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フロントエンド開発でも顧客に意見を聞いて実装できるのが醍醐味、hokan中川氏

読者の皆さんはスタートアップでエンジニアをやっているというと、どうイメージをお持ちでしょうか。たぶん、「フルスタック」という言葉に象徴されるような全方位的な開発者というのが1つのイメージではないでしょうか。iOS専門です、と言い切れるほどエンジニアチームが大きくないため、iOSアプリを開発しつつ、AWS上のバックエンドシステムもWebのUIも開発するというようなエンジニア像です。アーリーステージのスタートアップでは、サービス全体の進化や変化が激しいため、1人のエンジニアがiOSと同時にクラウド側のバックエンドもいじるのはメリットでもあるでしょう。また、エンジニア側のキャリアパスを考えてみても、「ひと通り扱える」技術者になることは、キャリアの選択肢を広げるほか市場価値向上に貢献するはずです。

ここまでは良く知られた話と思いますが、シード期のスタートアップでは、もう一歩外側に踏み出すケースも少なくないようです。

hokanフロントエンドエンジニアの中川晃さん

Coral Capital投資先の「hokan」でフロントエンジニアを担当している中川晃さんに話を聞くと、フルスタックであることに加えて、直接エンドユーザーの声を聞きに行き、ユーザーですらどうあるべきか分からない仕様・UIを考えながら実装していけるのが醍醐味だと言います。

「顧客目線になりやすいのはフロントエンドで、ビジネス側に入っていくことが多いです。今後はデザインも自分で組めるようになりたいと思っています」(中川さん)

hokanは保険業界特化型SaaSを提供していますが、保険の販売代理店のニーズを汲み取って実装する役割も、フロントエンジニアが自然と担っていると言いいます。「やりたい意思と行動力があれば、やらせてもらえる環境です。営業に同伴して顧客と話ができる柔軟性もあって、ここが大手との違いの1つじゃないかと思います」(中川さん)

例えば、2016年に施行された改正保険業法に従う形で、保険商品販売代理店は、保険加入者のニーズやライフイベントに対する懸念点を聞きとり、その上で商品説明をする義務を負うことになりました。

そこで使われる「意向把握シート」は代理店ごとに異なる上に、生命保険と損害保険でも違ってくるというように、どういう仕様をどういう優先度で実装するべきかは自明ではないそうです。かつてのSIビジネスでいえば、顧客側にRFP(提案依頼書)を書いてもらい、コンサルが入り、さらにプロダクトマネージャーが仕様を決めて、その仕様書がコーディング担当に落ちてくるという流れだったかもしれません。良くも悪くもシード期のスタートアップでは、そうした複数の役割分担がなく、ダイレクトに顧客にペインを聞きに行って、それをプロダクトに反映することががあるのだそうです。以下の画面は、2019年7月31日にhokanが公開した「意向把握機能」です。

「エンジニアには大きく2タイプがあるのかもしれません。現実社会やビジネスの課題を解決したくてこの世界に入ってくるパターンと、とにかく技術が好きで、ごりごりと技術を追及してきた人です。私はもともとメンタルヘルスケアや人材紹介サービス、注文住宅のスタートアップなど、スタートアップを経験してきていて、違う業界を見て課題を解決するのが楽しいと思っているタイプですね」(中川さん)

電車での移動中にドメイン知識である保険業界の勉強をしたり、そもそも保険営業のバリューは何だろうか、それは今後どうあるべきかといったことを日々考えながらサービスづくりをしているそうです。肌感覚として、スタートアップの門を叩くインターン候補も、どちらかと言えば技術でビジネスをつくりたいPM志向と呼ぶべき人が増えているのだとか。

シード期スタートアップで顧客に寄り添う開発を続ける中川さんですが、技術面でのチャレンジも楽しみながら取り組んでいるそうです。hokanはバックエンドにはDjango(Python)を、フロントエンドはReactを使ってSPAを実現しています。モジュールの数が増えすぎて、きちんと階層で整理したり、ロード順に注意しないとビルドやページ表示が遅くなるとか、問題発生時のチェック箇所が分かりづらくなるといったことがあるため、アーキテクチャをきれいに保つチャレンジがあるのだそう。

さて、そんなhokanの中川さんをはじめ、ロジレスクレジットエンジンDIGGLEといった比較的アーリーステージのスタートアップからフロントエンドのエンジニアたちが集まってライトニングトークをする、ちょっと珍しいイベントを、Coral Careers主催で10月16日水曜日の19時から大手町で開催します。各トークのタイトルは以下の通り:

  • hokan: DX(Developer Experience) x React x SPA / 気持ちよく開発をするためのフロンエンド開発環境
  • LOGILESS: 月間40万件の出荷を支える物流プラットフォームを、スモールチームで運営するための工夫
  • Credit Engine: Vue.js + socket.io で簡単に実装できるリアルタイム更新処理
  • DIGGLE: PMFに役立つリーンなデザインシステムを構築する

この4社はCoral Capitalの投資先ですが、ゲストLT枠も2つあり、やはり「アーリーステージかつフロントエンド」のトークを予定しています。

まだ座席数に余裕がありますので、顧客のペインをダイレクトに解決する醍醐味のあるスタートアップでの開発に関わる仕事に興味のある方は、ぜひこちらから参加の登録をお待ちしております。

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Editorial Team / 編集部

Coral Capital

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