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支払い手段としての暗号通貨、「デジタルドル」の可能性

本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Digital Dollars」を翻訳したものです。


ステーブルコインについてはここAVCのブログで何度も取り上げてきました。Eコマースのようなユースケースでは、値動きが激しくない暗号通貨が必要と私は考えています。その理由はこちらの記事で説明しています。

つまり、価格が安定している暗号通貨が必要で、それを実現する最良の方法は、米ドルのような法定通貨と暗号通貨の相場を固定させることです。すべての暗号通貨分の米ドルを用意することでこれが可能です。

最も知られているデジタルドルはUSDT(テザー)USDCの2つです。USDTの流通額は約200億ドル、USDCは30億ドル強です(訳注:これは原文ブログ公開時の2020年12月3日時点の数値で、2021年2月5日現在はUSDTは274億ドル、USDCは60億ドルと急進しています)。

前々から、USDTには完全な裏付け資産がないという懸念がありました。私もこれは懸念に思っています。USDCの方には完全な裏付け資産があると考え、私はUSDCを保有し、使用しています。

最近(2020年12月)、USDCに関するビッグニュースがありました。VISAカードネットワークが「USDCで決済を送受信できるよう、USDCソフトウェアとの連携するVISAカード発行会社の選定に協力する」と発表しました。

これを受け、他の決済ネットワークや金融サービスプラットフォームもUSDCとの連携に前向きになるのではないかと思います。来年の今頃には、USDCの供給額はテザーの現在の供給額と同じ規模になるのではないでしょうか。さて、どうなるでしょうか。

私のようなデジタルドルの大ファンにとって懸念材料がいくつかあります。昨年末、何人かの議員が、ステーブルコインの発行者は銀行であることを要求する法案を提出しました。選挙で選ばれた議員たちが、消費者の安心と安全を保証したいと思っていることは評価します。しかし、技術革新を銀行システムに委ねることは、確実にイノベーションを殺す方法であると思います。これを許すわけにはいきません。暗号資産業界とVISAのような革新的な金融サービス企業は議会に働きかけ、良い規制と悪い規制の違いについて議員たちに周知していく必要があります。現在、議会から出てくる法案は、すべて悪い方を向いているように思います。

最後に、米国でデジタルドルの役割について議論している間にも、中国はデジタル人民元を展開していることに触れておきます。ゴールドマン・サックスは、10年以内に10億人以上がデジタル人民元を使うようになると予測しています。これはあまりに控えめな予想だと思います。

現在、法定通貨を使っている人は全員、10年以内に法定通貨のデジタル版や暗号通貨版を使うようになると思います。問題は、どの通貨が最も多く使われるかということです。デジタルドルが上位2、3位以内に入っていることを望むなら、すでに発行されているデジタル通貨や新しく発行されるデジタル通貨の後押しをすべきでしょう。

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