本ブログはニューヨークのベンチャーキャピタルUnion Square Venturesでパートナーを務める、Fred Wilson（フレッド・ウィルソン）氏のブログ「AVC」の投稿を翻訳したものです。
連続起業家のJoe Fernandez（ジョー・フェルナンデス）氏が下記のツイートをしているのを見て、「彼の指摘は、重要だ」と思いました。
“あまりにも多くの若い起業家が、VCがヒーローであるかのように、そして彼らのブログが聖典であるかのように語っている”
too many young entrepreneurs talk about vc’s like they’re heroes and their blog posts are scripture
— Joe Fernandez (@JoeFernandez) 2016年8月19日
VCはヒーローではありません。スタートアップエコシステムのほんの一部に過ぎません。 私たちは資本を集めてそれをスタートアップに提供し、それをうまくやれば報酬がもらえ、うまく行かなかったらやがて廃業することになります。 私はこのことを身をもって知っています。それがうまくできず、廃業したことがあるからです。
スタートアップエコシステムにヒーローがいるとすれば、テクノロジーが様々なものに浸透するにつれ、私たちがますます頼りにする製品、サービス、および企業を、最も大きなリスクを負って創造する起業家です。
VCは、年に何百もの創業チームに会い、彼らのピッチを聞き、これらの画期的なハイテク企業のための取締役会に出席することによって、スタートアップの世界の”コートサイドの席”を保持しているのです。私たちは、ほとんどの人が知らないことを知るようになり、その結果、スタートアップの分野へのユニークな観点から得た、見識を持っているのです。
VCについて知っておくべきもう1つのことは、競争の激しい業界で事業を運営しているということです。VC業界では通常、1～2社のVCだけが、激しく人気のあるスタートアップへの投資を許されています。成功するためには、VCは起業家に自分たちを売り込む必要があります。 それには多くの方法がありますが、最善の方法は最も成功した企業を支援し、知名度を上げることです。 Mike Moritz（マイケル・モリッツ）氏とJohn Doerr（ジョン・ドーア）氏がGoogleの最初のVCラウンドをリードするよう招かれたのには理由があります。その招待を受けるまでに、彼らはベイエリアのトップVCとして自身の地位を確立していました。そして、彼らの会社、SequoiaとKleiner Perkinsを、ベイエリアのトップVCとして確立させていたのです。
VCが起業家に自分たちを売り込むもう1つの方法は、ソーシャルメディアを活用することです。 そしてブログは、VCが自分を売り込むために使用できるソーシャルメディアの主要ツールの1つです。VCはスタートアップセクターからの見識を集めるというユニークな立場にいるため、日々の仕事から得たこれらの見識を世界、特に起業家と共有することができるのです。 私自身、このブログによる戦い方を極めているので、確信を持っています。
それでは、VCによって定期的に与えられるこの知識を、起業家はどのように使用すべきでしょうか。 まず第一に、あなたはそれをコンテンツマーケティングとして見るべきです。 そういうものなのです。有用ではない、または洞察的ではないという意味ではありません。 そうなのかもしれません。 しかし、あなたはこの無料コンテンツすべてを支えるビジネスモデルを理解するべきです。 あなたがVCを訪ねて、シードラウンドまたはシリーズAラウンドの参加を申し出るように作られているのです。 Joeが彼のツイートの中で聖典ではないと主張したそのブログの内容は、実際には宣伝です。 聖典の反対のようなものですよね？
しかし、このブログ記事の背後には、数百から数千のピッチと数十から数百の取締役会ミーティングから得られたデータがあることも知っておく必要があります。 VCが何かに関して得意であるとするならば、私たちはパターン認識とそれらのパターンが何をもたらしているのかを推論するのが得意なのです。 ですから、これらのブログ記事は聖典ではなく実際には広告ですが、重要な情報や時には大きな知恵を含んでいることがあります。 そのため、これらを無視するべきでもありません。
私が起業家にお勧めするのは、注意深く耳を傾け、行動を急ぎすぎないことです。重要な問題と決定については、複数の観点から見てください。それから、そのすべての情報をどう処理するかを慎重に検討し、自分の価値観、自分のビジョン、そして直感でフィルタリングします。 それこそが私たちがすることであり、それが起業家が事業においてなすべきことです。
あなたが取締役会に出席していて、VCが「Eメールマーケティングを減らして、より多くのコンテンツマーケティングを行うべきです」と言ったら、あなたは取締役会後にマーケティング責任者に会いに行き、Eメールを減らして、コンテンツを倍にするように言いますか？そうでないことを願います。 私はあなたがそのVCのコメントを、1つのデータポイントとして扱うことを望みます。つまり、耳を傾けるべきではあるが、あなたが同様のフィードバックをたくさん受け取らない限り、それに基づいて行動する必要がほとんどない類のものです。
VCは、ほとんどの場合無能ではなく、非常に有用です。 しかし、私たちは神ではなく、私たちの言葉は聖典ではありません。 あなたが私たちを神のように扱うとしたら、あなたは大きな間違いを犯しています。 そして私はその点を指摘しているJoe氏に感謝し、この記事でをそれを詳述することができてうれしく思います。
Editorial Team / 編集部
