本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「The Rise Of Everywhere」を翻訳したものです。
これは過去10年の間に何度も取り上げてきたテーマですが、有名なファウンダーやVC、企業がベイエリア(訳注:主にサンフランシスコを中心とする地域を指す呼び方)を離れていくという記事を目にしたので、再度このテーマについて書きたいと思います。
優秀な人材がいくらかベイエリアから他の市場に流れているのは間違いありませんが、それ自体はあまり重要なことではないでしょう。グーグルやアップルが、近いうちにベイエリアを離れる気配はありません。当面の見通せる未来で言えば、今後もシリコンバレーはテック人材とテクノロジーのメッカであり続けるでしょう。
それよりも重要なのは、シリコンバレー以外のあらゆる地域の勃興が始まっていることです。最新のPitchbook 2021の予想によると、2021年におけるシリコンバレーでのVC投資はVC投資全体の20%以下になるそうです。これはシリコンバレーでの資金調達が減るということではなく、他の地域での資金調達が増えていることを意味しています。
Union Square Venturesを設立して最初の10年間、つまり2000年代、私たちは主にニューヨークとシリコンバレーで投資をしていました。次の10年にあたる2010年代は、北米と西ヨーロッパ全域で投資しました。次の10年で今後さらに投資する地域が広がると予想しています。すでに投資地域は広がっています。
パンデミックの影響で、VCに起きた大きな変化を1つ挙げるとすると(他にもあるでしょうが)、それはファウンダーやVCが足を運んで直接会わなくとも、ビデオ通話のみでの投資に慣れたことにあると思います。また、VCとファウンダーは、足を運んで直接会わなくても、ビデオ通話越しに仕事をすることにも慣れました。
ファウンダーが資金調達のために移動するのをやめるという話ではありません。パンデミック後もこれは残り続けると思います。VCが足を運んで取締役会に参加することがなくなるという話でもありません。けれど、どちらも頻度は減り、その結果、投資家が投資を検討する地域と、実際に投資する地域は格段に広がると私は考えています。
また、会社がリモート人材を採用することに慣れ、巨大なテクノロジーハブになっている都市以外の地域に住むテック人材が増えることを考えると、シリコンバレー、ニューヨーク他数都市以外で起業するファウンダーが格段に増えるでことが予想されます。これはアメリカに限らず、あらゆる地域で起きていることです。
なので、シリコンバレーの心配をするのはやめましょう。きっと大丈夫です。そして、あらゆる地域で起業家精神が盛り上がっていることを祝しましょう。これは世界にとって非常に重要なことであり、喜ぶべきことなのです。
Editorial Team / 編集部