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職場において、外見の魅力の意味は薄れていく

先日、私は「オフィス勤務では話上手な人が有利。リモートワークでは文章力がある人が有利」とツイートしました。これは自宅でリモートワークをしているときにふと思ったことですが、後からよく考えてみたところ、ビジネスの世界で直接人と会うことが減り、オンライン化が進むことで、より大きな変化がもたらされるのではないかと気づきました。

簡潔明瞭な文章を書くスキルは、ビジネスコミュニケーションにとってこれまでもずっと重要でした。しかし、世界がオンラインへ移行する中、その重要性が急激に高まっているようです。オフィスや現場で行われてきたクライアントとのやり取りが、次々とSlackやメールなどの文字によるコミュニケーションに置き換えられてきました。その結果、その場にいる人間を惹きつける能力でこれまで成功してきた人たちは、キーボードでのコミュニケーションを得意とする人たちに対する優位性を失いました。

もちろん、オンラインコミュニケーションは書くことだけではありません。文書で代替できなかった部分では、ビデオ会議が代わりに使われるようになっています。これに伴い、やはりコロナ以前の世界では強みだったことが、その効果を発揮できなくなっているようです。

その変化が最も顕著なのは身長です。背の高い人の方が高収入で、高い地位についている傾向があることを数多くの研究が示唆してします。例えば、ニューヨーク大学のイーノック・バートン・ゴウィン教授の研究では、身長の違いは企業の幹部の間だけではなく、司教と牧師、そしてセールスマネージャーとセールスパーソンの間にもあることがわかっています。背の高い人に対して、職場において心理的に有利なバイアスが働いていることは間違いありません。

しかし、ビデオ会議では誰もあなたの身長を知ることができません。全員が座っていて、平等な条件でカメラを見ています。コミュニケーションがオンライン化すればするほど、身長の重要性はどんどん低くなっていくでしょう。

同様に、容姿が優れている人の方が恋愛だけではなく仕事でも有利であることを多くの研究が示しています。ハーバード大学のある調査では、雇用主は外見が良い人に10.5%も高い給料を支払っていることがわかりました。電話面接でさえもこのようなプレミアムがつき、魅力的な声の持ち主の方が高く評価される傾向があるようです。

ビデオ会議でも当然、容姿が整っている方が有利だと思うかもしれません。しかし、映像や音声は加工することができます。カメラで外見が良く見える補正フィルターを適用すれば、誰でも見た目を良くすることができるので、条件はさらに平等になります。Zoomにはすでに補正機能が備わっています。InstagramやSnapchatにはさらに高度なフィルターがありますが、それらがビジネスの世界でも普通に使われるようになるのは、もはや時間の問題です。フィルターがかかった世界は作り物のようだと感じる人もいるかもしれませんが、それならメイクについてはどうでしょうか?フィルターはデジタル版のコスメに過ぎません。音声加工に関しては、今まであまり使われたことがないオンラインの領域ですが、これも有利になるとわかれば、一般的に使われるようになるのはやはり必然の流れかもしれません。

仕事のオンライン化が進む中、これまでオフィスという環境で成功してきた高身長かつ容姿端麗でカリスマ性のあるリーダーたちは、絶大な効果を発揮してきたそれらの長所が以前と比べてはるかに頼りないものになっていることに気づくでしょう。このようなパラダイムシフトがどのように社会を変え、新しいリーダーが現れるような土台を作り上げるのか、注目していきたいところです。

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Founding Partner & CEO @ Coral Capital

James Riney

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