こんにちは!Coral Capital(以下、Coral)で投資先スタートアップの採用支援をしているTalent Managerの津田です。Coral前身の500 Startups Japanでは、半年間で2回に渡って国内最大級スタートアップキャリアイベント「500 Career Fair」や、月次で50-80名規模の勉強会イベントを企画・実施していきました。
今回、Coral設立を機会に、過去のイベントを振り返り、【成功する採用イベントを企画するポイント】をまとめました。僕もまだまだ課題が山積みで、やりたいことの1割もまだできていないのですが、これから初めて採用イベントを企画する方や、既に実施しつつも今後改善していきたい方に、何かしらのtipsになれば幸いです。特に、スタートアップで奮闘している人事担当の方(まだ人事がいない場合は、経営者の方)のお力に微力ながらなれれば、嬉しいです。
参考になった!共感した!いやいや自分はもっとうまくやっている!などご意見ありましたら、ぜひ津田 @tsuda_ryo までご連絡ください!お茶でもしながら議論したいです。
*Coral Capitalにおけるスタートアップ採用支援戦略については、「スタートアップの採用課題をサポートする」タレントマネージャー・津田が描く “Coral Careers” 戦略 のインタビューにてお話しさせていただいております。
目次
実際のイベント企画の時系列に則って、フェーズ1から4に分類して、全18ステップに分けて順に解説していきます。
・フェーズ1:課題把握(何が採用課題か?)
・フェーズ2:解決手段の検討(どうアプローチをすべきか?)
・フェーズ3:イベントコンセプトの策定(どのようなイベントにすべきか?)
・フェーズ4:イベントの具体的設計 (効果的なイベントをどう設計するか?)
フェーズ1:課題把握(何が採用課題か?)
1.採用課題を明確化する
まわりがやっているから、とりあえずうちも採用イベントを。。。と言うのは、ダメなパターン。一番最初にすべきは、自社の重要な採用課題がどこにあるかを、正確に把握することです。
採用は大きく分けると、以下の4つのフェーズに分類できます:
- 認知(企業について知る)
- 興味(企業に興味を持つ)
- 内定(企業から選ばれる)
- 入社(その企業に決める)
マーケティングファネルの考えと同じで、ファネルの上(前のフェーズ)はパイが大きく、下に行くほど(後のフェーズ)パイは小さくなっていきます。
この採用ファネルをベースに、各フェーズで自社が現在やっている具体的施策を書き出すことがファーストステップです。その上で、各ステップで生じている課題があれば、その具体的内容と、課題の重要性を記載していきます。
2.足を運んで直接課題をヒアリングする
上記をすぐ書ける場合は問題ありませんが、一定規模のある組織だったり、関係者が多い環境だと、自分一人で明確に把握できていない場合もあります。
その場合、正確に課題を把握するため、課題を把握している担当者(実際の採用課題を抱えている事業部門の方など)のところに足を運び、直接対面で課題をヒアリングすることが大事です。
課題設定をミスると、その後誤った課題を解決するプロセスを進めていくことになり、プロセス全てが無駄になってしまうので、ここはしっかりとやり抜くことが重要です。
3.採用課題に優先順位づけをする
1.採用ファネルのフレームワークと、2.現場へのヒアリングの合わせ技で、採用課題をフェーズ別に具体的に洗い出すことができた後は、自社の採用戦略に照らし合わせて、どの課題が特に重要でクリティカルなのかを、優先順位づけする必要があります。
そもそも会社の存在が採用候補者に知られていないのか、知られてはいるが興味を持って選考に進んでもらえていないのか、選考には一定数人はくるが、欲しい人材の応募が少ないのか、はたまた、内定は出せているが最後に口説ききれずに内定辞退されてしまうことが多いのか。
仮に、魅力的な候補者の応募は一定数あるものの、内定辞退率が高い場合、検討すべき施策は内定辞退率の改善となるので、認知を目的とした採用イベントを企画する優先度は低くなります。また、イベントをやると言っても、認知度を上げるためのイベントと、内定率を上げるためのイベントでは、内容や規模も大きく変わってきます。
空回り施策に労力を割く事態を避けるためにも、課題の明確化と、その有線順位付けは全ての土台となります。
フェーズ2:解決手段の検討 (どうアプローチをすべきか?)
4.施策仮案をたくさん出す(発散)
フェーズ1では、具体的な採用課題と、その優先順位付けができました。そこをベースに、次は、優先度が高い採用課題を解決できそうな施策仮案を洗い出していく必要があります。実現可能性や、効果、効率性は次のステップで考えるので、まずは思い浮かんだ案をどんどん出していくことが重要です。他社が既にやっている施策、海外でやっている施策、他業種でやっている施策、突拍子もないひらめきの施策、なんでもありです。判断はせずに、数を出すことが大事です。
5.どの施策が最も効果的、効率的かを考える(収束)
4の「発散」フェーズでたくさん出した仮案を、5の「収束」で絞っていきます。
主な判断ポイントは、以下になります:
(1)その解決策は、課題解決に対して効果的か?
(2)その解決策は、効率的か?
→限られたリソース(人、金、時間など)でコスパよくできるか?同じ結果を、もっと楽な手段で簡単にはできないか?
(3)その解決策は、自社の強みが活きているか?
→他社と差別化を図り、継続して実施していくためには、自社の強みが活かされる施策を取ることが大事。
上記(1)〜(3)を各施策で検討し、そこで残ったものが「イベント」であれば、そこで初めてイベントをすべきという判断になります。
ちなみに、参考までに採用イベントの一般的なメリット・デメリットはこんな感じ:
メリット
- 大多数に対して、一度にアプローチができる(中長期的にコスパよく採用を進められる)
- 記事化、動画化等でコンテンツ化し、自社アピールができるアセットとしてストックできる
- 話題性があれば、マスメディア等で拡散してもらえる(自社発信とは異なる層にリーチできる)
デメリット
- 準備が大変
- イベント前後のフォロー施策をしっかり考えないと、その場だけ盛り上がって終わる
- 中途半端なイベントになると、ネガティブな印象を与える
フェーズ3:イベントコンセプトの策定(どのようなイベントにすべきか?)
6.参加者ペルソナを明確化し、どんな企画が刺さるか仮説を持つ
フェーズ1(課題把握)で明確化された課題を解決するイベントを企画するために最初にすべきは、具体的にどんな方を参加者として呼びたいか、を出来るだけ具体的に想像を膨らませて文章化することです。
職業、職種、年齢、性別、キャリアプラン、現職への満足度、転職状況(転職中か、中期的に転職を検討しているか、全く考えていないか)など。実際に名前をつけるなどして、具体的に参加者をイメージできるくらいまで昇華できるとベストです。
その上で、彼らの興味関心に刺さる企画は何かを考え、ひとまず仮説を立てます。
7.仮説をベースに、関係者や同業者に複数壁打ちをする
仮説が完璧であれば問題ないのですが、多くの場合、自分とは異なる職種の方を対象としたイベントを開催することになるため、それが本当にターゲットとなる方々に刺さる企画なのか、完全に確信を持てることは少ないのでないかと思います(僕はそうです。。。)。
そのまま企画を進めるのはリスキーですし、かといって考える時間を倍にしても大した案は基本的には出てこないので、仮説を作ったら同じ職種の関係者や、同様の企画をやったことがある同業者の知人などに素早く壁打ちをしに行くことが大事です。
何度か壁打ちを繰り返した後は、登壇者をフィックスさせ、彼らにもさらに壁打ちをし、具体的な議論内容や、当日の流れなども精錬していきます。
ここまでのフェーズ1〜3で、重点的に取り組むべき採用課題、その課題を解決するために効果的かつ効率的なアプローチ、イベントの具体的なコンセプト、について明確化できました。
次回のポスト【フェーズ4:イベント設計(効果的なイベントをどう設計するか?)】では、それを具体的なイベント設計に落とし込んでいく上で、特に重点的に意識すべきことを説明していきます。
そして、Coral CapitalではManifesto(マニフェスト) に共感して一緒に挑戦する仲間を募集しているので、ご興味ある方はこちらから、ぜひご連絡ください。
さらに、Coral Capitalでは投資先スタートアップの最新情報、限定イベントの情報のメーリングリストでの定期発信や、投資先との交流機会の提供をするコミュニティ Coral Careers を立ち上げました!詳しくはこちらから。
Talent Manager @ Coral Capital