本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Leaving Well」を翻訳したものです。Fred Wilson氏による過去の翻訳記事の一覧は、こちら。
私は長年に渡り、数え切れないほど多くの会社やリーダーシップチームの人事の対応を見てきて、会社とリーダーは「跡を濁さない」のためにできる限りのことをすべきと思うようになりました。
私の言う「跡を濁さない」とは、リーダーが会社や自分の役職からスムーズに去ることを意味します。これはつまり、退任するリーダーが退任の予定を伝え、社内にその情報を広く共有し、新しいリーダーを見つけるために透明性のあるプロセスを設けるということです。新しいリーダーが必要になった場合も、同様のプロセスを経てリーダーを交代します。
これがうまく機能するには、会社がプロセスを進める役割を一部担う必要があります。つまり、幹部の退任に適切に対応するということです。引き継ぎまでの間、退任する幹部に会社に留まってもらえるよう経済的なインセンティブを提供することも含まれるかもしれません。「跡を濁さない」文化のある会社は引き継ぎの間、誰もが気持ちよく過ごせます。
退任がスムーズではない場合ももちろんあるでしょう。即座に退職させなければならない理由で幹部を解雇した場合、スムーズな引き継ぎは望めません。
また、幹部が他社から就業開始までの期間が短い条件のオファーを受け、その条件を飲まなければならないと感じている場合も難しいでしょう。「跡を濁さない」習慣と文化を取り入れたい理由は、このような事態を防ぐためです。一般論として、次の仕事を見つけるために手順を踏んだ方が、一方的に送られてくるオファーを承諾するよりも良いでしょう。会社に「跡を濁さない」文化があれば、幹部は来たオファーを承諾するのではなく、手順を踏んだ転職活動を行う道を選びやすくなります。
会社は最初からこのような文化を取り入れるのが良いでしょう。前例の影響は強く残ります。退職する社員に対し、会社の対応が良いと他の社員が感じれば、よりオープンで正直に話しやすい環境が生まれます。その反対であれば、社員は報酬のためだけに働くようになるでしょう。
オープンで正直に自身の進退について話せる文化のある会社は働きやすく、マネジメントも楽になるはずです。急な事態に対応するのが好きな人はいません。避けられない場合もありますが、毎回同じようなことが起きているなら、あなたの会社は居心地の良い職場ではないかもしれません。
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Editorial Team / 編集部