本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Certainty Of Close」を翻訳したものです。
先日、資金調達の戦略について起業家2人とそれぞれ別のタイミングで話をしました。
2人とも、経済面での条件を多少犠牲にするものの早くクローズできる楽な道と、経済面での条件は最大化できるけれど、時間がかかる難しい道があるという話をしていました(※訳注:ここでいう経済面は資金調達時のバリュエーションやシェアといった条件のこと)。
私は2人に、クローズの確度はめちゃくちゃ重要だとアドバイスをおくりました。スタートアップを立ち上げたばかりでチャンスがあるなら、誰かに奪われる前にそれを掴みたいと思っている段階ではなおさら重要です。
ほとんどの選択肢は白黒はっきりしていません。多くの場合、間に多様なグレーが存在しています。資金調達はいつもそうです。明らかに正しい選択肢など、ほとんどないものです。
多くの起業家は調達プロセスにおいて競争的なアプローチを取るようアドバイスを受けます。つまり、できるだけ多く、質の高いオファーを獲得し、獲得したオファーを利用して経済面での条件を最大化する方法です。
時間に余裕があり、資金調達に数か月間集中して取り組めるのであれば、これは素晴らしい戦略です。しかし、他のことより今ある条件を優先して、素早くクローズすることにメリットがある場合も多くあります。
その日の会話はいずれも、資金調達について人の要素がどれほど重要かを話し合って終わりました。結論を言うと、資金調達で最も大事なのは人との関係です。
資金調達に関わる相手と良い関係を築き、その人が自社にとって素晴らしいパートナーになると確信が持てたのなら、それ以外のことは二の次です。スタートアップにとって創業から少なくとも5年間は、これは事実です。スタートアップが成長し、レイトステージの後半や上場する段階まで進むと、関係者の重要度は下がり、他の要素に最適化することを考えてもいいでしょう。
しかし、創業してからしばらくは、何かに最適化するのであれば、一緒に働く人たちを最適化すべきです。そうでなければ、目の前で問題が爆発するリスクを抱え込むことになります。
その次に、クローズの確度が重要ではないかと私は考えています。相手のことをよく知っていて、手にした条件の経済性に納得できることが前提です。この組み合わせがあれば、何かおかしなことになるということは、ほぼないでしょう。
Editorial Team / 編集部