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メンターと起業家の関係をより良いものにする5つの考え方

500 Startupsと神戸市が開催する、日本初のグローバルアクセラレータープログラム「500 KOBE ACCELERATOR」。現在応募の最終受付中ですが、その最大の特長は、シリコンバレーの第一線で活躍するメンターから直接指導を受けられることにあります。

あまり知られていませんが、500のアクセラレーターでは、メンターと起業家の関係をサポートする役割のスタッフが配置され、常にそのやり取りをモニタリングし、より良いフィードバックが得られるように側面支援しています。本稿では、500の立ち上げ初期からこれを担当してきた昨年のプログラムマネージャーでもあるMax Fram-Schwartzのプレゼンを元に、メンターとメンティー、すなわち起業家がコミュニケーションを取るときに、考えるべき5つのことを紹介します。


1. あなたが思う以上に人は助けてくれる

何か悩みを抱えた時に、相談できる人はいるでしょうか?起業家の抱える悩みは実に様々で、なかなか最適な人がすぐ近くにいるとは限りませんし、そもそも起業家は孤独になりがちでもあります。しかし、ハーバードビジネススクールのハワード・スティーブンソン教授によれば、アントレプレナーシップの定義は、「コントロール可能なリソースを超えて機会を追求すること」です。大きな挑戦を続ける起業家にとって、ほかの誰かの助けを借りることは最も重要な行動の一つではないでしょうか。

そのためにはまず何よりも助けを求めることが重要です。あなたが助けを求めなければ、助けたい、助けても良いと思ってる人も気づけません。聞くは一時の恥と言うように、積極的に周りの人に助けを求めましょう。

そして、例えば10人に連絡してみれば、そのうちの数人は返事をしてくれるかもしれないし、1人くらいは会ってくれるかもしれません。信頼できる人の紹介経由ならもっと成功率は上がるでしょう。あなたが思うほどメンターは自分のことを偉いと思ってはいないかもしれないし、もっと次世代の起業家に貢献したいと思っているかもしれません。(ただし常に丁寧に!そして、応えてくれなくてもタイミングが悪くて見落とされただけかもしれません。気にしないようにしましょう!)

2. 起業家にとって最も大事な意思決定は、誰のアドバイスを聞くべきかなのか、です

すでに多くの起業家は経験しているかもしれませんが、メンタリングを受けると実に様々なフィードバックを受けることがあります。

ある人はマーケティングに注力しろと言い、ある人はまだプロダクトに集中した方が良いと言ったり、またある人はとにかく今は資金調達にフォーカスしろと言うかもしれません。誰のアドバイスを聞くかは、非常に重要な意思決定です。そのメンターのスキルや経験があなたの事業に合っているのか、そもそもあなたとそのメンターが人間的に相性が良いかなと、様々な観点で誰のアドバイスを聞くべきかを考えましょう。もちろん、この人にはマーケティングを、この人には資金調達をといった風に、メンターを使い分けることも大事です。

3. 何にでも正しく回答できる人を探すのではなく、正しく質問できる人を探しましょう

悪い例として、少し話を聞いただけで「それはこうすれば間違いない」、といったようにアドバイスするタイプの人が挙げられます。しかし、あなたのスタートアップは複雑な課題を解決しているのであり、少し聞いただけですぐに全てを理解できるほど単純ではないはずです。良いメンターは、あなたの事業を深く理解するために適切な質問をたくさん投げかけてくれるはずです。そしてその質問があなたにたくさんの新しい気付きを与えてくれるでしょう。

4. どうすべきか(what)を聞くのではなく、なぜそうすべきなのか(why)を聞きましょう

メンターは時に偉大な人だったりします。ユニコーン企業の創業者として豊富な経験を持っているかもしれませんし、特定の専門分野において並ぶ人のいないくらいの権威を持っているかもしれません。しかし、メンターの経験はあくまで過去の経験であって、あなたのスタートアップの課題を完璧に解決してくれるとは限りません。環境は常に変化しているし、第一あなたはそのメンターと違う人間です。

大事なのは、なぜそのメンターがその時にその決断をしたのか、または、あなたの質問に対してこうすべきと判断したのか、その理由を理解することです。時代の変化や環境の変化があったとしてま、その意思決定プロセスは参考になるはずです。それを踏まえたうえで、あなたのスタートアップがどうすべきなのかを考えましょう。

5. メンターからのアドバイスは、足し算(何をすべきか)ではなく、引き算(何をすべきでないのか)に使いましょう

次の打ち手にすっかり迷ってしまい、メンターに次は何をすれば良いのか、どうすれば事態が好転するのか、聞きたくなってしまう気持ちはわかります。しかしこうしたオープンクエスチョンはメンターの良い使い方ではありません。今まで述べてきたように、メンターはその領域で多くの経験を持っているかもしれませんが、あなたの事業そのものを、あなたほど深く理解できているわけではありません。24時間365日事業のことを考えているあなたが一番詳しいはずです。

メンターの経験がより活きてくるのは、優先順位をつける時です。あなたが考えに考えた様々な打ち手の中で、どこから手をつけるべきか、何を優先し、何を後回しにすべきか、その判断についてサポートを求めましょう。

BONUS! 6. メンターになるのに早すぎることはない

これは500 Kobe Acceleratorの責任者だったZafer Younisが、2016年のプログラム終了直後のスピーチで、参加した起業家たちに向けて語った言葉です。特に日本ではついつい「私なんてまだまだです」「私はまだ何か成し遂げたわけではないから」と、メンターになることを遠慮しがちではないでしょうか。でも、あなたがもし起業家としてすでに少しでも動き出しているのであれば、あなたに続く、起業したばかりの人に教えられることはきっとあるはずです。ごく少数の成功した人しかメンタリングをしない世界より、あらゆる人が自分の得意分野で相互に経験を伝え合う世界の方が、エコシステム全体としての経験値は加速度的に増えていくはずです。

本稿の1〜5はメンタリングを受ける起業家のための心構えでした。同時に、この最後のメンターとしての心構えを持つ起業家が増え、メンターとメンティー、そして良いメンタリングの総量が増えていくことを祈っています。


500 Startupsが神戸市と開催するグローバルアクセラレータープログラム「500 KOBE Accelerator」では、最終応募を9/14まで受け付けています!ぜひお見逃しなく!

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Founding Partner @ Coral Capital

Yohei Sawayama

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