会社のチームビルディングに「簡単オンラインゲーム+Discord」はオススメ

コロナが始まって半年ほどした頃から「チームの一体感が失われている気がする」という声を良く聞くようになりました。シリーズA前後の10〜30人程度のスタートアップで、特にそうした声が多いようです。明確に言語化できる課題ではないものの、肌で感じていると言います。特に解決策も思いつかない、と。

スタートアップはデジタルネイティブに事業を作る企てとも言えるので、社員のITリテラシーは高いかと思います。日常の連絡業務や会議、タスク管理、開発、その他の仕事関連ツールはすべてクラウドになっていることでしょう。だから業務としては問題なく、むしろ効率よく回っているかと思います。

それでも、何かに向かって熱量を高めながらやっていこうという一体感に欠ける、ということは普通に起こり得ると思います。ヒトは何万年もの間、狩猟や農耕、あるいは戦闘など、協力して共通目的を達成するということをやってきているからでしょうか。私の過去の経験でも仕事で大きな成果が出るのは、関係者らが高揚したまま突破口に向かって走り抜けるようなときだったように思います。

Discordで声でしゃべりながらゲームをする

いろいろな対策はあると思いますが、チームメンバーで時間を決めてオンラインゲームをやるのもオススメです。Coral Capitalでは隔週の金曜日夕方に一部メンバーが集まってオンラインでボードゲームをやる時間があります。もともとボードゲーム好きのメンバーが中心となって始まったものです。私自身はまだ1度参加しただけでスキップしがちですが、これはすごく良いチームビルディングになるなと感じています。同様に、投資先メンバーが集まるCoral Familyの部活の中にある麻雀部でオンラインで麻雀大会を開催したところ、とても楽しく、これもラポール形成に役立つなと感じています。明らかに仲良くなれるのです。

上記2つに共通するのは、Discordを立ち上げて、声でしゃべりながらゲームを進めるところです。

Discordといえば、現在マイクロソフトが1兆円という巨額で買収交渉中という噂が流れているスタートアップで、ゲーマー以外の皆さんもご存じかと思います。DiscordはSlackなどチャットツールの音声版という感じです。チャンネルを立ててそこに入るとメンバー同士でリアルタイムで声で話ができます。Skypeなどと違ってDiscordは単体で使うものというより、オンラインでゲームをするときに友人などと喋りながらゲームを進めるためのバックチャンネルという位置づけのプラットフォームです。

Zoom飲み会と全く違うワケ

比較のために「Zoom飲み会」と「オンラインゲーム+Discord」を比べてみます。

まず、Zoom飲み会ではほとんどの場合、参加する人の温度感に大きな差が出るのではないでしょうか。スタートアップに限らず「社長しゃべりすぎ問題」というのがありますが、話が上手い人とか、しゃべりたがりの人、しゃべる理由がある人ばかりがしゃべっている状態になりがちです。実際の飲み会のように隣の人やテーブルの角の3人だけで「サブチャンネル」を開通して局所的に別の話をすることも、Zoomではできません。

「オンラインゲーム+Discord」でも、しゃべる人と、そうでない人の差は出ますが、ゲーム参加については均等です。ゲームに絡んでコミュニケーションしますから、やはりそこもフラットです。また、ゲームが良い点としては話すネタがなくなる沈黙が全く重たくならないことです。基本的にゲームに勝つべく頭はフル回転していますから、しゃべる必要はありませんし、しゃべらなくても誰も居心地が悪くなりません。

もっと大事な違いですが「飲み会」は得てして仕事の延長になりがちだということもあります。つい会議で話しそびれたトピックを持ち出して確認したり、ざっくばらんな雰囲気で議論してみたいことを口にしてしまうのではないでしょうか。それはそれで大事なことですが、結局ダラッとした会議のようになってしまうことがあって、Zoom飲み会はめんどくさいものになることがあります。仕事関連の話でも案外全員が参加するトピックはまれで、それもまたZoom飲み会が「話す人」「聞くだけの人」の分断を生みがちな理由ではないかと思います。一方、ゲームは全員参加。そして楽しむのが目的です。

ボードゲームにはルールがあり、目的があります。本質的には競争であり、勝ち負けがあったりしますが、それでも共通ルールで何かをするというのは共同作業です。教え合ったり、冗談を言ったり、ルール違反を指摘したり、称賛したり……、色々なコミュニケーションが発生します。負けてもムキになったりせず爽やかな負け方ができる人がいたり、静かに黙ったまま着々と戦略的に進める人がいたり、ずるいやり方で抜け駆けする人がいたり、ゲームを通して人となりまで見えてくるものです。ボードゲームは1テーブルごとに参加人数に上限があり、短いサイクルで自然と小グループに分割されるのも、良いところです。

1度でも集まって一緒に遊ぶと、その後の仕事はスムーズ

「この人は、こういう感じ人だ」という感覚を持っておくことは、一緒に仕事を進める上では大事なことではないかと思います。対面や動画に比べて情報量の少ないテキストのやり取りだけで仕事を進めるときには感情的な行き違いが起こりやすく、ビジネス交渉も決裂しやすいというのは過去の研究を見るまでもなく明らかでしょう。

毎週のようにゲームをする必要はないかもしれませんが、特にチームメンバーが5人から20人になるなど急に大きくなって一体感に欠けるというケースなどでは、思い切って2、3時間ぐらい業務時間中に予定をブロックして、全員でゲーム大会をやるのも良いのではないでしょうか。

私の前職のGoogleではチームビルディングのためのオフサイトミーティングが盛んでしたが、その中身の半分くらいは「遊び」でした。飛行機で何時間もかけて世界中から1箇所に集まり、例えば4日間のオフサイトミーティングをやったりします。午前中はしっかり集中して仕事の議論を進めて合意形成などするものの、午後になれば仕事はそこそこに、後は「遊ぶこと」とか「一緒にご飯を食べること」をやるチームが多かったように思います。一緒にアクティビティーをやると、「ああ、彼はこういう感じ」「ああ、彼女は自己犠牲をいとわず人を助けるタイプ」「彼は行動より前に熟考するタイプだな」などといったことが良く分かります。アクティビテイーは、(1)相互に協力が必要なもの、(2)コミュニケーションが発生するもの、(3)誰もが等しく楽しめるものという要素があるものがいいように思います。

例えば私が参加したものだと、サンフランシスコに集まってピンポン大会や体験型リアル脱出ゲームをやったりしました。ふだん世界各地で連絡を取ったりビデオ会議をしながら活動しているチームメンバーが物理的に一緒にやるのがポイントです。特に脱出ゲームは非常に良かったと思います。

横道にそれるようですが、なぜこうしたゲームがチームビルディングに効果があるのかを説明するために、少し脱出ゲームの具体的な話を加えます(ちなみに、脱出ゲームの発祥は日本です)。脱出ゲームは実際にどこかの建物の何部屋かを改築したり、装飾した撮影セットのようなところに入り、そこから脱出するのが目的の体感ゲームです。私たちのチームは、6人全員が手錠ごと手すりに縛り付けられ、牢屋に閉じ込められた状態からのスタートでした。牢獄のどこかにある鍵を探したり、ヒントから謎解きをしながら1つずつ部屋を抜け出てゴールを目指す90分間ほどの遊びです。手分けして部屋の中を探索し、知恵を出し合い、物理的に手を取り合って協力したりといったことをするうちに、体感としてメンバーのそれぞれのことが良く理解できるのです。誰かのひらめきで謎が解けたときや、協力して手を伸ばして鍵を引きずり出したときの高揚感を共有する楽しさというのは、メンバー同士が協力して仕事を完遂したときの達成感に通じるものがあります。考えてみれば、仕事とゲームの違いは、結果に経済的価値があるかどうかと、難易度くらいではないかとすら思えます。ゲームは仕事よりも容易に達成感が得られやすいものです。

そうやってリアルに会って「協力して楽しかった」(脱出した)という体験を共有していると、その後に各国に戻ってメールベースで仕事をするときにも断然スムーズになったりします。共通の目標に向かって協力しながら走るというゲームが擬似体験になるのだと思います。私が所属していたチームには、ナイジェリア、インド、シンガポール、ブラジル、フィリピンなどメンバーの文化的背景が多様だったこともあり、その違いを知る貴重な機会ともなっていました。

こうしたチームビルディングのアクティビティーをオンラインでやることを考えると、答えの1つは「ゲーム+Discord」なのではないかと思うのです。

子どもたちは未来のチームワークの予行演習をしているのかもしれない

学齢期の子を持つママやパパから良く聞く悩みに「子どもがゲームばかりやって全然勉強しない」というのがあります。子どもたちが「あちら側」の世界に出かけて行って帰ってこないという話です。ずっとマインクラフトやフォートナイト、アマンガスをやり続けてるというのです。子を持つ親として嘆く気持ちは良く分かりますが、もしかしたら大人こそ彼らに学ぶべきではないかと思うことが少なくありません。オンラインで遊びながら他者と関係性を作っていくことに関しては、大人よりずっとネット時代に適応しているのだと思います。

実際、商用ビデオゲーム(Rock Band 3、Halo 4)をチームで45分間やることで、その後にチームの仕事の生産性が20%ほど向上したという研究も出てきています(Team Video Gaming for Team Building: Effects on Team Performance, 2018)。

多忙なビジネスパーソンがチームビルディングのためにフォートナイトを始めるのは文字通り「無理ゲー」かもしれません。でも、例えば「Board Game Arena」に行けば、誰でもすぐに楽しめるパーティー系のカードゲームも含めて、かなり豊富にボードゲームがあります。現在コロナ再拡大の懸念があるなか、全員で集まって「ボルダリングをやってみよう」とか「リアル脱出ゲームをやりに行こう」というのは難しいでしょう。もしリモートワークが続いてチームの一体感や熱量が下がっていると感じているのであれば、「簡単オンラインゲーム+Discord」を試してみてはいかがでしょうか。

Ken Nishimura

Partner, Chief Editor @ Coral Capital

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