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仮定の価値から実質的な価値へ

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Hypothetical Value To Real Value」を翻訳したものです。


以前、高校生だった息子が家に帰ってくるなり、デイトレードをしている友人たちに倣って自分もデイトレードを始めたいと言ってきたことがあります。2人でTDアメリトレードの口座を開設し、私は息子に少額の資金を渡しました。トレードするには十分だけれど、すべて失っても問題にならない程度の額です。そうやって息子はデイトレードを始めました。

数週間後、息子は私に「父さん、PER(株価収益率)って何?」と聞いてきました。なので、私はこう言いました。「毎朝、お前が学校に行く途中に立ち寄って、ベーコンエッグチーズサンドを買っているデリがあるよね?」。息子は「うん」と言います。続けて私は聞きました。「例えば、明日デリに行くと、オーナーがお前に『この店を売るつもりだけど、買う気はあるかい? 年間100万ドルの利益があって、もう30年ほど商売を続けているんだがね』と言ったとする。お前ならデリのオーナーにいくら払う?」。息子はよく考てから、「400万から500万ドルの間」と答えました。理由を尋ねると「4、5年で元手を回収できて、それ以降は毎年100万ドルの利益が入るから」と言いました。私は息子に「お前はPER4、5倍で買収オファーをしたということだよ」と伝えました。息子は「ああ、なるほど」と言いました。

私は、このようなバリュエーションを 「実質的な価値」と呼んでいます。4、500万ドルでビジネスを買い、数年後に投資額を回収して、それ以降はキャッシュフローが得られます。人生において保証されているものなど何もありませんが、実質的な価値は確かな存在です。それを実際のお金に変える方法も分かります。それは目に見えるものなのです。

一方で、アーリーステージの投資では次のようなことが起きています。先の例と同じく、ある会社のバリュエーションが4、500万ドルだったとします。その会社の20〜25%に当たる100万ドルを投資します。ですが、この会社にキャッシュフローはありません。カスタマーもいません。プロダクトもありません。数人のメンバーとアイデアがあるだけです。これは「仮定の価値」と言えます。私たちは「いつかこの会社の価値が10億ドルになったとき、当初のシェアが半分になったとしても、1億ドル以上の利益が得られるだろう」と考えます。そうやって私たちは出資を決め、次に進むのです。

つまり、こういうことです。スタートアップは会社になり、最終的にその会社は実質的な価値基準で評価されるようになります。いつの日かカスタマーを獲得し、売上を立て、利益を得るようになるでしょう。そして投資家たちは「その会社の年間利益の何倍まで出すべきだろうか」と考えます。PERが適用され、将来の可能性ではなく、ビジネスのファンダメンタルズに基づいて会社が評価されるようになるのです。

ベンチャーキャピタリスト、シードファンド、エンジェル投資家は、スタートアップが仮定の価値から実質的な価値に転換するまでの旅路でお金を得たり、失ったりします。2つのスプレッドが狭いほど得られる利益は少なく、スプレッドが大きいほど得られる利益は増えます。

仮定の価値の段階では無謀な選択をしがちです。あなたは勝つ確率により多くのハンデを付けるでしょう。資金と会社の所有権を交換し、新しい状態を受け入れるのです。

実質的な価値の変化は速くありません。それは目の前にあって、確かなものだからです。空想が入りこむ余地はありません。

私は起業家と会い、全員が納得のいくディールをしようとするとき、常にこのフレームワークを念頭に置くようにしています。これは不安定な市場の中でも、拠り所になる考え方であると感じています。

AVCエクイティファイナンスシードファイナンスベンチャーエコシステムベンチャーキャピタル

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