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資金調達について恋愛や結婚から学べること

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「The Long Engagement」を翻訳したものです。


妻と私は19才のときに出会い、25才のときに結婚しました。結婚するまでの6年間のほとんどの期間を一緒に暮らしていました。結婚する頃には、お互いのことがよくわかっていました。

資金調達と結婚の2つは異なる種類のものですが、恋愛や結婚から学べることがスタートアップやベンチャー投資の世界にはあると思います。

その1つが長い婚約期間の価値です。

なぜ起業家が次の7年から10年を「共に生きる」ことになるかもしれないビジネスパートナーを、ものすごいスピードで決めようとするのか、私には理解できません。

しかし、これは頻繁に見られる行動です。多くの場合、他のVCが「先制タームシート」を使ってスタートアップの資金調達プロセスを短距離走に変えてしまっているのが原因と言えるでしょう(※訳注:ここで先制タームシート、preemptive term sheetと呼んでいるのは起業家が資金調達を始める前に、投資家が出資のオファーをすること)。

私が望ましいと思っていて、実際に良く見るのは、起業家が資金調達をする前から投資家候補と交流し、実際に調達をするタイミングでつながった投資家と調達の話を進めるプロセスです。私はこれを「長い婚約期間」のある調達と呼んでいます。

最近多くのファウンダーが実行している、速くて目まぐるしい資金調達プロセスに比べれば、手間がかかる方法のように思うかもしれません。

しかし、手間がたくさんかかることはないでしょう。6か月から12か月かけて関係を作るには、たまに顔を合わせたり、メールでやり取りをしたり、何度かオフィスに訪ねてくる投資家に対応したりするくらいです。どれにおいてもピッチや依頼、価格交渉をするプレッシャーはありません。

投資家にとって、これははるかに良い方法です。投資家は起業家について知り、どう事業が進んでいるのか見ることができます。この方法でお互いに良い関係を築くことができるでしょう。

これは起業家にとってもより良い方法であると私は考えています。このプロセスを通じて、どの投資家が本当に自分たちのビジネス、チーム、プロダクト、成功に関心を持っているか知ることができます。同時に、どの投資家が「明日にはいなくなる腰の落ち着かない」タイプなのか明らかになります。キャップテーブルには後者ではなく、前者の投資家に参加してほしいでしょう。

スタートアップはスタートアップ投資というゲームに捉われてしまいがちです。資金調達プロセスの本質は競争です。誰もが勝ちたいと思っています。しかし、このゲームに勝ったからといってトロフィーが得られるわけではありません。資金調達は投資家との関係の始まりです。たいていは、非常に長い付き合いになります。だからゲームの論理から一歩下がって、資金調達は関係作りであると認識することが、長期的に勝利する方法だと私は思っています。それが唯一本当に価値のある勝利の形と言えるでしょう。

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Editorial Team / 編集部

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