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新卒でスタートアップに入るのはありか?

大学などを卒業して新卒でスタートアップ企業に就職するのは選択肢としてありか、ということを考えてみたと思います。このテーマは「将来起業したり創業メンバーとしてスタートアップがしたいか?」「どうキャリアデザインをしていくか」「生涯所得の期待値はどうなのか」「どのタイミングで最大のリスクを取るか」「どう生きたいか」といった大きな話に繋がって発散してしまうので、議論のスコープを狭めたいと思います。確立したビジネスや組織・制度のある会社に行かず、いきなり事業が成立すること自体を証明しなければならないような、そんなチャレンジングな環境に飛び込むのはありか、ということに話を絞ります。

スタートアップ業界に身を置く私の周囲に、こう聞かれてイエスと答える人は多くないように思います。特にアーリーステージのスタートアップの場合だと、そもそも論として、特定のスキルや実務経験のある即戦力以外を抱える余裕などありません。メガベンチャーと呼ばれる手前のレイターのスタートアップ以外は、新卒採用をしていないところがほとんど。

もちろん新卒採用をしていなくても、学生時代にインターンとしてスタートアップで活躍を始めて、そのまま入社するパターンはあります。いずれ数年後に自分で起業しようと思っていて、スタートアップ創業者と間近で仕事をしてみたいと飛び込む人もいます。いずれにしても、新卒として就活活動をしてスタートアップに入るということはほとんどありません。

どうしようか考える人は、まず大企業に行ったほうが良い

卒業後にスタートアップの世界に飛び込みたいと思っている人は、すでにインターンで飛び込んでいるのではないでしょうか。逆に、そうでないなら焦ることはないと思います。すでにスタートアップに飛び込んでいないマインドセットの人であれば、まずは売上や組織が整っている場所に行ったほうが学べることが多いと思います。すでに日々利益を生み出している組織で、人事、総務、経営企画、営業、広報など、一般的な会社というインフラがどう回っているのかを、きちんと運営されている形で見るのは有益です。

私の同僚でCoral Capitalタレントマネージャーの津田遼は、「メガベンチャーや未上場の大規模ベンチャー、大手企業、コンサルなどでスキルを磨いた上で、アーリーステージのスタートアップの門を叩き、活躍する人もたくさんいます」と言っています。「大手に行ってからでも、スタートアップに行くマインドになれば、道は開けるはず。逆に開けない場合は、そもそもスタートアップに向いていないかもしれません」(津田)。

スタートアップ企業には会社に備わっているべき組織や制度が未整備ということが多いですが、これは頭で分かっている以上だったりします。例えば、大手出身の起業家が、自分で会社をつくって最初に嘆くことは、大企業で当たり前だと思っていたものがことごとく何もない大変さです。プロダクトや売上だけはなく、事業活動を支える組織や制度、ノウハウや文書のインフラがないということです。リソースも看板(信用)もありません。

逆に、ないないづくしのスタートアップに在籍することにはメリットが2つあります。1つは、いまの時代にあったプラクティスを積み上げていけること。大手では制度疲労を起こしていたり、デジタル利用が20年遅れたままであるというのは良くあることですが、スタートアップであればそういうことはほとんどありません。もう1つは、成長するスタートアップであれば、事業が立ち上がるとはどういうことか、それに合わせて組織を変えていくのはどういうことかを中から目の当たりにできることです。

伸びる会社に入ることが重要

前出の津田は「だからこそ伸びるスタートアップに入ることが非常に重要」と指摘します。「会社が成長することで、難易度が高い問題が次々と発生し、それを解決していくことで個人も圧倒的な成長ができる。そうした成長の過程を経験すること自体が価値です。もちろん、事業の成長に合わせて自分も成長し、結果を出していくというのが前提となりますが」。ただ、伸びるスタートアップに入るのが重要といっても「スタートアップ投資を本業としているVCですら、どこが次のユニコーンになるか確実には分からないわけですから、そこを見抜くのは現実的には難しいかもしれません」(津田)とも。

新卒やそれに近い状態の人にリスクがあるのは、自分の置かれた状況を相対化して見るのが難しいことです。

多くのスタートアップはプロダクト、売上、組織・文化を走りながら作っている状態ですから、失敗したり、カオスになったり、ときには足元から崩れたりします。他の会社で、いろいろな事業や組織、成功や失敗を見てきた人であれば、ビジネスパーソンとしての嗅覚があります。ここにいても事業や自分の成長はないという見極めができないと、ずるずると年単位で時間を空費してしまうかもしれません。新卒の方々への大事なアドバイスとして「ヤバいときは早く逃げろ」というものがあります。残念ながら、伸びない事業で負ける経験だけを続けても成長には繋がりません。

理念やプロダクトの可能性を信じて最低3年は続けようとか、今は状況が最悪に見えるものの絶対にこの事業は立ち上がるし、自分はそれに貢献するのだとか、そんな意思決定ができるのは、中長期のキャリアデザインの視点や、自分なりに考えた業界のトレンドや時流を見る目があってこそ。経験や実力がないと、そういう判断や意思決定が難しいのではないかと思います。

ここまで読んで、最初からスタートアップに行くのは大変だと思った人は、まずは大手やメガベンチャーなどで基礎力をつけ、その上でスタートアップに行きたいと思えば行動すると良いのではないでしょうか。それで活躍している人はたくさんいますし、むしろ、それがマジョリティーです。逆に、これを読んだ上で「それでも!」と思った人は、スタートアップの世界へぜひどうぞ。刺激的な世界が待っていますし、成功する人は、どんな環境からスタートしても成功するものだと思います。

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スタートアップ転職ベンチャーエコシステム
西村 賢

西村 賢

Partner, Chief Editor @ Coral Capital

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