VCのトラックレコードで大事なこと
本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson(フレッド・ウィルソン)氏のブログ「AVC」の投稿、「Track Record」を翻訳したものです。
ここ数日、何回かVCのトラックレコードが話題に上りました。トラックレコードとは、過去の投資における勝利や敗北を含む、投資実績のことです。
昨日、私と同じくらい長くVCビジネスに携わっている旧友と会い(訳注:著者は30年以上にわたりVCとして高い実績を上げています)、トラックレコードについて話をしました。私にとってトラックレコードで最も価値があるのは、リターンの総額でもIRRでも、大きな成功を収めた投資先でもないと彼に言いました。私にとって最も興味深く、価値があるものは、トラックレコードから読み取れる累積した経験値です。トラックレコードを見れば、その投資家や投資会社が長年にわたり投資してきた中で経験した失敗や成功に加え、投資家としてどのように成長したか、投資スタイルやリスク選好度がどのように変化したかが分かります。
そして今朝、私は会社のパートナーとUnion Square Venturesのトラックレコードについて話をしました。過去の大きな失敗を振り返り、2人とも縮み上がりました。2人ともうまくいった投資先の話はほとんどしませんでした。どちらも過去の失敗を悔やんでいました。
ですが、これは重要なことだと思います。成功したことについて、いつまでも考えるのは避けるべきでしょう。そこから学べることは多くありません。私たちは、大失敗したことについてしつこく考えるべきです。失敗からは学べることがたくさんあります。
私はUnion Square Venturesのトラックレコードを誇りを思っています。私たちはパフォーマンスの良いファンドを次から次へと組成することができました。これは簡単なことではありません。けれど、それが私たちを市場で差別化する要素であるとは思っていません。私たちが自社のトラックレコードについて起業家に話すこともほとんどありません。ですが、私たちが長年にわたり、大変な思いをして学んだ教訓と、その教訓をもとに、起業家がどうすればそうした失敗を避けられるかについては話します。皮肉なことに、そうしたことが私たちの今あるトラックレコードを生み出すことを可能にしたのかもしれません。
Editorial Team / 編集部