個人投資家の逆襲
本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「The Revenge Of Retail」を翻訳したものです。
GameStopの状況についてどう思うかという質問を何人かから受けました。これは私の専門ではありません。私の仕事は株式を保有することですが、売買はしません。 友人ハワードのおかげでRobinhoodのアカウントを持っていますが、使ってはいません。Redditもたまに見ますが、いつも見ているわけではありません。
なので、今回の状況には十分に注意を払っていなかったのですが、興味深いことであるのは確かです。この騒動における世代的な側面は重要です。ベビーブーム世代のヘッジファンドが、ソーシャルメディアで集まり、組織化した若者たちに押しつぶされたのです。権力構造が変化し、物事がこれまで通りにいかなくなると実感するような出来事でした。
アメリカをはじめ、先進国の金融システムには欠陥があり、それは長い間、変わっていません。大規模な機関投資家しか人気のIPOに参加できません。裕福な人しかスタートアップに投資できません。こうした規制の多くは、「未亡人や孤児」を守るために設計されたものでしたが、実質的には金持ちをより豊かにし、お金のないたち人を締め出す仕組みになっています。
しかし、これからは違います。暗号資産(Coinbase)であろうと、デイトレード(Robinhood)であろうと、個人投資家は投資に参加し、投資で成功するためのツールを手に入れました。
Ethereumなどのクラウドセールに参加することが、新しいスタートアップ投資のあり方です。2014年夏にEthereumのクラウドセールに参加していたのなら、今頃あなたの資産はおよそ1000倍になっていたでしょう。そして、このクラウドセールは20歳の若者が率いるチームが立ち上げたものでした。SECなどの規制当局は、暗号資産にもこれまでと同じように金持ちを守り、他の人たちを締め出す規制を設けたがるでしょうが、それはまだ実現していませんし、今後もそうならないことを私は願っています。
Redditで集まったRobinhood勢が次世代のヘッジファンドです。彼らは最大級のヘッジファンドよりも簡単に株価を動かすことができます。
このような「狂気」は規制すべきという声が出てくるでしょう。しかし、この狂気は以前から世界にあったものです。それを動かすグループが変わっただけなのです。
私はGameStopのショートスクイーズが悪い結末を迎え、ヘッジファンド以外にも被害を受ける人が出てくることは心配しています。市場は時に残酷です。しかし、小口投資家を守るために市場を規制するのは正しい答えではありません。ご存知の通り、小口投資家は大口の機関投資家よりもはるかに賢いことが多いのです。
私たちは、経済の安定のためにお金を刷することを止めなければなりません。そして、ウォール街ではなく、全国に広がっている実質的な経済問題に取り組まなければなりません。金融政策は答えではありません。財政政策が答えです。それでもGameStopのようなことが起きるのは止められないでしょう。それは市場の副産物だからです。しかし、財政政策によりマネーゲームにではなく、必要な場所にお金を行き渡らせることができるはずです。
Editorial Team / 編集部