapier, Internal:数分の作業で、アプリやビジネスシステム間の連携を可能にする

Webflow, Dropsource, Glide, Thunkable:コードを書かなくとも、ドラッグ&ドロップ形式できれいなウェブサイトやアプリが作れるサービス

11. バックオフィス/事務作業を削減

中小企業や法人のバックオフィス業務、事務作業を自動化するスタートアップが増えていて、今後さらに増えていくでしょう。

注目の事例:

Payfit, Gusto, Rippling:給与支払いを自動化

Digits, Pilot:会社の財務や簿記に関連する業務を自動化

Factorial:人事の業務を自動化

Carta, Seedlegals:キャップテーブルの管理や資金調達に関連する事務作業を簡単にする

Back:社員からの要望を整理し、対応を自動化

12. リモートメンバーの人的資源管理

リモートで採用してチームを作ることは、会社のそばにいる人たちでチームを作るより難しいということはなくなるでしょう。リモートチームのためのサービスがあります。

注目の事例:

Deel, Papaya, Boundless, Remote, Remote Team:リモートチームの給与支払いや事務作業を自動化する

Localyze:社員の転勤に伴う業務をサポート

💡 Andreas Klingerの起業アイデア:リモート環境で会社を評価するサービス(リモート版Glassdoor)

13. 個人事業主向けのサービス

個人事業主になるのに、いま以上に良い時代はありません。個人事業主向けのサービスが多く存在します。

注目の事例:

Catch, Decent, Collective Benefits, Orchata:個人事業主に大手企業並みの福利厚生を提供

Finiata, Coconut, Mansa:個人事業主向けの金融サービス

💡 Andreas Klingerの起業アイデア:社員主導で使うプロジェクトベースのコラボレーショツール。世界中の人とアドホックチームを組んで仕事をするのが一般化するほど、チームの管理はより複雑になるでしょう。たとえば、プロジェクトを遂行するのに、誰かの助けが必要だとします。知り合いの知り合いに良い人がいて、チームを形成します。次のプロジェクトが来て、さらに多くのメンバーを集める、といった具合です。こうした場面に対応できるツールは成功するでしょう。

14. リモート人材採用

テクノロジーを使い、世界中の人材とつながり採用できるサービスが登場しています。

注目の事例:

Gigster, Terminal, Turing, Toptal, Distributed, Comet:あらかじめ審査した世界中のエンジニアやデータサイエンティストの中から人材を採用する

💡 Andreas Klingerの起業アイデア:服役中の人(あるいは釈放されてまもない人)がリモートワークを見つけるためのマーケットプレイス服役後のリハビリや社会復帰を促す仕組みにリモートワークを活用できないでしょうか。

15. 採用にひと工夫

このカテゴリーには私の主観も入っていますが、多かれ少なかれ大多数の人が「LinkedInは最高のソリューションではない」と思っているのではないでしょうか。それでもLinkedInは世界で唯一、「ネットワークを持つプラットフォームである」と言えます。LinkedIn以外に、この分野で時価総額数十億ドルを超える企業はほとんどありません。今多くのスタートアップがこの分野を面白い角度から攻めています。

注目の事例:

The Org:無料の組織図作成ツールを提供し、会社のデータベースを構築。将来的に求人広告といった機能を追加し、LinkedInの牙城を狙う。

Drafted:社員の持つネットワークを活用して人材を見つけ、評価し、採用できるようにする。レファラル採用を楽しく。

Hiresweet, Wanted:人材を引き抜く新しい手法のプラットフォーム

16. 社員のエンゲージメント/リテンション/成長を促進

組織が大きくなるほど、社員のエンゲージメントの低下や離職といった問題が発生しやすくなります。エンゲージメントやコーチングに着目し、この問題を解決しようとしているスタートアップがあります。

注目の事例:

BetterUp, Coachhub, Sharpist, Strive, Hone:社員向けのコーチングを提供

Peakon, Clear Review, Jubiwee:社員のパフォーマンスやエンゲージメント分析を自動化

17. ビジネスイベントの未来

オンラインイベントやオンラインカンファレンスに注目が集まっていて、投資家はそうしたイベントに役立つツールを提供するスタートアップに関心を持っています。

注目の事例:

Hopin, Run the World, Airmeet, vFAIRS, HeySummit:イベント主催者が手軽にオンラインイベントを開催できるよう、すぐに使えるイベントテンプレートを提供

💡 起業アイデア:オンライン「ダイニングテーブル」の最適な形を考える。仕事の食事会で(プライベートでも)、会話が行き詰まったら、いつだって隣にいる人と別の話を始めることができます。でも、「Zoomでチームランチ」をしているときは、一人が話している間、他のメンバーはそれを聞く形になります。これを変えることはできるでしょうか?

すでに書きましたが、各社の説明および資金調達状況のリストはここからご覧いただけます。

翻訳注記:オリジナルの英文記事では、この後に「未来の働き方」に投資しているエンジェルやVCの投資家に関する紹介がありますが、翻訳では割愛しました。

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